俳優のイ・ドンウクが初めて時代劇『天命』の主演に決まり、撮影の合間を縫って来日。2013年4月7日(日)、大阪市の「イオン化粧品シアターBRAVA!」で『イ・ドンウク Fan Meeting in OSAKA』(主催:(株)KJ-net)を開催した。三つ揃えの紺のスーツに茶色の革靴というダンディないでたちで登場したイ・ドンウク。「みなさん、お久しぶりです。2階の方も、1階のうしろの方もよく聞こえますか?昨日雨もたくさん降って肌寒くて、みなさん大丈夫かなと思っていましたが、雨も止んでたくさん来ていただいてありがとうございます」と、一人ひとりの顔をしっかり見ながら落ち着いてあいさつ。前日から続く強風の悪天候にもかかわらず、全国から1100人余りのファンが集まった。
何度も日本各地に来ているイ・ドンウクだが、実は大阪は今回が初めて。前日に大阪入りし、お好み焼、焼きそば、焼き鳥、寿司を食べたという。「そんなに食べて太らないですか?」とMCに尋ねられ、「新しいドラマの撮影に入っているので、寝不足で太らないんです。この中でダイエットが必要な人は、1日2時間の睡眠で1ヵ月過ごしてみてください。8キロから10キロは減りますよ。断言できます」と撮影の大変さを披露。しかも今回は生涯初の時代劇に挑戦中とあって、髭も伸ばしている。
「髭を生やさないと糊でつけないといけなくて、肌によくないので、伸ばしています。でも撮影の時はまだこの間にも貼るんですよ。僕の最近のニックネームは『ハラボジ(おじいさん)』なんです」。
また大阪弁の「何でやねん?!」というツッコミを、手の振りと一緒に教えてもらい、練習。この発音とタイミングが完璧で、「さすが飲み込みが早いですね」とMCも思わず拍手を送る。
日本でも放映された人気ドラマ『女の香り』でのエピソードを聞かれ、ヒロインのキム・ソナとの自転車上のキスの話に。彼とキム・ソナが、現場で監督に提案したシーンだそうで、台本にはなかった演出だとか。時代劇『天命』の撮影について聞かれると、まず大きなため息を吐き、「本当に大変です。殺人の罪を着せられてずっと逃げる役なんですが、馬に乗って逃げるシーンでは、すでに6回落馬しました」と、ハードさを口にした。とはいえ、「好きな韓国語を色紙に書いて」と頼まれると、「時代劇は2度とやらないって書く」と言って、観客を笑わせる余裕も。実はこの日、イ・ドンウクの両親も観客席に招待されており、色紙には、「父母様、愛してます」という韓国語を書いた。質問コーナーで「恋をする時間はありますか?」との問いに、「もちろんあります。時間を作ってでも恋をします」と堂々と語ったり、「お花見デートコーナー」では、ふだんしないという料理にも挑戦。といっても、卵焼きと、タコウィンナー、おにぎりで、ファンから選ばれた2人に箸で食べさせてあげるなど、お茶目な一面も。
そしてドラマ『女の香り』の挿入歌である『ウリ タシ(私たち、再び)』をしっとりと歌った。これは、ヒロインのキム・ソナとのデュエット曲で、彼女の声をそのまま使って披露された。「演技でデートコーナー」では、このドラマの名場面から、肩にもたれさせるシーンと、ぎゅっと抱き締めるシーンを、ファンと再現。最後に、ファンへの手紙を読み上げるコーナーでは、「来日する前に書きましたが、みなさんと過ごすうち、この手紙を読むよりも今の気持ちを伝えたほうがいいと思いました」と語って、観客席に向かい、丁寧に語り始めた。
「俳優になって14年目。この時間はけして短くない時間です。その間に入隊も除隊もして、数本のドラマもヒットして、いろんなことがありました。その中で心に残るのは、日本で初めてファンミーティングを行った時のことでした。とても不思議でした。文化も言語も生活も違っているにもかかわらず、愛してくださるのが不思議でした」
「ある時は、その愛を受けるのが当然のように思った時期もありました。生意気でした。2年の入隊の間、帰る場所はあるのだろうかと不安に思い、除隊後の30代で人間的に成長したと思います。除隊後に日本でファンミーティングを行い、受けていた愛は当然のものではないんだと思いました」
「その時は少しつらい時期で、僕は、みなさんに会えてパワーをもらって生きているんだと強く感じたんです。最近も僕はつらくて寂しいかった。新しいドラマは僕にはプレッシャーで、大変なプロジェクトになりそうですが、またみなさんにこうして会えて、僕は生きていると思えた。これに報いることは、俳優としてがんばることですよね?」
「僕は不完全な人間です。料理も歌もへたです。だから俳優として、『天命』の撮影を、帰国後、最善を尽くしてがんばります。楽しみにしていてください」用意した手紙は、もっともっと短いものだったのだが、結果的に予定終了時間を超えて、自分の言葉できちんと思いを届けたイ・ドンウク。自分の欠点や本音をさらけ出し、感謝の気持ちを述べるその姿には、真摯さが溢れていた。時代劇ではどんな新たな活躍が見られるのか、ますます楽しみだ。