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2023年12月24日 13:00

2024年『新春浅草歌舞伎』尾上松也ら2015年からのメンバーは今回で一区切り 「浅草歌舞伎はOneTeamで!」

『新春浅草歌舞伎』の取材会が12月18日(月)に都内で行われ、尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村米吉、中村隼人、中村橋之助、中村莟玉が出席した。

左から)中村莟玉 中村隼人 中村種之助 坂東巳之助 尾上松也 中村歌昇 坂東新悟 中村米吉 中村橋之助

本作が上演される浅草公会堂にほど近い猿若町は江戸時代から芝居小屋が立ち並び、栄えてきた。1980年に浅草の歌舞伎興行が復活して以来、『新春浅草歌舞伎』は“若手歌舞伎俳優の登竜門”として知られてきた。2015年には主要な出演者が一新され、新型コロナの影響により2年間浅草公会堂で開催できなかったが昨年再始動。今年で10年目を迎える。
尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村米吉、中村隼人の7名は今回で本公演への出演は一区切りとなる。

尾上松也は「2024年の『新春浅草歌舞伎』がスタートいたします。リーダー格として出演させていただくようになって10年目、節目となりました。今年初めにようやく浅草公会堂で上演できましてすごく嬉しかったですが、まだ、昼の部、夜の部を分けて上演する形をとらせていただいたので、2024年の『新春浅草歌舞伎』は元の通りにみんなで一緒になって公演できるのを非常に嬉しく思っています」と挨拶した。

続いて、中村歌昇は「だいたいは、今お兄さんが言ってくださいましたが、久し振りに昼夜で、初役で4本やらせていただきます。自分の“熊谷直実”という大きなお役もございますが、それ以外も、それぞれの演目に向き合ってやるのがこの浅草のスタイルです。それを久し振りにできることをすごく嬉しく思っています」と率直な思いを述べた。

坂東巳之助も「久し振りの“浅草歌舞伎”。フルメンバーでフルの状態で、私も4役を務めさせていただきます。体力的なこととか不安もありますが、精一杯浅草の町を盛り上げていただきたいです。」と意気込んだ。

中村米吉が「4年振りの出演でございまして、昼夜古典の大作が並んでおります。また、一部、二部共に最後の演目は出演者、総出演でございますから、一生懸命務めますのでご声援のほどよろしくお願いします。』とよどみなく話すと、「製作の人みたい」と突っ込まれ、記者からも笑いが起こった。

中村隼人は「昼夜共に三役務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします」と挨拶。

中村橋之助は「今年は、古典の大物揃いの『新春浅草歌舞伎』。僕もこのメンバーの中だと若い方なので、若い力で熱くがんばっていきたと思います」と力強く決意を語った。

中村莟玉は『今回先輩方が一旦一区切りということ。僕が初めて出させていただいたのは16歳でしたので、そこから10年間『浅草歌舞伎』で修業させていただき、最初は梅丸という名前で出させていただいておりました』と振り返った。

「一区切りをつけることについて」

松也は「まだ若い気持ちもあるが、自分自身も『浅草歌舞伎』に憧れて、いろいろな経験をさせていただき、その恩返しも含めて、後輩の皆さんに浅草を託したいという思いもあって、最後にしようという決断に至りました」と一旦区切りをつけるに至った気持ちを素直に語った。「自分が中心となってやるとなった時には嬉しさと同時に、不安、恐怖などいろいろな思いが入り混じっていました。その中でも思い出に残っているのは、自分がどういう風に引っ張っていったらいいのか、公演を盛り上げるは?と考えている時に、ここにいる後輩の皆さんが積極的に連絡をくれて「一緒に盛り上げていきましょう。やれることは何でもやります」と言って支えてくれたことがすごく心強かったです。この浅草歌舞伎はOneTeamとして盛り上げていこうという気持ちがその時に固まりました」10年前のエピソードを明かした。

「印象に残っていることは?」

歌昇は「播磨屋の演目をさせていただくことは本当に有難く、中でも『太閤記十段目』をさせていただいた時に播磨屋のおじ様から僕に光秀の顔に直接してくださったのを今でも覚えています。それが基本となって、それ以外の顔もそういう顔になるように心掛けるようになりました。それが印象深いです」

坂東新悟は「千穐楽の日に、幕が下りた時に客席に降りたことがあったのですが、それはみんなで知恵を出し合って、お客さまに喜んでいただこうとしているということ。すごく印象に残っています」

種之助は「やはり最初の年ですね。先輩方から受け取ったバドンを何とかしようと頑張っていました。初日に“お客様入っているかな?”とみんなで話して、幕だまりから客席を見に行ったりしました。『猩々』という踊りで目をつぶって顔を上げる場面があって、そこでお客様がすごくはいってくださってよかったなという思い出があります」

中村隼人は「毎年、みんなで相談しながら、目を引くチラシを作っていったのも思い出です。他の歌舞伎公演と違うのは、浅草という地域密着型の公演ということだと思います。初日、中日、楽に役を教わった先輩方にお礼に行くのはもちろんのこと、お店のおかみさんだったり旦那衆のお礼に言いに行くというのも初めてだったので印象に残っています」と浅草歌舞伎ならではの経験を語った。

最後に、これから担っていく後輩に対して松也は「僕も『新春浅草歌舞伎』を担ってくださった先輩方からの思いを感じながら10年前始めさせてもらって、それがあるからこそ何とかしなくてはと頑張ってきました。初めて幕が開いた時は歌昇君も「涙が出るほど嬉しかった」と言っていたのを覚えています。後輩の皆様にも代々続いてきた先輩の思いと地元の皆さまの情熱を忘れずに更に盛り上げて、発展させてもらいたいです」と思いを込めた。

『新春浅草歌舞伎』
2024年1月2日(火)~26日(金)浅草公会堂
出演 尾上松也 中村歌昇 坂東巳之助 坂東新悟 中村種之助
   中村米吉 中村隼人 中村橋之助 中村莞玉 ほか
製作 松竹株式会社

 

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