取材:記事・写真/RanRanEntertainment
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7月にSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019で国内コンペティション短編部門の観客賞を受賞。“回復期リハビリ病院”が舞台の短編映画『歩けない僕らは』が、11月23日(土)~新宿K’s cinemaほかにて公開される。「セラピスト(理学療法士)と患者さんの関係性を描くこと」をテーマに制作され、佐藤快麿が監督・脚本・編集を務めた。突然脳卒中で倒れ、後遺症で左半身麻痺となった柘植役を演じた落合モトキが作品への思いを語った。
—-出演が決まるまでのいきさつと台本を読んだときの感想を教えていただけますか?
監督とプロデューサーが事務所に来てくれて、オファーがありました。台本を読んで、『繊細な作品だなぁー』って思いました。
—-佐藤快磨監督とは1歳違いだそうですが、どんな方でしたか?
台本を読ませてもらって、アクの強い自分の世界観を出していきたい年代なのに、「こういう(繊細な)作品を撮るんだ……」と思いました。現場では、年齢が近いこともあって、いい距離感で仕事が出来ました。
—-撮影前に栃木の回復期リハビリ病院“リハビリテーション花の舎(いえ)病院”に行かれたそうですが、どんな感想を持たれましたか?
実際にリバビリされている人たちを見て、リハビリをすることで歩けることが重要なのではなくて、歩いて何をするかが大事なんだな。リバビリするだけじゃなく『生きよう!』と頑張っている人を演じなければいけないと思いました。
—-脳卒中で、突然半身不随の身体になった・柘植の役作りへのアプローチは?
車椅子に乗ってみて、いい気はしなかったです。「明日、自分にも起こることかもしれない。明日は我が身」と思いましたが、反発する気持ちや怒りも出てきました。それと、大変なのは、周りの人たちなので、大事なのは周りの人への接し方なんだなって、この作品を通して向き合うようになりました。
—-新米理学療法士の遥役を演じた宇野愛海さんと共演された感想を教えてください。
現場ではあまりしゃべらなかったのですが、それが正解でした。役でセリフを言い合っているときはうまくキャッチボールができました。いい女優さんだなと思います。
—-作品を通じてどんな思いを抱きましたか?
今まで普通にできていたことができなくなって、ネガティブな気持ちになって、爆発しちゃうシーンに特別な思いがあります。「一歩踏み出す勇気」がもらえる作品になったと思います。
—-今まで、思うようにいかなかったことがあった時、どんな対応をしてきましたか?
頑張っても結果が出ないこともありましたが、嫌なことは忘れることですよ。僕は寝るだけです(笑)。ウジウジ言っても仕方がない。次ですネ。
—-落合さんが「俳優になろう!」と思ったきっかけは?
スカウトされて子役としてデビューしましたが、13歳の時にドラマ「4TEEN」に出演して、「演技するって、楽しいんだ」と思ったのがきっかけですね。
—-今後演じてみたい役や共演してみたい俳優さんはいらっしゃいますか?
来年30歳になるので今後は、バリバリ仕事をしていきたいです。後輩に好かれる役者になりたい。演じてみたい役は非現実的な役柄。ミュージシャンとか、異性トランスジェンダーの役もいいかな。面白そう!共演してみたいのは女性では、杉咲花さん。男性では吉沢亮さんです。
—-最後にメッセージをお願いいたします。どんな方に観て欲しいですか?
観る人の年代でいろいろな感じ方がある作品です。観た後に普段のありがたみが感じられる温かな作品です。皆さんに観ていただけたらと思います。
(取材・文 福住佐知子)
映画『歩けない僕らは』は11月23日(土)~新宿K’s cinemaほかにて公開
■あらすじ
宮下遥(宇野愛海)は、回復期リハビリテーション病院1年目の理学療法士。まだ慣れない仕事に戸惑いつつも、同期の幸子(堀春菜)に、彼氏・翔(細川岳)の愚痴などを聞いてもらっては、共に励まし合い頑張っている。担当していたタエ(佐々木すみ江)が退院し、新しい患者が入院してくる。仕事からの帰宅途中に脳卒中を発症し、左半身が不随になった柘植(落合モトキ)。遥は初めて入院から退院までを担当することになる。「元の人生には戻れますかね?」と聞く柘植に、何も答えられない遥。日野課長(山中聡)と田口リーダー(板橋駿谷)の指導の元、現実と向き合う日々が始まる。
宇野愛海 落合モトキ
板橋駿谷 堀春菜 細川岳 門田宗大
山中聡 佐々木すみ江
監督・脚本・編集:佐藤快磨 プロデューサー:登山里紗 撮影:加藤大志 撮影助手:勝亦祐嗣 照明:高橋拓 録音:吉方淳二 音楽:田中拓人 衣裳:馬場恭子 ヘアメイク:橋本申二 ヘアメイク助手:西田美香 助監督:葉名恒星 制作部:福島成人、原田親 スチール:西永智成 協力:医療法人社団友志会、十一合同会社、MotionGallery、独立映画鍋、ニューシネマワークショップ、アクターズ・ヴィジョン、栃木県フィルムコミッション、栃木市 配給:SPEAK OF THE DEVIL PICTURES ©映画『歩けない僕らは』 2018 /日本/カラー/ 37分/ 16:9 / stereo 公式サイト:www.aruboku.net Twitter:@uno_narumi_proj facebook:www.facebook.com/unonarumiproject Instagram:aruboku_movie
【左片麻痺患者・柘植篤志役 落合モトキ(おちあい・もとき)】
<プロフィール> 1990年7月11日生まれ。近年の主な代表作として、「マジムリ学園」(’18)、ABC「パーフェクトクライム 」(’19)、Netflix『夫のちんぽがはいらない』(’19)、WOWOW「ポイズンドーター・ホーリーマザー」(’19)などがある。