取材:記事・写真/RanEntertainment
長乱をなびかせた男たちの一糸乱れぬ演舞に、舞台からものすごいエネルギーで打ち抜かれる。「アミューズ」所属の俳優18人で構成する「劇団プレステージ」の最新作『URA! URA! Booost』。ビシっと長ランで決めたメンバーたちがとにかく男くさくてカッコイイ。初日を控えた8月16日(水)東京・紀伊国屋サザンシアターで行われたゲネプロがマスコミ向けに公開され、リーダーの今井隆文、猪塚健太、大村まなる、株元英彰、の4人が取材に応じた。
「ウラ~、ウラ~、きーたーこーし」北越大学伝説の第12期応援団長・赤城ダイスケ(猪塚)の力強い美声が響きわたり、巨大な団旗が翻る。某大学の応援団に指導を受け、約2か月間ひたすら練習を重ねたというそのパフォーマンスは、華麗にして流麗、それでいて熱く男臭く、とにかくカッコイイ。石原壮馬、猪塚健太、今井隆文、岩田玲、太田将熙、大村まなる、風間由次郎、加藤潤一、株元英彰、城築創、小池惟紀、向野章太郎、坂田直貴、園田玲欧奈、高橋秀行、長尾卓也、原田新平のフルメンバーが全身全霊で誰かを応援する『URA! URA! Booost』がこの瞬間開幕した。
真っ只中にいるときの「がむしゃら感」、「きつい、やめたい」といいながら絆が深くなっていく青春特有の青臭い熱さが、笑いや今井、都築、太田演じる抜け感のあるキャラクターと混じり合って、絶妙に可笑しく楽しく胸アツの芝居となった。応援団のことなど何も知らなくても、まさに「応援団あるある」なんだろうと観客に感じさせる応援団のリアルを取り上げて、上手く笑いにつなげるそのセンスが、株元が語るとおり「これが劇団プレステージだ」。脚本・演出の妙に、メンバーの演技力と個性が相まって、2時間一幕ものの舞台の中で、一瞬たりとも惹き付けられない場面はない。観客はまさに、彼らとともに笑い、泣き、胸を熱くして青春を一気に駆け抜ける。
応援団のパフォーマンスとしても存分に魅せてくれる今作の劇団プレステージ。大学の応援団から指導を受けたとあって、練習も大変だったようだ。「まず応援団の型をしっかりと、メンバー全員でひたすら毎日、何時間も同じことを繰り返して(猪塚)」「腕が棒になるまで(今井)」練習したという。声を張り上げる場面も多い。「(メンバーの中には声が)嗄(か)れてる人も何人かいらっしゃいました(なぜか敬語の猪塚)」「応援団っていうのは“嗄れる美学”みたいな(株元)」「嗄れてて基本(猪塚)」「声、嗄れろ!お前らっていう(株元)」と口々に語る彼らに、まるで本物の応援団さながらの厳しい練習風景だったのだろうと想像できる。
その厳しさをメンバー全員で乗り切った彼ら。団長の今井が『URA! URA! Booost』はまさに「等身大」の彼ら自身と語る通り、練習を通してメンバー自身も迷い、自問自答し、仲間との絆の再確認ができたのではないだろうか。この舞台が胸に迫ってくるのは、舞台上にある彼らの絆が真実だからなのかもしれない。
今回熱血漢の副団長・安藤ユタカ役を務める大村が語るように「常に全力の劇団プレステージ」。今回は、応援団として全力中の全力、圧巻のパフォーマンスを見せてくれるが、誰を一番応援したいかの問いに、間髪入れずに今井が「それは、もう来て下さるお客様です」と嬉しい答え。「今もそうですよ。取材してくださる皆様に対しても、そう思ってますので」となんと取材陣に対して4人からのエールが。「フレー、フレー、取材陣の方々(猪塚)」「フレ、フレ、取材陣の方々。押忍。ありがとうございました。(大村&今井&株元)」。日々の取材や締切でヨレヨレになっていた本サイト記者とカメラマンはじめ取材陣一同、4人の温かい人柄とエネルギーで疲れがいっぺんに吹き飛んだ。
そんなところも愛すべき劇団プレステージ。夢は「東京ドーム」でのステージだという。その夢への道のりが「今、まだ2合目です」と応える今井。「2合目から8合目まではすぐに行くと思います。来年か再来年。」残り2合に行くためには何が必要かとの記者の問いに「うちのメンバーが誰かひとり売れることだと思います」と答え、会場を沸かせた。
笑いも多いが、心に残るセリフも多い今作。それぞれ一番心に残ったセリフを聴いてみた。
ここ2、3年悩むことが多かったという大村は、「お前は今何と戦っているんだ?」というセリフとそれに続く答え「自分と戦っています」という二つのセリフが印象的だという。本人曰く周囲の人たちの応援で「迷いの森」から抜け出したが、その森に帰戻らないように今も闘い続けているとのこと。そんな大村を心配する株元の心に残るセリフは、「中途半端に逃げて背中を向けるな。確実に安全な場所まで逃げて様子を窺え。来るべき時そこから出てくればいい」というセリフで、先輩の大村にその言葉を贈りたいという。好きなだけ迷っていいんですよと先輩想いの言葉に大村も感動の様子だった。
今井は、「しょうがない(仕様がない)はない。いつなんどきでもしょうがある(仕様がある)」というセリフを選び「これは普段も使おうかと思っています」と付け加え、取材陣を沸かせた。一番名セリフが多い猪塚は、ひとしきり悩んだ後、「応援する方も、することによって自分を奮い立たせている」といセリフをピックアップ。「このセリフって結構深くて、純粋に応援できないかもしれないけど、苦しかったら誰か応援したら自分も元気になれるんじゃないかと思うんです」とこのセリフを選んだ理由を語った。
人生はいつも迷いの連続。だけど、こんな風にとにかく全力で応援してくれる彼らを見ているとそのエネルギーにとにかく元気づけられる。そして、猪塚が言うように、元気がなければとにかく彼らを応援してみよう。全力でぶつかってくる彼らを応援することで、きっと元気になれるはずだ。メンバー全員の全力のパフォーマンスがとにかく舞台を熱くする。そこに様々な笑いが詰め込まれた『URA! URA! Booost』。いろいろあっても「僕らは一つで、頑張っていく、前を向いていく」という今井の言葉通り、劇団プレステージ第2章を飾るにふさわしい作品に仕上げっている。観客として彼らを「押し上げ」つつ、彼らからも「押し上げられる」エール交換のような舞台を是非楽しんでほしい。
8月16日(水)から8月27日までの11日間、15公演を彼らは自分たち、そして客席にいる観客を全力で応援しつつ、駆け抜ける。
中学テスト5教科ガチテスト、河川敷ガチ50M走を行った結果のメンバーのランキングなど楽しい企画が盛り込まれた舞台パンフレットもファンにはたまらない内容となっている。
劇団プレステージ 公式HP http://amuse-gekipre.com/
劇団プレステージ
2010年、アミューズ所属の若手俳優からなる劇団プレステージ。「より多くの人達にエンターテイメントを通じて感動を届けたい。」そんな熱い想いを胸に秘めた、がむしゃらな男 性俳優18名で構成。あらゆるエンターテイメントを創造する、未知なる可能性をもった劇団である。