2015.10.28 取材:記事・写真/RanRan Entertainment
11月7日(土)から14日(土)まで東京・六本木にあるZeepブルーシアター六本木において開催される作・中島らも、舞台『ベイビーさん ~あるいは笑う曲馬団について~』の演出を手がけるG2さんと中島らもさんの作品には欠かせない松尾貴史さんと人気若手俳優、池田純矢さん、鈴木勝吾さん、井澤勇貴さんに稽古でお忙しい中、作品についての思いや意気込みをお伺いしました。
Q:G2さんと松尾貴史さんにお伺いします。中島らもさんへの思いをお聞かせ頂けますか?
G2:昔、僕が大阪テレビ局の新人時代に『中島らもが司会をする』という番組の企画が通りまして、その時が出会いですね。僕が新人で右も左も分からない時にらもさんが優しく包んでくれて接してくださった。
戯曲に関してですが、劇団以外に台本を書いてくださったのは僕にだけだと思います。あそこまで頼み込んだのは僕だけしかいなかったんだと思います。酷い話なんですが、らもさんがアル中で入院している病院に行って「台本書いてください。」とお願いしたら、ニンマリ笑って「わし入院してねんで。」と言って書いてくれましたね。この話をすると2時間位かかりますね~(感慨深く)。
松尾:こちらは手下とか弟子というような関係を望んでいても、らもさんは友達だという意識を崩さなかったですね。もちろんいろいろな事を教えて下さいましたし気付かしてもくださいました。例えば事象をどうゆう風にとらえてどう感じるかという事まで影響を与えられたなあと思っています。もちろん面白いことも沢山授かりました。劇団を始めるという時に「飲むために芝居をしないか?」という言葉で誘われ「じゃ、やります!」で参加することが決まりました(笑)。旗揚げの時はこんな感じだったのですが、その後僕が東京の事務所に所属することになり稽古にも出られないので客演扱いで出演していました。最初の3~4年位しかいなかったんですけどね。
それから新作落語を書いて頂いたりしました。
偉い者にも、弱い者にも、しっかりした者にも、ダメな者にも分け隔てなく愛情を注いで、ギャグの題材にする場合でもすべての者に対して愛する対象にしていたと思いますね。
凄く好い人は先に逝ってしまいますね(感慨深い様子で)。
Q:演じる上での意気込みはいかがですか?
池田:もちろん中島らもさんを存じ上げていて素敵な方だなと思っていました。『ベイビーさん』の台本を初めて読んだとき、視覚的なエンターテインメントで面白さが凝縮した作品だと感じました。サーカス団、歌、ダンス、アクションの面白さと機微な感情を繊細に読み解ける作品だなと。それから素敵な作品に出演できて幸せで、こんなに面白い作品なんだから面白くならなかったら我々やばいぞ!という思いはありますね。
鈴木:僕は初めての世界に触れて見てるというという感じです。らもさんの世界感をよくご存じの方々の中で分からないことだらけですが、また新しい演劇の世界に触れられてとても嬉しく思っていて、そこに真摯に向き合っていくだけかなと思っています。
井澤:今まで僕が経験させて頂いた作品とは違っているという印象です。僕たち同年代とベテランの方々がいらっしゃる中で、らもさんの作品とG2さんの演出で舞台に立てるという幸運な機会をあたえられてとても幸せです。日々の中で沢山のことを吸収して自分が成長できたら良いな~と思っていますし、稽古には精一杯励んでいきたいと思っています。
Q:G2さんにお伺いします。今回この『ベイビーさん』を選んだ理由をお聞かせ頂けますか。
G2:ある時期まで、中島らもさんの“劇団笑殺軍団リリパットアーミー”の作品をほぼ全作品観ていた時がありました。その中でも大好きなものはいっぱいあるし、嫉妬心さえうかぶ位の作品がありましたが、いつかチャンスがあったら自分で演出してみたいなぁ~と思ったのはこの作品だけですね。
Q:多くの中島らも作品がありますがこの作品が一番なんでしょうか?
G2:いや、これが一番という事じゃなくて自分がやりたい作品ということです。他はらもさんが中心になっていろいろな世界から異能の人たちが…まあ言葉は悪いですが化け物が集まって化けもんショーのような感じがあったのですが、この作品はある意味普通な脚本で。えっ!こんなの書いたの!という驚きがあり、普通なのにもかかわらず至る所にらもさんテイストがきちんとあって、まさからもさんの本でジーンとくるとは思わなかったというのといろいろな裏切りがあって、この作品だと僕もある種、別な演出でできるんじゃないかと思ったんですね。今までのラインナップの中で異質な作品ということもありますが。
僕はらもさんから『こどもの一生』という本を頂いて、再再再…と何度も再演している作品さんなんですが、この作品の再演に関係して、らも作品を演出するなら『ベイビーさん』をやりたいと言い続けてきたんですね。でも、いつかこれをやりたいという大きな夢ではなくて、なんとなくいつも僕の頭の中の隅っこにあったという感じです。
例えば、いつか帝国劇場でやりたいとか(笑)あるいは歌舞伎座でやりたいとかというのとは違った不思議な距離感がありましたね。ただ稽古が始ってみると悩ましいことがいっぱい出てくるんですけど、大上段に振りかざさずにらもさんの言葉を大切にしていけばきっと面白いものができるなあ~という感覚でいます。
Q:松尾さんにお伺いします。この「ベイビーさん」に出演するにあたりお気持ちは?
松尾:僕が出ていた時は草創期で「俳優部」と「化けもの部」というようなグループ分けされていたという感じで…(笑)。とにかく断片的に台本の中に、自分は「気ちがいオカマ」という役なんですが、「気ちがいオカマ上手より登場。舞台上にいる全員をサバオリ倒す。ここでかっこしてあってト書きに「キッチュ(松尾貴史)ここで5分間訳の分からないことをする。そして最後にセリフで「お店きて~!」と叫びながら上手へはける」というようなのばっかりでした(笑)。ある時はフィリピンの大統領になったりして捨て台詞を残したりとか、ある時は落語家の恰好で舞台の中央に座って夏の風物詩の金魚売りのパロディーとか…(笑)。訳が分からないストーリーの必然性がなくて…(笑)。
僕はこういう素敵なお話の作品に出るのは初めてなんですよ(笑)。僕が出なくなってからのちに上演されたのを客席で観て「いいな~。こんな芝居したかったな~」と思っていたような感じでした。いいな~と思っていた作品に出られてある種の感慨がありますね。
この続きは<後編>に続く~
公演概要
【タイトル】 ベイビーさん ~あるいは笑う曲馬団について~
【作】 中島らも
【演出】 G2
【出演】 池田純矢 鈴木勝吾 井澤勇貴 入来茉里 小須田康人 松尾貴史 他
【公式サイト】 http://baby-san.com/
【お問合せ】 セガ・ライブクリエイション 03-6871-7680 (平日 10:00~18:00)
【公演日程】 2015 年 11 月 7 日(土)~14 日(土)
【会場】 Zeppブルーシアター六本木
【チケット】 好評発売中!
【チケット料金】 8,500 円 (全席指定・税込)
※3 歳未満入場不可 ※営利目的の転売禁止