左から:白鳥玉季、藤間爽子、黒木華、中村蒼、近藤華、草野翔吾監督
映画『アイミタガイ』の完成披露試写会が9月30日(月)に都内劇場で行われ、主演の黒木華、共演の中村蒼、藤間爽子、近藤華、白鳥玉季、そして草野翔吾監督が登壇した。
不慮の事故により親友・叶海(藤間爽子)を失い立ち止まってしまった主人公・梓(黒木華)を軸に、梓の恋人・澄人(中村蒼)をはじめ、梓を巡る人々の想いが巡り大きな輪になっていく。梓を軸にして見逃してしまいそうなかすかな触れ合いが繋がって、小さな奇跡が起こる物語。10月2日~11日開催の第29回釜山国際映画祭にてコンペティションのジソク(Jiseok)部門に選出、正式出品が決定。また、黒木華自身が主題歌を担当していることでも話題を呼んでいる。
黒木は自身の役どころについて「私が演じた梓は、仕事も頑張りつつ、傷つきながら何とか前に進んでいきたいんだけれども進めない。澄人(中村)との関係性にも悩みながら生きている。でも、皆さんに共感してもらえるような、皆さんのすぐそばにいるような役だと思っていたので、梓の気持ちがすごく分かりましたし、人と人との繋がりを感じられる役柄でした」と十分共感できたと述懐。
また、自身主題歌を歌唱していることに「私自身覚えてなくて、『私、歌います!』っていつ言ったんだろう?って、『歌います!』って言った記憶がなくて気づいたら・・・」歌っていたという。「プロデューサーさんが誘導していったという噂を聞きました」(中村)に黒木は苦笑。草野監督は「僕はレコーディングに立ち会わせてもらいましたが、本当に素敵でした」と太鼓判を押した。黒木は「『夜明けのマイウェイ』という曲自体、すごく難しかったんですけど、歌唱指導の先生が入っていただいて、最初は一音一音を意識してやったんですけど、先生が『梓の気持ちとリンクする歌詞の方を意識していたら大丈夫です』と言っていただいたおかげで何とかやりきることができました」と振り返っていた。
梓の恋人・澄人を演じた中村は「彼はどこか抜けていて、タイミングの悪い男って言われるんですけども、ここぞっていうところでは彼の逞しさが出ているので、彼を一人の人間として尊敬できると思いながら演じさせてもらいました」と演技に自信を覗かせた。
梓の親友・叶海を演じた藤間は「叶海は正義感が強くて、夢をしっかり持っていて、カメラマンという何気ない日常を撮っている子。普通の人が通り過ぎてしまうような変化にもパッと気づけて、立ち止まってあげられる優しさ、手を差し伸べる勇気を持っている人と感じました。私も“写ルンです”を買って、気に留めなかったものを撮ってみて、普段気に止めなかったものに目が行ったり気づかされた。思いやる気持ちがあると見えないものが見えてくる、寄り添う気持ちってすごく大切なんだなと思いながら叶海を演じました」とコメントした。
梓と叶海の中学生時代を演じた近藤と白鳥。梓役の近藤は「叶海という存在がすごい。叶海の明るさで、自分の笑顔を取り戻していくんですが、その友情と明るさが素晴らしい。いいなって思いながら演じてました」、叶海役の白鳥は「叶海は梓を照らす明かり、光みたいな存在だなと思った。そんな子ってどんな生活をしているのか全く想像がつかなくて、現場で笑顔とかお礼とか、そういうことを意識しながら、叶海を想像していきました」と工夫を明かした。
黒木は「お二人(近藤と白鳥)が素晴らしいすぎる。私(梓)と爽ちゃん(叶海)の出会いの場面をこの二人が全部埋めてくれるんです。親友っていう絆を瑞々しく二人が演じてくださった。二人(梓と叶海)は一緒にいるんだという説得力がすごく生まれている気がして、素晴らしい女優さんたちだなと思いました」と二人の演技を絶賛した。
イベントの後半は「同じ境遇にあるもの同士が思いやり助け合うこと」という意味を持つ「相身互い(あいみたがい)」のタイトルがちなんで、各自が「あいうえお作文」に挑戦。
あ「あなたに届けたいです」(白鳥)
い「いつまでも」(藤間)
み「みんなで」(黒木)
た「助け合い」(中村)
が「頑張った」(近藤)
い「いい映画」(草野監督)と、言葉を続けると、見事な「あいうえお作文」が完成した。
さらに、原作者の中條てい氏が花束を持って登壇、出演者を代表し黒木が花束を受け取った。中條氏は「映画が決まり、主役が黒木華さんとお聞きした時、本物の梓が来てくださったんだと思いました。とても感激しました。素敵な梓と素敵な澄人と素敵に出会うことができ、さらに私が書かなかった中学時代の梓と叶海にも出会いました。本当に幸せでございます」と感謝の言葉を贈っていた。それを受けて黒木は「(中條先生が)書いてくださらなかったらきっと始まらなかったですし、そこから脚本になり、草野監督に行き、こうして役者が集まって一本の映画に繋がっていくという、本当にありがたい空間にいるなと思いましたし、『アイミタガイ』という私の知らなかった言葉もこんなに胸にしみる。演じることで知れたことですし、すごくありがたいなと思います」と返礼した。
イベントの最後には草野監督は「この映画は中條先生が書いた小説を元に、2020 年に亡くなられた佐々部監督が書かれ、巡って私のところに脚本が来て監督することになったという経緯があります。僕としては不思議な巡り合わせを感じるんです。けれども、この映画が見てくださった方には人間関係の不思議な繋がりを感じるきっかけになってくれたらいいなと思います。楽しんでいただければと思います」と挨拶。
黒木は「この『アイミタガイ』という言葉は、すごくいい言葉。人から人へ繋がっていく親切や優しさが感じられなかった時間を過ごして、知らないところで人が繋がって、人が一人でないことを感じられる作品になっていますし、皆さんに寄り添うような映画になっています。ぜひ楽しみにしていたください」と締めくくった。
映画『アイミタガイ』
2024年11月1日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給:ショウゲート © 2024「アイミタガイ」製作委員会