取材:記事・写真/RanRanEntertainment
KAAT神奈川芸術劇場“近現代戯曲シリーズ”の2作目、舞台『恐るべき子供たち』が5月18日(土)より上演される。初日前日の5月17日(金)、キャストの南沢奈央、柾木玲弥、松岡広大、馬場ふみか、および演出の白井晃が囲み取材に出席した。
左から:白井晃(演出)、松岡広大、南沢奈央、柾木玲弥、馬場ふみか
フランスの詩人・小説家・劇作家ジャン・コクトーによる本作は、思春期の少年・少女が愛情と憎悪、そして嫉妬に満ちた姉弟の歪んだ関係を描き出した作品だ。外界を知らずに成長し、弟ポールとの“王国”を守ろうとする美しい姉エリザベートを南沢が、姉とともに幼稚で享楽的な価値観のまま成長していく弟ポールを柾木が演じる。また、物語の語り部的役割を担うポールの友人ジェラールを松岡が、そしてポールが密かに想いを寄せるエリザベートの友人・アガートと、ポールが憧れる同級生の男子生徒ダルジュロスの男女二役を馬場が演じている。
白井は本作の魅力について「KAATで『春のめざめ』と『恐るべき子供たち』の連続上演をやろうと思いまして、思春期の子供たちが大人になっていく課程を描く作品には、どこか惹かれる部分があります。皆が通過してきたところ、いつ自分が形成されたのかという葛藤した時期があって、自分を確立していく課程の物語にはどこか惹かれていく」と語り、ノゾエ征爾さん(台本)が今回試されているのは、ジェラールの視線を外に置いて、お客さんと同じにもっていこうという仕掛けを作っている」と見どころを明かした。
座長としてどうかと問われた南沢は、「私も座長と言われ、そうかと思っているんですけど」と戸惑いを見せるが、「4人は子供の役なので、言い合ったり、喧嘩したりという感じなので、リーダー的な感じでなく和気藹々とやっています」と謙遜する。ただ、「稽古が始まって皆と打ち解けて、遠慮しなくなって、白井さんから『エリザベートっぽくなってきた』と言っていただいて、そこから段々発見していった感じ」と胸を張った。
一人二役を演じる馬場は「二人それぞれの目線で、この作品を考えることができるので、面白いと思うと同時に、1シーン1シーンのスイッチ切り替えの難しさを感じました」と自信を深めている様子だ。
白井は4人について「皆、芝居に対し真面目でした。『恐るべき子供たち』ですけど、(役者さんたちは)非常に大人な若者たちだなと感じました。南沢さんは、舞台に立ったときの力強さがあるし、まず体力があるということは素晴らしいこと。勘どころもあるし、舞台をどんどんやってほしい。柾木君は何を考えているか分らないところが魅力。台詞を吐いたときはかなりの感性でぶつけてくるので分かり易い。チャーミングで、まだまだ隠しているものがあるのではと思っています。松岡君は、舞台経験も多いし、若いけど舞台の立ち方も分っていますし、難しい役どころを一生懸命に自分なりに悩んで取り組んでもらっている。馬場さんは、二役という難しい部分があるけれど、元々モデルをやってらっしゃったから舞台で華がある。これからが楽しみと思いました」と全員に二重丸を与えていた。
そして、最後に南沢が「セットがこんなシンプルなのは初めてで、リングの上に立たされる、逃げも隠れもできない環境でのお芝居です。冒頭の雪合戦から始まるんでけど、最後まで全力投球し、エネルギーの感じる作品になればいいなと思っています。ぜひ、皆さん期待してください」と締めくくった。
ダルジュロス(馬場)が投げた雪玉が当たり、ポール(柾木)が倒れる
エリザベス(南沢)と怪我をしたポール
エリザベスは働く決意をし、職場でアガート(馬場)と仲良くなる
エリザベスと結婚したマイケル(斉藤悠)が事故で死んでしまい、夫の莫大な財産を継ぐ
ポールはアガートを愛しているが、エリザベートの陰謀でアガートとジェラールが結婚
5月18日(土)~6月2日(日) KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて
5/18、19はプレビュー公演、本公演は21日より14回、計16公演が行われる。