取材:記事・写真/RanRanEntertainment
観終わった後、心がほんわり温かくなり、大切な誰かに愛を伝えたくなる物語。川平慈英と鈴木壮麻が主演するミュージカル『フロッグとトード~がま君とかえる君の春夏秋冬~』の公開稽古が7月18日(火)、都内で行われ、囲み取材には主演の二人に加え、戸井勝海、中山昇、宮菜穂子、樹里咲穂と全キャストが顔を揃え、演出の鈴木裕美氏も参加した。
軽快でポップなナンバー、カラフルな色使い、混声ボーカルの美しいハーモニー。なにより主演のふたりが演じる愛らしいキャラクターに魅了されるミュージカル『フロッグとトード~がま君とかえる君の春夏秋冬~』が2年ぶりに帰ってくる。オリジナルは数多くの児童文学の賞を受賞した20世紀アメリカを代表する絵本作家アーノルド・ローベルの著書『Frog and Toad』シリーズ。ブロードウエイのミュージカル“A Year With Frog and Toad”として2003年度にはトニー賞で最優秀作品賞/最優秀オリジナルスコア賞/最優秀脚本賞の3部門にノミネートされたこのミュージカル、日本では五度目の再演となる。
春に目覚めて、冬に再び眠りにつくまでの、がま君とかえる君のおかしくも心温まる友情物語。「手紙を一度ももらったことがないから郵便が来る時間は悲しい」とさびしそうながま君に、手紙を書いてあげるかえる君。カタツムリ君に託した手紙が、到着するまでに喧嘩をしてしまう二人。愛らしい動物たちの世界動物の世界の物語ではあるけれども、描かれているものは大切な人を想う心や、すれ違い、和解など人間たちが共感できるハートウォーミングなストーリー。
主演の川平は、「今の世の中、何かあると突かれるし、引きずり下ろされるし、自分を守るために鎧を着ないと生きていけない。この作品を通して、他人をあるがままで受け入れる寛容さや優しさを持ってほしい。大切な人のために動く、生きる、泣く、笑うことの素晴らしさをこの2時間で体験できると思います」。
初共演となる戸井は「この前、稽古を観てて自然に泣いちゃった。僕は普通の大人より泣きやすい体質だけど(笑)、普通の大人が見ても十分感動できます。このお芝居をしていて、自分の普段を振り返ると心が痛い。もっとちゃんとしなくちゃ、人に優しくしなくちゃって思うんです。この『フロッグとトード』の世界が大好きで、ずっとこの世界で生きていきたい」と語り、初演から共演している宮は「この作品のセリフが私生活の中で出てくることがあって、学ばされます。家族、おじいちゃん、おばあちゃん、ペットや植物だったり、いろんなものを大切に想うようにしてくれる作品」と演じるキャストたちも物語の素晴らしさを熱く語る。
また川平が「歌と音楽と踊りと、セットと照明と衣装が素晴らしいんですよ。おもちゃ箱をひっくり返したような素敵なファンタジックな舞台になっています」と語る通り、がま君の家に掲げられたカレンダーにカエルの絵がついていたり、目覚まし時計がOMRGAならぬ「OGAMA」だったり、細部にまでこだわって作り込まれた世界観がすばらしい。それでいて、主役の二人はカエルのかぶりものなどせず、ダンディーなスーツ姿。それでもしっかりと「がま君」と「かえる君」に見えるのは、二人の役者としての力のなせる業だろう。ちょっぴりわがままな「がま君」にどこまでも良い人な「かえる君」。川平と鈴木が、がま君、かえる君の性格そのものに見えてしまうほど、出演者それぞれがキャラクターにぴったりはまっている。
出演者すら「ずっとこの世界で生きていきたい」と恋してしまうキュートな物語。どこかに旅に出るのもいいけれど、この夏は時間を少しさかのぼって幼い頃の純粋な思いが溢れるおとぎの世界に遊びに行ってみるのもいいのではないだろうか?見終わった後に、ちょっぴり心が優しく柔らかくなっているはずだ。
『フロッグとトード~がま君とかえる君の春夏秋冬~』は、7月23日に埼玉・志木市民会館パルシティで幕を開け、8月16日か~20日は東京・東京芸術劇場、26、27日に埼玉・彩の国さいたま芸術劇場大ホールで上演され、全国で地方公演も行う。
公式HP
http://www.stagegate.jp/stagegate/performance/2017/frog_and_toad/index.html