河合雪之丞 尾上左近 中村鷹之資 中村獅童 尾上松也 中村歌昇 中村莟玉 上村吉太朗
歌舞伎『刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』が7月5日(土)から東京・新橋演舞場で開幕した。初日前日の7月4日(金)に公開舞台稽古と囲み会見が行われ、尾上松也、中村獅童、中村歌昇、中村鷹之資、中村莟玉、尾上左近、上村吉太朗、河合雪之丞が囲み会見に出席した。
本作は、人気ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」を原案とした新作歌舞伎の第二弾。2023年上演の第一弾に続き、尾上菊之丞と尾上松也が演出を務める。
鎌倉時代の歴史書「東鑑(吾妻鏡)」をふまえ、鶴ケ丘八幡宮で暗殺された三代将軍源実朝の時代に刀剣男子が出陣する。前作も登場の三日月宗近(尾上松也)、髭切(中村莟玉)、膝丸(上村吉太郎)、同田貫正国(中村鷹之資)、小烏丸(河合雪之丞)の五振りに加え、新たに鬼丸国綱(中村獅童)、陸奥守吉行(中村歌昇)、加州清光(尾上左近)の三振りが加わる。
三日月宗近と羅刹微塵、そして演出も手がけた尾上松也は「ぜひ皆さまもっともっとこの公演を知っていただきたいです」と挨拶。
鬼丸国綱の中村獅童は、「若い方たちにまざって楽しくやらせていただきたいと思います」
陸奥守吉行と三代将軍源実朝の中村歌昇は、「念願だったこの公演に出させていただくこと、すごく嬉しく思っています」
同田貫正国と公暁の中村鷹之資は、「前回に引き続き『刀剣乱舞』の世界に帰ってくることができて嬉しいです。そしてまた同田貫正国を演じられることができて嬉しいです」
髭切役の中村莟玉は、「前作に続き2年ぶりにこの歌舞伎本丸に帰ってくることができて、非常に嬉しく思っております。千秋楽まで駆け抜けたいと思います」
加州清光と実朝御台倩子姫の尾上左近は、「こういったゲーム原作の新作に出させていただくことは初めてで、一作目の『刀剣乱舞』を拝見させていただき、念願の作品でしたので、嬉しいです。精一杯務めさせていただきますのでよろしくお願いいたします」
膝丸の上村吉太朗は、「2年ぶりにこの新橋演舞場に、そして源氏に所縁があります京都南座にも参りますし、博多座にも参れる嬉しさも感じています。精一杯務めさせていただきます」
小烏丸と北條政子の河合雪之丞は、「まさか今回もお話をいただけるとは思っていなかったので、大変嬉しく思っております。一番年上なのですが、皆さんについていけるように頑張って行きたいと思っております」
尾上松也は、「前回はお芝居のみでしたが、よりエンターテインメント性を強くしたかったので、歌舞伎舞踊も別建てでご覧いただいて、歌舞伎の幅の広さをこの『刀剣乱舞』を通じて、観ていただきたいなという思いで作りました」と、今作でこだわった部分について説明。「歌舞伎本丸でしかできないことをやりたいと思い、歌舞伎舞踊の衣装に近いもので、他の歌舞伎の演目を刀剣男子がやったらどうなるのか、また舞台装置もどこかにないようなものを作り、また観たことあるようでないようなものも前作に引き続きこだわりました」と話す。鶴ケ丘八幡宮の階段も「大道具さん、小道具さんに苦労をおかけしていると思いますが、八幡宮の階段をあんなに大きいスケールでやったことはあまりないと思うので、僕の好きなことを皆さんが実現してくれました。本当に有難いです」と、満足した様子で語った。
本丸の舞台背景がゲームの中の景色と一緒なのではと問われ、「歌舞伎の舞台装置にありそうな雰囲気に描いてもらって、でも観る人が観たら、あれっと思うようなものにしたのですが、よく気づきましたね」と、嬉しそうに答えた。別建てで踊りをするため、今回は全員の扇子を作ったという。「同じデザインのものを販売いたします」としっかり宣伝も忘れていなかった。
陸奥守の衣装、三日月の衣装はほとんど変えていないそうだが、「(ゲームの中で)洋装の人たちは大変でした。鬼丸さんの衣装も大変でしたね。視覚的に全然違うのに、同じように見える加州(清光)さんの衣装は上出来だな」と、その出来栄えを確認していた。
鬼丸役の中村獅童は、「歌舞伎の衣装よりも比較的軽い。でも(左目に眼帯をしているので)視界がちょっと悪いので階段のところはちょっと怖いのですが、お客様に応援していただければ、恐怖も飛ぶと思います」と話し、前作は声のみの出演だったが、「前作は子どもが『刀剣乱舞』を見て、すっかり松也ファンになったんです」とあかし、「松也に負けてたまるか。パパもかっこいいから今回必ず見に来てと言ってあるので、いいところを見せられれば嬉しく思います」と本音を語った。
後半の激しい『毛振り』について、「昼の部と夜の部の間が短いので、あまり長くできないんですが、お客さまが応援してくださったら、もっとやります」と宣言。
尾上松也は、「ここまでこぎつけるのが一番大変だった」と振り返る。「今日もギリギリまで変更しています。初日を迎えるまでいろいろとお願いすることもあると思います。今回の作品をいいものにしたい、と考えるのは楽しい作業でもあり一番大変なことでもあります」と話し、演出も務めるため、自身のところは他の人に立ってもらって稽古をしていたそうだが、いざ自分が立ってみたら、「けっこう自分が忙しくて、意外と大変でした」と、正直な気持ちを話していた。
中村獅童は、「先月も歌舞伎座出演中のなか、合間を縫って稽古をしていたのですが、松也さんは家に帰ってもあれこれ考えて、ほとんど寝ていなかったと思います。短い時間の中、みんな一丸となって頑張りました。もっともっと良く変わっていくと思いますので、幅広い世代の方に観ていただければと思います。松也君はよく頑張りました」と労を労っていた。
特に観て欲しいところについて、河合雪之丞は、「こういう役をやることは、なかなかないなと思っています。北條政子と小烏丸の違いを楽しんでいただければと思います」
上村吉太郎は、「立役で感情を露わにする役なのですが、松也さんはもちろん、先輩方の教えに感謝いたします。今回は初めて階段落ちもあります。前回より膝丸がキーパーソンになっているので自分の存在を出せるように頑張りたいです」と意気込んだ。
髭切の中村莟玉は「源氏時代の僕らの刀があった時代なので、僕らにフォーカスしていただいています。兄弟の会話をお客さまにたくさん見せられることが嬉しいなと思います。僕の要望としては「おだんご」仙人団子の場面、舞台で消えものを食べるのが初めてなので楽しみです」と述べた。
尾上左近は、「加州清光はもともと原作のキャラクターでは現代的なキャラクターなので、どう歌舞伎と融合していくのかを見ていただきたいです。その中でも加州清光が譲れない部分、ネイル、ヒール、ピアスなどが融合していますので、そういった面を注目していただけたらと思います。加州清光と陸奥守が幕末の人間なので、ペアとして登場します。その2人の関係と、実朝と倩子姫の関係性のギャップは見どころだと思います」
中村鷹之資は、「公暁がなぜ実朝を討ったのか、ちゃんとした史実は残っていません。何があって実朝を討ったのか、歌舞伎のいろいろな表現で演じ、鎌倉幕府の入り乱れた愛の結果を見せられたらなと思います。同田貫役の方は、今回は後方支援に回らせていただいています。新しい刀剣男子に絡む機会が少ないのが残念です。舞踊の方で、熊本の民謡にチャレンジしていますので、楽しんでいただけたらと思います」
中村歌昇は、「土佐弁をいかに歌舞伎調のセリフでしゃべるかということに苦労しました。キャラ自体は大好きです。太陽のような明るい存在です。実朝役の方は、キーパーソンです。松也さん、菊之丞さん、獅童さん、いろいろな先輩方が教えてくださっているので、もっといい実朝を演じたいと思います」
中村獅童は、「歌舞伎の面白さが凝縮されている作品だと思います。お芝居あり、踊り有り、立ち回りあり。立ち回りも歌舞伎ならではの、ゆったりした型で見せる立ち回りとリアルにする立ち回りと、あと場面ごとのセリフもリアルに言うところと、歌舞伎にあるセリフ回しと工夫してやっています。若い方たちが新作歌舞伎を楽しんでいただいて、幅広い方たちに来ていただいて、笑顔になっていただけたら嬉しいです」と作品の魅力とお客さまへのメッセージも伝えていた。
尾上松也は、「我々が考え、新たに生み出した羅刹微塵というキャラクターがお客様にどういう風にみられるのか楽しみにしています。自分の中でも三日月宗近との役割の違いが、刀剣男子と意外と一致しています。いろいろな構想ができるキャラクターに出来たらいいなと思っています。三日月宗近は、みんなのサポーターのような役割です。舞踊もありますが、歌舞伎の『刀剣乱舞』でしか見られない要素がたくさん詰まっています。ぜひ『刀剣乱舞』ファンの方々や、歌舞伎ファンの方々に観に来ていただいて確認していただきたいです」と挨拶した。
歌舞伎 刀剣乱舞
東鑑雪魔縁(あずまかがみゆきのみだれ)
大喜利所作事 舞競花刀剣男士(まいきそうはなのつわもの)
日程:東京 新橋演舞場 2025年7月5日(土)~27日(日)
博多 博多座 2025年8月5日(火)~11日(月・祝)
京都 南座 2025年8月15日(金)~26日(火)
原案:「刀剣乱舞 ONLINE」より(DMM GAMES/NITRO PLUS)
脚本:松岡亮
演出:尾上菊之丞 尾上松也
出演:
三日月宗近/羅刹微塵 尾上松也
陸奥守吉行/源実朝 中村歌昇
同田貫正国/公暁 中村鷹之資
髭切 中村莟玉
加州清光/実朝御台倩子姫 尾上左近
異界の翁/三浦義村 澤村精四郎
膝丸 上村吉太朗
異界の媼/源仲章 市川蔦之助
小烏丸/北條政子 河合雪之丞
大江入道 大谷桂三
鬼丸国綱 中村獅童
製作:松竹株式会社
主催:歌舞伎『刀剣乱舞』製作委員会
©NITRO PLUS・EXNOA LLC/歌舞伎『刀剣乱舞』製作委員会
公式サイト https://kabuki-toukenranbu.jp/