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2021年6月16日 22:29

石川慶監督×科学映画ライターJoshua 芳根京子・主演映画『Arc アーク』スペシャルトークイベント

芳根京子・主演映画『Arc アーク』
石川慶監督×科学映画ライターJoshua トークイベント

<即時解禁可>『Arc-アーク』トークイベント写真メイン-(002)

芳根京子・主演の映画『Arc アーク』を手掛けた石川慶監督と、映画科学ライターのJoshuaによるスペシャルトークイベントが6月13日(日)都内で行われた。東北大学で物理学を専攻し、卒業後はポーランドの名門で映画を学んだ経歴を持つ石川と、東京大学で宇宙物理学の研究に従事する科学映画ライターJoshuaという超理系同士で語られる映画『Arc アーク』の技術的背景や裏話など、普段のイベントとは少し違った視点でのトークは大いに盛り上がった。

本作は、世界的SF作家・ケン・リュウの原作を映画化、不老不死の世界を描いた驚嘆と不思議に彩られた壮大なるエンタテインメント作品。主演・芳根京子が17歳から100歳以上を生き抜くという難関の役どころを繊細かつ大胆に演じ切っている。

イベントでは初めに石川から「コロナ拡大する中で撮り終えて仕上げて…なんとか公開できる運びになりました。今日はJoshuaさんと科学の深い話ができると聞いて楽しみにしていました」と短い挨拶を終えると、Joshuaからも「ケン・リュウ原作の『円弧』が日本で映画化されると聞いてまず驚いて、映画を見てみたら瀬戸内海が出ていて『(あの原作から)これを想像するのか!?』とさらに驚いて、非常に面白いと思いました。この作品は<不老不死>というテーマを描きながらも決してディストピア的に語るわけでなく、かと言ってユートピアでもない。作品全体に通底するバランス感覚がリアリティを彷彿させるところが気に入っています」と石川独特のオリジナリティを絶賛。

本作に関するインタビューでも度々<ディストピアに描きたくない>と語っていた石川は「実はそうはいっても最初はディストピア調ではありました」と裏話を明かす。この方向転換の影には「一度出来上がった脚本を、原作を手掛けたケン・リュウに送った時に『不老化技術のような新しいテクノロジーはこれから開発されるかもしれないけど、それを今の時点で<良い・悪い>というジャッジはしたくない。それは人間の強い部分も弱い部分もさらけ出すかもしれないけど、将来的には良いものになっていくと信じてフィクションを書いている』というアドバイスがあり、この考え方は自分の科学への姿勢と共感する部分でもあったので、この作品の大きな柱になりました」と語った。

主人公・リナを演じた芳根京子について話が及ぶと、石川は「芳根さんは最初『30歳の自分もイメージできないのに100歳以上は、無理です』と至極全うなことを仰ってたんですけど、芳根さんは共演する相手でガラリと変わる人。そう考えると、この時はこうだと決めるのではなく、分からないからこそ作れるものがあるんじゃないかとお話させていただきました」。そのリナを演じた芳根の“心の支え”になったという岡田将生については、「岡田さんは実際に会ってみると本当に美しい容姿をされていて、この世のものじゃないような雰囲気をまとっている。それなのに話すととても人間味溢れる方で、(天才科学者である)天音にぴったりだと思いました」と石川が語ると、Joshuaからも「サイエンティストあるあるですね(笑)。研究所にはああいう好きなことを一心不乱にやっている人がいっぱいいるんです」と岡田のキャスティングに太鼓判。

また、本作は近年の日本映画には珍しく、物語後半はモノクロ映像を中心に描かれる。サプライズ溢れるこの演出につい石川は「カラーグレーディング(色の補正作業)はポーランドでやりました。モノクロなのにカラーで撮影していて、デジタルで作る<モノクロ>を使って細かいディティールを表現することが結構SF的だと思ったんです。それが今回の『Arc アーク』を作る時に自然に浮かびました」とアイディアを披露。「カラーで見るとロケ地は小豆島なんですけど、モノクロにすると、“いつでもない”異国観溢れる風景に変わって、これはうまく行きますよ、とプロデューサーを説得しました(笑)」とアメリカが舞台に描かれた原作を日本で映画化するにあたっての挑戦を明かした。

Joshuaは「昨今のSFブームでは、今まで映像技術が追いついていなくて作品化できなかったものを作品化しようという流れがあって、莫大な予算をかけて、それはそれで面白いんですが、この『Arc アーク』のように個人の精神世界という宇宙の変革を描くというものがSFの真骨頂だと思います」と日本で製作されたこの唯一無二であるSF作品の挑戦に最大級の賛辞送った。

イベントの最後には石川から「やっと公開できるようになりました。意図したわけではないですが、コロナの状況とも重なって見える映画になったなと実感しています。映画館もやっと通常に戻ってきた時期でもあるので、ぜひ周りの方に広めていただけましたら嬉しいです!」とアピールし、イベント締めくくった。

主演・芳根京子、共演の寺島しのぶ、岡田将生、清水くるみ、風吹ジュン、小林薫など豪華キャストが出演する映画『Arc アーク』は6月25日(金)より全国公開される。

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