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2018年8月8日 16:08

栗山民也演出、衝撃作『チルドレン』高畑淳子&鶴見辰吾インタビュー<前編>

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

今、世界が注目する女流作家ルーシー・カークウッドの傑作にして問題作『チルドレン』。ブロードウェイ、そしてウエストエンドを震撼させた本作が、栗山民也を演出に迎え、日本で初上演される。出演するのは高畑淳子、鶴見辰吾、そして若村麻由美の3人。大地震、津波、そして原子炉停止という、日本人には身につまされるテーマを内包しながら、実力派俳優の3人が上質な人間ドラマとして描き出す。
ランランエンタメでは、挑戦的な本作に真っ向から挑む高畑淳子さんと鶴見辰吾さんにインタビューを敢行。本作にかける思いや見どころ、そして若村さんとのエピソードを聞いた。

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——ブロードウェイ、ウエストエンドでの上演成功、そして今春にはシドニーのオペラハウスでの上演も決定するなど、大変注目されている作品です。最初に脚本をお読みになったご感想は?

高畑:私、海外の戯曲は、読んだだけではわからないことが多くて…この本も読んだだけではわからなかったの。

鶴見:わかります、わかります。私も、最初に読むときは、咀嚼しながら、自分の中に染み込ませようとして読むから、噛み締めながら読んでいるうちに頭がいっぱいになっちゃうんですよね。

高畑:私も同じです。どうでした?

——福島にも通じるテーマを日本で上演するという勇気が素晴らしいというのが正直な感想でした。

鶴見:確かにそうですね。これはまさに福島で起きたことの再現で、それをイギリス人が書いた、そして演じたんですよね。僕は、一番最初に、世界は日本をこういう風に見ているんだということを感じましたね。我々の国で起きたことですが、世界が注目していることでもありますし、日本という国を外から見たら、こういう一面もあるんだなって。

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——高畑さんは、この作品について、どんな思いをお持ちですか?

高畑:戯曲を読んだときに、すごく読みやすくて全体の絵がパッと見えるときがあるんです。ただ、パッと読めた作品はそれ以上のものにはならないんですよね。こういう作品になるんだろうなって思った、その通りになる。でも、読んでもどうなるかわからないものに挑戦すると、日々の発見が多くて、こんなことになるんだという驚きがある。きっと、私が読み進められなかったのと同じ感覚を、お客様は舞台を見て感じると思う。日常かと思っていたら、いつの間にか持っていかれて、未知の世界にいる。そんな感覚です。

——「福島」という題材はいかがですか?

高畑:行き着くところはそこなんですが、それ以前に、妙齢の物理学者の三人の中では様々な人間関係があった。ヘイゼル(高畑)とロビン(鶴見)は夫婦で、ローズ(若村)も含めてお互いに二人の関係もある。ヘイゼルたちは子どもも抱えている。そういった人間関係があった上でのお話なので、原発のことだけを描いているわけではないんです。日常生活を見せながら描いているので、うまいなと思います。

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——確かに本作は、人間ドラマでもありますもんね。

鶴見:濃厚な人間ドラマでありながら、ちょっと滑稽で、ユーモラスでもある。面白いですよね。(作品の)ポスタービジュアルは、地球の最後を救う三人みたいに写っていますが、もっと我々の生活に根ざした可笑しさだったり、共感できる部分を描いていながらも、最終的には壮大なテーマを導き出していくんです。それが見どころだと思いました。

——現時点では、ご自身の役柄について、どのように捉えていますか?

高畑 (脚本家は)なんでこんなに私のことよく知っているの?って感じるぐらい、私とヘイゼルは似てます。何時には何をしてと決めるようなところが私にもあるので、驚きです(笑)。ヘイゼルは病的に几帳面なんですよね。でも、そこが滑稽で、面白いんです。そういう几帳面さと真逆にいるのが若村さんの演じるローズですね。

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——劇中では、ロビン、そしてヘイゼルは大きな決断を迫られます。彼らの出した決断に共感できますか?

鶴見:私は昭和39年生まれで、ずっと平和な日本で生きてきました。高度成長期があって、バブル経済期があって、いい時期に生まれて、おじいさんになっているんです。でもここに来て、東日本大震災に遭遇して、初めて大きな試練を突きつけられたような気がしたんです。これをどういうふうに考え、どう行動するか。私たちの世界の中で起こった事実をどう受け止め、どう未来に役立てていくか。もちろん、こういった演劇に出るのも一つの行動だと思うんです。…で、結局、何が言いたいかと言いますと、共感できます。私自身が、共感できると思ったその気持ちをそのままロビンの決断として、お芝居で表したいなと思っています。

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高畑:私は…どうだろう、ちょっとわからないな。(役柄的にも)ロビンとはちょっと違うと思うんですよね。ヘイゼルは、できることなら120歳まで生きようと思って暮らしているし、孫に会うのも楽しい。一番俗物的ですし…。

鶴見 きっと、そこは作品を見たお客さんが答えを出す部分なんでしょうね。議論の対象になるところだと思います。ぜひ、見終わった後に、レストランとかで議論してもらいたいですね。

高畑 うん、そこが楽しいんだろうね。でも、原発だったり、震災だったりというお話は出てきますが、この作品自体は初老の夫婦が生きることや日々の生活のこと、昔の恋人との関係だったりを描いているお話でもあるので、ずっと難しいお話をしているお芝居ではないんですよ。原発や震災という問題は確かに内包しているけど、それを匂わせずに、最後にお客さんにドカンと突きつけられたらいいなと思います。

後編に続く~

ブロードウェイ、ウエストエンドで話題を呼んだ“人類の叡智を問う”注目の人間ドラマ
PARCOプロデュース2018『チルドレン』は、以下の日程で上演。
9月8日〜9日 埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
9月12日〜26日 東京・世田谷パブリックシアター
9月29日〜30日 豊橋・穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール
10月2日〜3日 大阪・サンケイホールブリーゼ
10月10日 高知・高知市文化プラザ かるぽーと 大ホール
10月13日〜14日 北九州・北九州芸術劇場 中劇場
10月20日 富山・富山県民会館
10月30日 宮城・えずこホール

(あらすじ)
巨大地震の影響で、大津波が起き、原発事故が起きた。
津波の浸水で家を追われた夫婦が移り住んだコテージ。
そこに20数年ぶりに女友達が訪ねてくる。3人はかつて原子力発電所で一緒に働いていた核技術者同士。かつてのように語らい、他愛もない冗談を言い合いながらも、彼女が口にしたのは衝撃的な提案であった。原発から遠く離れた海辺のコテージに鳴り響くガイガーカウンター。リタイヤを前にした男女3人の学者たちは、静かに決断を下す——。

作 ルーシー・カークウッド
翻訳 小田島恒志
演出 栗山民也
出演
ヘイゼル:高畑淳子
ロビン:鶴見辰吾
ローズ:若村麻由美

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