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2023年5月1日 21:59

【前編】映画『さいはて』北澤響インタビュー 初主演映画でみせた体当たりの演技「全部が難しかった」

取材:写真/RanRanEntertainment

『海辺の生と死』『アレノ』『愛の小さな歴史』など、高い文学性と街に生きる人々の生と性を独自の視線で描く手法から、孤高の映像詩人と謳われる越川道夫監督の最新作『さいはて』が、5月6日(土)から公開される。本作は、夜の街で出会った虚ろな女性と秘密を抱える塾講師の幻想的かつノスタルジックな逃避行を描いた作品。ヒロイン・モモ役を本作が長編映画初主演となる新進女優の北澤響が、塾講師のトウドウを中島歩が演じる。今回は、北澤に初主演映画への想いや撮影現場でのエピソードなどを聞いた。

 

018s


――本作が長編映画初主演となりますが、オファーを受けてどんなお気持ちでしたか?

素直に嬉しかったです。もちろん主演をいただいたからにはズシンとしたものは感じていましたが、プレッシャーで苦しくなるというよりは嬉しい気持ちと楽しみな気持ちが大きかったです。

――最初に脚本を読んだ時の印象を教えてください。

とにかくラストが素敵だというのが第一印象でしたし、これがどうやって立ち上がっていくんだろうという楽しみがありました。自分がモモを演じ、中島さんと一緒にどのように作り上げていくのか、最初に脚本を読んだ時にはまだ想像がつかず、ただ楽しみという気持ちだけがありました。正直なところ、モモという人物に対しても、脚本を読んだ時点ではまだはっきりした形がなかったんですよ。私が映像でお芝居をする時は、石膏で人物を作り上げているようなイメージがあるんです。最初はただの四角だったものが、段々と崩れていって、最後に輪郭が見えて出来上がるというような。なので今回も、一緒に演じてくださった中島さんと越川監督と一緒に探していく作業をしていたように思います。もちろん、撮影現場に入る前にも色々と考えてはいたのですが、大前提として一緒に作り上げていきたいという思いがあったので、あまり決めつけずに、現場で生まれたものを大切にしています。

 

025s


――監督から事前に、モモというキャラクターについてのお話はありましたか?

 特になかったです。ただ、「私の全部を持ってきてほしい」とは言われていました。全部というのは、全力ということだと思いますが。

――では、改めて振り返ってみて、モモはどんな人物だと感じていますか?

とてもまっすぐな人だなと思います。出来上がった作品を観ても、自分で恥ずかしくなるぐらい全力だなって(笑)。実は、映像を観るまでは分からないところもあったのですが、映像を観たことでモモはこういう人だったんだと納得したというか…きちんとモモになっていたんだなと感じました。

 

011s


――演じている時には、モモらしさのようなものは特に意識はしていなかった?

 中島さんと一緒に作り上げる、一緒にお芝居をするという気持ちを第一に持っていたので、相手をきちんと見ることを意識していました。そうしたら、ああいうモモが出来上がっていました。なので、ああしたモモになれたのは、中島さんのおかげでもあったと思います。

――ほとんどのシーンが、中島さんとお二人だけのシーンでしたね。撮影はいかがでしたか?

 中島さんのことはこれまでずっとスクリーンで観ていたので、緊張しました。ですが、すごく寄り添ってくださり、一緒にお芝居しているというのが伝わってきて、とてもありがたかったです。中島さんとでなかったら、できなかったというところがたくさんあります。

 

013s


――撮影中は、コミュニケーションはたくさんとっていらっしゃったんですか?

 撮影の間などにお話をさせてもらい、色々お勉強になるお話をお聞きしました。

――中島さんのお話の中で印象に残っていることは?

 (中島が言った)「嫌なことは嫌って言っていいんだよ」という言葉はよく覚えています。私は結構、何に対しても「はい、はい」という感じで生きてきたので、嫌だと思うことは主張していいんだと胸に刺さりました。

 

032s


――作品を拝見していると、アドリブのシーンも多かったのかなと感じましたが。

 確かに、アドリブのようなお芝居はありました。実際には使われていないかもしれないですが、何回か同じシーンを繰り返し撮影していく中で、脚本を読んで想像していた時とは違うものになることはありました。例えば、キスをするシーンではなかったけれども、演じていたら自然とその流れになってキスをすることになったり…。それが不自然ではなく、この流れならそうするなと納得できる展開だったので私の中では印象に残っています。

――物語が進むにつれて、どんどんモモとトウドウが密接になってきて、気持ちも昂っていくという演技が必要だったと思いますが、その辺りの難しさはいかがですか?

正直なところ、全部が難しかったです。撮影1日目、2日目は、特に不安も大きかったのですが、監督や中島さんのサポートのおかげで、撮影が進んでいくにつれて手応えみたいなものも少しずつ感じられるようになった気がします。

 

005s


映画『さいはて』は、5月6日(土)より公開。

公式サイト https://mayonaka-kinema.com/saihate/

 

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