取材:写真/RanRanEntertainment
――越川監督の演出を受けた感想を教えてください。
たくさん引き出してもらいました。多くを語る方ではないですが、監督から言葉をいただいて、自分の中をその言葉が巡って、揉んでいって…という循環があったように思います。
――撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
私はずっと緊張してましたが、皆さんはそうではなかったと思いますよ(笑)。和やかでしたし、休憩もしっかりとる現場でしたので、現場の方が作ってくださったご飯をみんなで囲んで食べたりもしました。
――ほとんどがロケでしたよね?
そうですね、外での撮影が多かったです。道なき道を歩いていくシーンもありましたし(笑)。私は冒険をしているようで楽しかったですが、中島さんは辛いと言ってました(笑)。
――印象に残っている撮影や特に苦労したシーンは?
どのシーンというよりも、クランクイン初日の撮影がとにかく緊張していて苦労したのを覚えています。それから食堂のシーンも苦戦しました。「ここに入ろう」とモモがトウドウさんを無理矢理、連れ込んでご飯を食べるシーンなのですが、なぜかトウドウさんをそこに引き止めることができなくて…。監督から「無理矢理でもいいから彼を止めて」と演出があったのですが、それがどうしてもできなくて難しかったです。
――それはモモの心情として、止められなかったということだったんですか? それとも、単純にアクションとして?
アクションとしてかな。今、思い返すと、止める力が弱かったんじゃないかなと思います。その時のモモのパワーがまだ弱かった。撮影が進んでいけばまた違ったかもしれないです。
――モモに共感したり、理解できる部分は多かったですか?
理解はできます。似ていると言ったら恥ずかしいですが、何度振り払われても、食いついていくところは私もすごく分かります。こういう北澤響がいるからこういうモモができたのかもしれないなと思います。
――トウドウみたいな男性はいかがですか?
面倒くさいなと思います(笑)。でも、それが好きな人だったら、モモのように心の隙間に入りたくなるんだろうなというのも分かります。そういう魅力がある人だと思います。面倒くさいのが可愛いみたいなところがあるんだと思います。
――劇中には、「靴が鳴る」を歌うシーンがありましたが、歌を歌うのはお好きですか?
いや、苦手意識があるので、正直、どうなるんだろうと不安がありましたが、現場に入って一緒に歌ってしまえば気にならなくなりました。私は普段はカラオケにもほとんど行ったことがないんですよ。それくらい人前で歌うのが苦手でした。ですが、今回、ラストシーンでは楽しく歌えたと思います。
――では、逃避行を描いた作品にちなんで、北澤さんが辛いことがあった時や苦しい時の「逃避の仕方」を教えてください!
寝ます(笑)。私は単純なので、寝るとスッキリするんですよ。なので、動画を見て脳を麻痺させて、どうでもいい情報を詰め込んでとにかく寝ます。寝て起きたら引きずっていることは少ないです。
――それでは、北澤さんご自身のことについてもお聞かせください! 役者になりたいという思いはいつ頃から抱いていたのですか?
高校の時に演劇を始めて、それがきっかけです。楽しくて、ずっと続けているという感じです。
――なるほど。高校演劇からスタートしたんですね。今作は映画になりますが、映画や映像作品で演じる時に面白さはどんなところに感じますか?
当たり前のことですが、映像作品はみんなで作り上げていくものなんだなと最近、強く感じるようになりました。役者の芝居だけじゃない。スタッフさんも皆さんと一緒に作るというのは、すごく面白いです。それから、画面という枠の中で表現するというのも映像ならではの面白さだと思います。舞台ではできないことですので。
――北澤さんにとってお芝居をする面白さとは?
自分の予期せぬところに行けることだと思います。脚本を読んで感じたことと、実際に演じたら全く違うものができたり、予想もしていなかったことが起こるんですよ。相手の方とお芝居をする中で生まれてくるものを感じられるのが楽しいです。
――では、北澤さんの俳優としての目標は?
俳優としてということではないですが、豊かな人間になりたいという思いがあります。豊かな俳優になりたい。抽象的ですが。
――その豊かさというのは、例えば?
今回、中島さんとお芝居をさせていただき、この人と一緒だからできたという気持ちがすごく大きかったんです。なので、私もそう思ってもらえるような俳優さんになりたい。共演する方と一緒にお芝居をできる俳優さんになりたいと思いました。そんな豊かさを持った人ということです。
――ありがとうございました!! 最後に読者に一言メッセージを。
トウドウとモモの行く先を劇場で見届けていただけたらと思います。ぜひ劇場に足をお運びください。
映画『さいはて』は、5月6日(土)より公開。
公式サイト https://mayonaka-kinema.com/saihate/