新作の公開の度に日本を訪れ、今回で初来日から20回目の来日を数え、親日家としても知られるトム・クルーズ。そんな彼の最新作『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の日本公開記念のイベントとして2014年6月26日(木)大阪、福岡、東京を一日でまわる日本横断ツアーを決行し、その最終地、東京六本木ではレッドカーペッドでじっくりとファンと触れ合い、相変わらずの優しいトムの対応に、アリーナを埋め尽くしたファンも大満足のひとときを送った。
photo:Yasuhiko Akiyama
この作品は、日本人作家の桜坂洋氏の同名SF小説を映画化したもので、今年1月には「デスノート」で知られる小畑健氏によるコミック化の連載もスタートするなど、既に各方面から高い注目を集めている。
イベント開始と同時にスモークの中からせり上がるトム・クルーズの姿が浮かびあがると、会場からは「トム!」と大きなコールがあちこちから沸き起こり、カメラマンからフラッシュの嵐を浴びせられた。そしてトム・クルーズのオーラに一瞬空気が止まったかのように感じられた。
今回のイベントには、監督のダグ・ライマン氏、製作のアーウィン・ストフ氏も共に参加しており、情報によればこの弾丸ツアーのためにトムとともにチャーター機に乗ってきたスタッフはなんと80名!だそうで、それを聞いただけでもビッグスケールな映画だということが伝わってくる。
まず、登壇したトム・クルーズ、ダグ・ライマン監督、アーウィン・ストフPDが日本語で「こんにちは!」と挨拶して舞台でのトークが始まった。
アーウィンPD:日本のこのような本(原作)を私に下さって、素晴らしい映画ができたことを感謝いたします。あなた方のために、日本の小説から作って持ってきました。どうぞ楽しんでください!
ダグ・ライマン監督:日本が大好きです。東京も大好きです。私の一番好きな都市です。そして私はニューヨーク出身ですが、東京とニューヨークは姉妹都市なので居心地がよく家に帰ったような気分です。今日は原作者である桜坂洋さんも来られるということで、彼には本当に感謝していますし、日本の文学を私達ハリウッドの人間に託して下さったので、トム・クルーズ主演の映画ができました。やっと日本にこれを持って帰ることができました。ありがとうございます。
トム・クルーズ:日本を愛しています。そして東京も大好きです。(日本語で)アリガトウ!本当に東京は私をいつも歓迎してくれて興奮しています。皆様のご好意に感謝しています。ありがとうございます。この映画を皆様に見ていただきたくて一生懸命作りました。日本の原作は私にとって特別に想いがこもっています。本当に今まで見たこともないようなラブ・ストーリーですし、キャラクターもユニークです。ユーモアもありますので、是非皆さんに早く見ていただきたい気持ちでいっぱいです。
Q:日本原作の作品ということで、私達日本人は誇らしい気持ちになりますが、『ALL YOU NEED IS KILL』という映画にこの作品をしようと思ったきかっけについて教えてください。
アーウィンPD:この本を読んだ時に、生で誰も作ったことの無いことが新しい映画ができると確信できたのです。そしてスケールも大きく、映画的な小説であること。一番嬉しかったのはトム・クルーズを使うということがプロデューサーとしての喜びでありました。
Q:迫力のアクションシーンに圧倒されます。そしてトム・クルーズさんとエミリー・ブラントさんがかもし出す人間味に強く惹かれますが、監督はトムさんと初めて仕事をされたと聞きました。トムさんの凄いところはどのようなところでしょうか?
ダグ・ライマン監督:まず皆さんに質問をさせてください。皆さんトム・クルーズが好きですか?(と会場に投げかけると会場からわ~っと反応が。)僕も本当に好きなんです。(トムのことを)そしてこの映画を見た後、もっと彼を愛することでしょう。トム・クルーズほど一生懸命、仕事をする人はいません!こんなに全身で思い入れする人はいないし、3年前にこの映画の撮影が開始されてから彼は日本で公開する日をわくわくして待っていると語っていました。今のこの瞬間の話です。私はトム・クルーズと仕事をすることが夢でした。今の夢はまた一緒に仕事をしたいと変わりました。(それを聞いて隣にいるトムがありがとう!と笑顔で答える。)
Q:トム・クルーズさんは、この出演依頼をすぐに快諾されたそうですが、どのような点が気に入ったのでしょうか?
トム・クルーズ:まず、ダグ・ライマン監督との仕事に期待を持ちました。いつも素晴らしい映画をお作りになるからです。どの作品も非常にユニークな特徴を持っています。彼の映画に出てくるキャラクターが好きで、もう何年も彼のファンでした。何年か前に実際に彼に会いまして、そこに運良くこのアーウィンPDがいらっしゃいましてこのスクリプトを見せて「どうだ?」と言われました。その1日を何度も生き返るという発想がとてもかっこいいと思ったのです。この機動スーツもとてもかっこいいと思いました。それは3年前で3人が一生懸命、心血を注ぎこの映画をいい映画にしようと誓い合ってこのようになったわけです。(会場から大きな拍手と声援が)これは日本の小説なのですから、ここに来て(日本で公開する)この瞬間のことをずっと語り続けてきました。私にとって今は本当に特別な時間なのです。言葉では言い尽くせないくらい感動しています。ありがとう!
Q:今回のアクションシーンで一番苦労されたことは何ですか?
トム・クルーズ:アクションは僕の仕事の一部でしかないのです。それより重要なのは構成を考えること、そして役作りなのです。何度もシナリオを読み返して、ダグは決して妥協しない・・その根性に私は惚れています。しかし、この機動スーツはチャレンジでした。実際に機能するんですよ?コンピューターで作った映像でないです。感情もリアルに演じたいと思ったんです。それがお客様を惹きつける秘訣です。キロに換算すると4、50キロはあるのですが、それを着て毎日アクションしていたので冷蔵庫をしょって仕事をしているくらい重たかったです。(隣にいる翻訳家の戸田奈津子さんを指して)戸田さんにも着せてみましたが、手も上がらなかったでしょう?でも最後まで監督は着なかったんですよ!(と監督をじっと見る)監督は自分が着るとトムが可哀想になってしまうからと着なかったんです。
ダグ・ライマン監督:確かに私は着ていません。これを着て水の中に落とされたり吊るされたり、火の中を走ったりと色々なことを(トムが)してくれたんですが、火が熱いし、煙が出ていたこともありました。本当にトム・クルーズと一緒に仕事をするということは、素晴らしい俳優であり、スタントマンでもあります。すべてのシーンを本人がこなしていますし、デジタルの処理も一切ありません。全部彼が演じています。
終始トム・クルーズは、自分と関わりの強い日本の仕事ができたことへの感謝と喜びを全身でアピールしていた。そしてトーク最後には原作者の桜坂洋氏がステージに登場!この原作が大きなスケールで映画化されたことについて、どう思われますか?との質問に、「やっとというか、夢のようですね。まずトムの横に戸田さん以外の日本人がいる状況は珍しいのではないか?(笑)と思います。僕が書いているものは、よくアニメとかにはなるのですが、そういう想像力があった時、どういう物になるんだろうと思っていました。予想を越えてハリウッドの脚本、演技、演出、特殊効果が素晴らしいものができたと思います。その中でも僕らのストーリーには必ずヒーローがいますが、漫画ちっくなキャラクターがどういうふうに現実と一緒になるのか?トム・クルーズが漫画で書いたものを実写で実現してしまった感じですね。」と、この映画化を絶賛した。
そしてアーウィン監督は、桜坂洋氏がハリウッドを信じて託してくれたことへの感謝を伝えた。トム・クルーズはこの場で原作者と並んでいることには実はマンガが日頃大好きで、桜坂氏のマンガ版をプレゼントして貰って嬉しいですとにこやかに語った。
トム・クルーズ挨拶
愛してます。今晩来てくれて本当にありがとう。心からお礼を申し上げます。本当に私にとって何よりのかけがえのない喜びです。
トムのラストメッセージの後、会場のファン全員からサプライズ!映画日本公開の一日前の7月3日はトムの誕生日ということで、一足早いプレゼント。一斉にハッピーバースデーの歌を大合唱すると、何も知らなかったトム・クルーズが満面の笑みで「今年初めてのプレゼントです」と本当に嬉しそうに会場のファンを見つめた。ここでトークショーは終了し、ここからはファンお待ちかねのレッドカーペッドを、ゆっくりと歩いて多くのファンにサインをしつつ2ショット撮影に丁寧に応じ、この日の幕を閉じた。この日の横断ツアーは大阪ではファン3000名、博多では7000名、東京では1500名がトムのために集まり、延べ移動距離はなんと1368km!映画と同じくイベントのスケールの大きさにも圧倒された。
映画オール・ユー・ニード・イズ・キル
7月4日(金)全国2D/3D/IMAX同時公開!
c2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS(BMI)LIMITED
配給:ワーナーブラザース映画