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2023年11月29日 18:30

【後編】森崎ウィンが初の2人ミュージカルに挑む『ジョン&ジェン』インタビュー

――「ジョン」という同じ名前の二人を演じます。二人のことを全く別物として捉えていますか? 見る側はオーバーラップするところもあるのかなと思いますが。

僕が思うに、皆さんジェンの目線で見ると思うんです。だからこそ、オーバーラップして見える部分もあると思うんですよね。だから「ジェンから見たジョン」を提示するのも大事。でも二幕で出てくる(息子の)ジョンのパーソナリティなどは台本上でしっかり語られていて、自然と出せる部分もある。
現時点での僕が思うことですが、いい脚本って役者が変に作り込む必要はないんですよ。もちろん伝える・表現、体現する技術は必要だと思いますし、先輩方の中には「ウィン、それもそうだけど青いな」という方もいらっしゃると思いますが。
脚本を読んでいて「これはジェンから見たジョンだな」とわかる瞬間もあるし、だけどジョンがお母さんに合わせてあげているなと思う瞬間もある。
ただ、演じる役者として、「これはジェンの目線、これはジョンのパーソナリティ」と理解する必要はあると考えています。

――脚本を読ませていただきましたが、原文と日本語訳が載っているのは珍しいなと思いました。

僕もすごくびっくりしました。これは翻訳に対する自信の表れだと思いますし、信頼できますよね。僕自身は全文を翻訳できるほどの英語力はありませんが、原文が載っているとニュアンスなどのヒントをもらえます。どうしても日本語に訳すと文脈が伝わりづらい時があるんですよ。でも、英語を確認すると「これは皮肉で言ってるんだな」「これはこういう意味が含まれているんだ」とわかる。
例えば『SPY×FAMILY』のように原作がある作品は事前に原作に触れることもありますが、それは原作が日本の作品だからできることで、海外から届いた台本の原文を見る機会って少ないんです。もちろん、カンパニーが大きくなると分散してしまうからまとめる意味では大事だと思います。だからこそ、今回の脚本を見て市川さんは相当自信があるんだなと思いましたし、外国的なやり方だと感じました。

――英語台本を日本語にする難しさというお話が出ましたが、翻訳物の良さはどんな部分に感じますか?

やっぱりミュージカル作品の数が違いますし、毎週のように新作が生まれているということもあって、日本に来る作品は秀逸なものが多いですよね。
もちろん日本にもオリジナルを作っている方もいますし、最高の作品も多いですが、ブロードウェイなどに比べてオリジナル作品を舞台に持っていくという文化がまだ根付いていないと思います。アクセスしやすいところにアクセスしやすい料金で、というのが日本ではまだ難しいので、海外の秀逸な作品を日本で上演するのは効率的ですよね。あとは、純粋にメッセージ性の高い作品は世界共通。日本でも上演する意義があると思います。

―― 一幕のジョンは1985年生まれということで、ご自身に近い世代のキャラクターです。共感するポイントはありますか?

どちらかというと、世代が近くても育った環境や受けた教育によってこんなに考え方が変わるんだと思いました。あとは家族の話なのでそこは共感できるポイントもあります。一幕のジョンは戦争に行ってしまいますが、僕はそういう世界を海を超えたところから見ていて、ある瞬間を報道などで知るだけ。でも、行くまでの人生や考え方は何千通りもあって、その中の一つに触れられる、演じることで擬似体験するのは勉強になりますし、僕自身の引き出しも増えるのかなと思います。

――Wキャストの田代万里生さんについての印象を教えてください。

ミュージカルライブのような場でお会いしたことがあるくらいです。もはやベテランの域に達しているのであろう田代さんから多くを学びたいと思います。

――自分らしさはどんな部分で出していこうと考えていますか?

市川さんが僕のことをすごくピュアだと言ってくれているので、それをイメージして今日は白いシャツで来ました(笑)!ミュージカル経験が浅いからこそ出せるものもあると思います。共演者の皆さんは僕より舞台経験は豊富ですし、背伸びをせず素直に、脚本と市川さんを信じて取り組みたいですね。

――今回、ジョンもジェンもWキャストで4パターンの公演となります。

自分とは違う誰かが自分と同じ役をこう見ていたんだ、こう読み解くんだというのは、レッスンなどでしか味わえない感覚です。見にくるお客様も「この捉え方もありだね」という楽しみ方ができるのがいいところだと思いますよね。僕自身もそれは楽しみです。
ただ、僕自身は元々Wキャストはあまり好きじゃないです。比較されるのは好きじゃなくて。でも何度か経験するうちに慣れてきましたし、精神的に強くなれているかなと思います。
逆に、自分以外がWキャストの時は楽しいですよ(笑)。『ピピン』でおばあちゃんの役を中尾ミエさんと前田美波里さんが演じていて、お二人の違いでこっちの芝居も変わる瞬間が何度もあって。すごく楽しかったです。

――本作もそうですし、以前出演された『ピピン』や『ジェイミー』、『SPY×FAMILY』など、さまざまな形の家族が登場しています。森崎さんにとって家族とはどんな存在ですか?

難しいですね。日本に来るきっかけをくれましたし、もちろん感謝している部分もすごくあります。ただ、両親が帰ってしまって中々会えないし、親戚も近くにいないしで、国を超えると家族がバラバラだと感じることはあります。ただ、だからこそ自分の帰る場所や、色々な鎧を捨てて“ウィン”でいられる場所なのかなとも思うんですが。
中々会えないので、親は電話をしてきてもいまだに「ちゃんとあれやって、これやって」って昔と同じことを言いますし。そんな親からこの間電話が来て、僕の33歳の誕生日に「あなたも34歳か」って一年先の話をされました(笑)。「そろそろ身を固めないとね」と言われて「僕の仕事わかってる? やりたいことがいっぱいあってそれどころじゃないよ」なんて話もして、なんでもなくいられるところなのかなとは思いますね。

――最後に、皆さんへのメッセージをお願いします。

ミュージカル『ジョン&ジェン』、日本初演です。役者にとってはストイックですごく成長できる作品だと感じますし、お客様はきっとジェン目線で見て、自分を許して受け入れるきっかけや勇気をもらえるんじゃないかと思っています。僕自身、弟がいるので結構ジェン目線で見てしまいますが、家族への対峙の仕方、言葉の掛け方など、ちょっと立ち止まって考える時間を与えてくれる作品だと感じました。ぜひ劇場に足をお運びください。

公演概要
公演タイトル:PARCO PRODUCE 2023 ミュージカル『ジョン&ジェン』
音楽:アンドリュー・リッパ
歌詞:トム・グリーンウォルド
脚本:トム・グリーンウォルド、アンドリュー・リッパ
演出・翻訳・訳詞・ムーブメント:市川洋二郎
出演:
森崎ウィン 田代万里生(ジョン役Wキャスト) 新妻聖子 濱田めぐみ(ジェン役Wキャスト)
東京公演:2023年12月9日(土)~12月24日(日) よみうり大手町ホール
チケット料金(全席指定・税込):10,000円、U-18チケット=3,000円[観劇時18歳以下
象]、U-30チケット=5,000円[観劇時30歳以下対象]
※U-18チケット・U-30チケット:前売販売のみ/要身分証明書/当日指定席券引換
※未就学児の入場はご遠慮ください。
チケットに関するお問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00~15:00)
公演に関するお問合せ:パルコステージ 03-3477-5858   https://stage.parco.jp/
大阪公演:2023年12月26日(火)~12月28日(木) 新歌舞伎座
チケット料金(全席指定・税込):10,000円
お問合せ:新歌舞伎座テレホン予約センター 06-7730-2222(10:00~16:00)
公式サイト:https://stage.parco.jp/program/johnandjen
ハッシュタグ:#ジョンアンドジェン
企画製作:パルコ

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取材:文/吉田沙奈  撮影/有田純也

 

 

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