取材・会見撮影/RanRanEntertainment
大森南朋、田中哲司、赤堀雅秋の演劇ユニットが約2年半ぶりに集結。4月21日(木)に下北沢の本多劇場にて開幕する赤堀雅秋プロデュース 舞台『ケダモノ』の初日前会見が行われ、田中哲司、大森南朋、赤堀雅秋のほか、ヒロインの門脇麦、荒川良々、あめくみちこが登壇した。
作・演出の赤堀は、初日を迎えてかつ新作について、「(本作は)コロナ禍での田舎町の日常を描いた話なんですけど、2年間のコロナ禍で鬱積した空気感みたいなものを描ければと。初日を迎えて、感慨も特になく、とにかく一生懸命に積み上げたものを、お客さんの前にお見せできればと思っています」と自信に満ちた挨拶を行った。その赤堀は、鹿を駆除する猟師役を演じている。
リサイクルショップを経営する手島清を演じる大森は「皆に手島さんとは手島とか芝居のなかで言われていて、さっき下の名前をチェックしたら清という名前でした(苦笑)。初日はそこはかとない緊張感があるなか、これからゲネプロをやるので、すごく楽しめればいいと思っています」とコメント。
さらに、映画プロデューサーのマルセル小林を演じる田中は「劇中ではマルセルさんって呼ばれてるんですけれども、劇中でその説明が全くなくて、これは見た人が想像してもらえればいいんですけども。自称、映画プロデューサーという、いい加減なおじさんの役です。初日に向けての気持ちは、沖縄弁で言うとちむどんどん(胸がどきどき)している感じです」と周りを笑わせた。大森そして田中の奥さま仲間由紀恵が朝ドラ「ちむどんどん」では夫婦役で共演している。
赤堀、大森、田中とユニットを組んで今回が3回目の公演。大森は「ここしばらくは赤堀君としか舞台をやっておりませんので、習慣化しつつあって・・・。そして毎回赤堀君の自分を追い詰めて作品を書き上げている姿を目の当たりにしているし、そこから絞り出してきた赤堀君のなかの怖いヤツが毎回どんどん押し出てくる気がしていて、非常に楽しく緊張感をもってやらしてもらっています」と評価。
田中も「僕はこのユニットでしか赤堀君のことを知らないのですけど、本当に大好きで・・・。毎回絞り出して台詞を書いてくる姿に感動して・・・。毎回素晴らしい作品なんですけど、今回は、そっちで来たかっていう、また新しい一面が見えて! 僕らが自信を持ってお勧めできる作品になりました」と赤堀を称賛、さらに田中は「僕は今最年長で56歳、ユニットで70ぐらいまで演れたらなあ(笑)」とユニットに声を掛けると、赤掘も「いいですよね。そこまで飯食えるし、生きていれば。時々門脇さんみたいな若い女性にも来ていただいて(笑)」とこれからもユニットを続けていくことを表明した。
ヒロイン・キャバクラのマイカを演じる門脇は、赤堀とは初共演、チームに参加するのも初となる。門脇は「学生時代に赤堀さんの舞台を見た頃からずっとご一緒したかったので、本当に本が上がってくる度に胸が揺さぶられたり、稽古場で赤堀さんが一言演出される言葉にも全てにおいて違和感がない。もちろん南朋さんも初めてご一緒するんですけど、なんて贅沢な時間なんだろうという1ヶ月を過ごしてきました」と充実感たっぷりだったことを明かした。
サイクルショップの従業員を演じる荒川は「(赤堀作品では)毎回、演ったことのない役を選んでいただいて、ありがとうございます。(劇中で)あめくさんとはロマンス的なことがあるんですけど、そういう役をやるというのは今まで経験としてなかったので、ありがとうございます!」には、赤堀らが爆笑した。
そして、あめくは「10年ぶりに赤堀さんの演出を受けさせていただいたんですけども、やっぱりすごく熱くて、その厚みも増しているというと感じました。演出にすごく迫力がありますし、今回こんなオバサンに声をかけていただいてありがとうございます。荒川さんとのロマンスは焦らず、嬉しいなと思っております」と喜びの声を上げた。
会見の最後には、代表して大森がこれから公演を楽しみにしていらっしゃる方に向けて、「(稽古を重ねて)これからどんどん芝居が変わっていくと思うので、ぜひ2回でも3回でも来ていただいても構わないですし、どんどん変わっていく、その生々しい芝居を楽しんでいただきたいです。大阪と珍しく北海道にも行かせていただきます。北海道に行くのは皆楽しみにしておりますので、是非お待ちしております。そしてもしかしたら映画化の話も(笑)あったり、なかったり。よろしくお願いします」と呼びかけ、老後から映画化の話まで、素晴らしい初日のコメントとなった。
ストーリーは次のとおり。リサイクルショップを経営する手島清(大森南朋)はアヤしげな自称・映画プロデューサーのマルセル小林(田中哲司)とつるむ以外、特に楽しいこともなく、日々店を切り盛りしている。従業員の出口(荒川良々)と木村(清水優)の楽しみは、キャバクラのマイカ(門脇麦)や美由紀(新井郁)らをからかうこと。ある日、郵便局員の節子(あめくみちこ)から「死んだ父の不用品を引き取って欲しい」という依頼が。手島たちが節子の家と蔵を物色するが、木村が蔵から意外なものを見つける。山から時折聞こえる銃声。増えすぎた鹿を駆除しているのだという。手島とマルセルの抱えた「事情」と木村が見つけた「もの」、そしてマイカの切実な望み。退屈した日々はふとしたはずみで軋み、歪み、彼らは暴走し始めた・・・。
赤堀雅秋プロデュース 舞台『ケダモノ』
東京公演: 2022年4月21日(木)~5月8日(日) 本多劇場 全21公演
札幌公演: 2022年5月14日(土)~15日(日) かでるホール
大阪公演: 2022年5月20日(金)~22日(日) サンケイホールブリーゼ
舞台写真:オフィシャル提供(撮影:引地信彦)