取材:記事/RanRanEntertainment
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――今回演奏する『皇帝』ですが、横山さんとベートーヴェン楽曲との関係を教えていただけますか?出会いやご自身の音楽活動の中での位置付けなどを
ベートーヴェンとの最初の出会いはレコードの時代でした。幼い頃、朝起きてから、食事の前、ちょっとした時間が出来た時などにレコードを聴くのが楽しみだったんです。その時に何故かベートーヴェンのピアノ曲を聴いていましたね。意識的に曲を聴くようになってからもベートーヴェンの曲を聴く事が多かったんです。後にチャイコフスキーやショパンに興味を持つようになりましたが、自分の原点にはやはりベートーヴェンがいた気がするんです。
音楽活動を始めてからは意識的にショパンとベートーヴェンを軸足にしてきたように思います。20代の頃は長い時間をかけて「ショパン全曲連続演奏会」、そして20代最後の1年で作品番号のある全ピアノ曲を演奏する「ベートーヴェン12会」をやり、その後40代になってからベートーヴェンの生誕250年となる2020年を目指してベートーヴェンの作品番号付き全ピアノ作品ほかを演奏するコンサート「ベートーヴェン・プラス」をやっているところです。僕としては、全部の楽曲を弾いてみないとベートーヴェンそしてショパンを理解できないと思うんですよ。
――『皇帝』を初めて弾いた時の事を覚えていらっしゃいますか?また初めて弾いた時に受けた感覚と様々なキャリアを積んだ今の年齢で向き合った時、その感覚に変化は生まれましたか?
プロとしてオーケストラと一緒に演奏したのはたぶん22歳くらいです。さらに遡ってこの曲を意識して初めて聴いたのは小学5年生の頃。その時と今とでは、基本的な部分でこの曲に対する感覚に変わりはないんです。小学生の頃は単なる聴衆側、今は演奏する側ですが、この年齢になると聴いた感覚と弾く感覚がより「シンクロ」してくるように感じますね。
――『皇帝』のみならず、ベートーヴェンの楽曲を演奏する際の難しさは?
楽器演奏の場合、頭の中にイメージするメロディーをどれだけ実現するか、いかにそのメロディーを表現するために指をそのキーに持っていくかが大事ですが、イメージを100%実現する事はそうそうできません。10年、20年やっても完璧にはいきません。ベートーヴェンの楽曲って時折すごく指を持っていきづらいフレーズがあるんです。本人もピアノを使って作曲していたはずなんですが、弾いた感じ以上に「このフレーズの頂点はこの音じゃないと!」と思う節があり、それを優先した結果なんでしょうね。
その点ショパンの楽曲は弾く側にとって指が行きやすい非常に自然なフレーズになっているんですよ(笑)。
前編~ https://ranran-entame.com/wp-ranranentame/music/59537.html
「東芝グランドコンサート2019」は3月12日から22日まで東京、金沢、名古屋、福岡、広島、兵庫、仙台にて開催。横山さんが出演される回は以下の通り。
3/12 19:00開演 サントリーホール(東京)
3/13 19:00開演 石川県立音楽堂コンサートホール(石川)
3/14 18:45開演 愛知県芸術劇場コンサートホール(愛知)
3/17 16:00開演 上野学園ホール(広島)
<演奏>
管弦楽:デンマーク国立交響楽団
指揮:ファビオ・ルイージ
ソリスト:横山幸雄(ピアノ)
<曲目>
ニールセン:歌劇『仮面舞踏会』序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 Op.73『皇帝』(ピアノ:横山幸雄)
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 Op.64
また、アラベラ・美歩・シュタインバッハー(ヴァイオリン)が出演する公演もある。
3/16 15:00開演 アクロス福岡シンフォニーホール(福岡)
3/19 19:00開演 サントリーホール(東京)
3/21 15:00開演 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール(兵庫)
3/22 19:00開演 東京エレクトロンホール宮城(仙台)
<曲目>
ソレンセン:Evening Land(日本初演)
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 Op.26(ヴァイオリン:アラベラ・美歩・シュタインバッハー)
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92
公式ウェブサイト http://www.t-gc.jp/