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2024年5月31日 18:00

林翔太&玉野和紀インタビュー「翔太が出てくれるなら心配は全くない」 明治座「中村雅俊芸能生活50周年記念公演」

左から)玉野和紀  林翔太

6月2日から明治座で上演される「中村雅俊芸能生活50周年記念公演」。昭和歌謡音楽劇とライブの二部構成で綴られる、中村雅俊芸能生活の50年の軌跡を辿る公演だ。本作の第1部「どこへ時が流れても~俺たちのジュークボックス~」で上演台本・演出・振付を担当する玉野和紀と、出演する林翔太に本作への意気込みや見どころを聞いた。

――昭和歌謡音楽劇と銘打った第1部は、どういった公演になるのでしょうか?

玉野:一言で言ったら、雅俊さんの50周年をみんなで盛り上げることが目標です。コロッケさん、久本雅美さんなど、豪華なキャストが揃っていて、この方たちのお名前を見たら「これはもうコメディでしょう」というメンバーなので、当然、コメディ要素もたっぷりある作品です。それに加えて、雅俊さんが宮城県出身なので、やはり東日本大震災は避けては通れないものだと思っています。震災から13年が経ち、心の中に傷を持っている人たちも、みんな前を向いて明るく頑張っている。そうした街の人たちの姿を描いていきたいと考えています。雅俊さんがマスターを務める喫茶店にみんなが集ってくる。笑いたっぷりの日々を送る中で、でも、雅俊さんは亡くした奥さんのことを今も思っている。そんな笑って泣けるハートフルコメディになっていると思います。

それから、僕の本領はミュージカルですので、耳馴染みのある昭和歌謡をふんだんに入れていこうと思っています。ミュージカルは本来、セリフを歌にしたものですが、今回は音楽劇という形で、登場人物の心情に合う昭和歌謡を当て込んでいきたいと思います。音楽劇にすることでよりエンターテインメント性も高くなると思いますし、皆さんそれぞれのお力をお借りして、見せ場のシーンを作って、雅俊さんを盛り上げていこうと思っています。

――林さんは最初にこの作品についてお話を聞いたときは、どんなお気持ちでしたか?

:玉野さんから「6月、空いてる?」と聞かれて、軽い気持ちで「空いてます」とお答えしたのですが、出演される皆さんのお名前を見て、僕でいいのかなと(笑)。すごいメンバーが揃っていらっしゃるので、プレッシャーもありましたし、緊張していましたが、先日、顔合わせで皆さんとお会いしたらとても優しくしていただいて、一気に緊張がほぐれました。すてきな皆さんと一緒にお芝居をさせていただけることに対する幸せな気持ちと、ありがたい気持ちでいっぱいです。今回、東日本大震災も一つのテーマとなっているのですが、当事者ではない、その場にいなかった僕でも心の中にずっと引っかかっているものがあるので、実際に被災された方たちは本当にさまざまな思いがあると思います。ただ、それでも前に向かっている街の人たちの心情をしっかりと表現できたらと思っています。

――玉野さんは林さんのどんなところに魅力を感じてオファーされたのですか?

玉野:他のキャストの方々が決まっている中で、若い俳優さんを探しているという状況でした。そこで思い立ったのが翔太で、すぐに「翔太に連絡してみよう」と。実は、これまでにも何度か翔太にはさまざまな作品でオファーしていたんですよ。ただ、彼が忙しくて、なかなか一緒にできなくて。(林は)たくさんの人と知り合って視野を広げて、これから一人の役者としていろいろな人と知り合った方がいいだろうと思っていたので、最初に声をかけたんです。彼が出てくれるなら心配は全くないです。

:そう考えてくださったことが嬉しいです。

玉野:彼は、こちらの演出意図をわかってくれて、すぐにそれに対応してくれますから。台本を読んで自分のポジションややるべきことをすぐに理解してくれるので、きっと面白く作ってくれると期待しています。

――林さんがこうした作品に出演されるのは珍しいのでは?

:そうですね。最初にお話を聞いたときは、演劇作品なのかなと思っていたんです。よくよく聞いてみたら、昭和歌謡で物語をつなげていくというので、すごく面白いなとより楽しみになりました。明治座さんで歌を歌わせていただける機会もなかなかないと思うので、それもまた楽しみですね。

玉野:明治座は初めて?

:初めてです。もちろん、観劇に来たことはありますが、初めてステージに立たせていただくのもすごく楽しみです。

――では、お二人から見た、中村雅俊さんの魅力を教えてください。

玉野:多分、皆さん同じことを思うと思いますが、優しくて温厚で気遣いがある方です。テレビで拝見して抱いていたイメージそのままで、裏表がない方だなと思います。スタッフの方も怒った姿は一度も見たことがないと言っていました。そうした人柄の素晴らしさがお顔にも出ていると思います。それから、僕は、雅俊さんのドラマを観て俳優になろうと決めたので、まさか自分が一緒にお仕事できるとは思ってもいませんでした。絶対に二人で写真を撮ろうと思っています(笑)。もう、ただのいちファンです(笑)。

:僕も同じ印象です。テレビで見た印象そのままの、すごく優しい方だなと。僕の中で、これまで「優しい雰囲気で穏やかな人」というと井ノ原(快彦)くんがトップだったんですよ。でも、雅俊さんも似たような雰囲気を持っていらっしゃる方だと感じました。僕は普段、井ノ原くんとも仲良くさせてもらっているのですが、稽古場で雅俊さんとお話をさせていただいている時の雰囲気がすごく似ているんですよ。僕でも話しかけやすい雰囲気が滲み出ていて。すぐ好きになってしまいました(笑)。

玉野:みんな好きになるよね。雅俊さんを嫌いだという人は、絶対にいないと思う。これまでもいろいろなことを経験されていると思いますし、きっとつらいことや嫌なこともあったのだと思いますが、どんな時も優しく対応できるというのはすごいなと思います。

――お稽古が(取材当時)始まったばかりだと思いますが、お稽古場の雰囲気はいかがですか?

玉野:昨日、雅俊さんとの稽古もあったのですが、僕の意見もコロッケさんの意見も聞いてくださって、いろいろと試してみました。でも、コロッケさんは自分でアイディアを出して「こうしよう」と決めるのに、そこを間違えるんですよ(笑)。

:自分で言ったのに(笑)。面白かったですね。

――そうすると皆さんが意見を出し合って作っていく現場なんですね。

玉野:そうですね。だって、これだけの方々がいらっしゃいますから。自分のプロデュースもされていて、演出もされている方ばかりです。それぞれご自分の意見もお持ちですから、それをこれからどう作っていくかだと思います。

――林さんも舞台経験が豊富でいらっしゃいますが、今回、先輩方から学ぶことは多そうですね。

:もちろんです。学ぶことしかないですね。1シーンごとに、いろいろなアイディアが出てくるし、皆さん、細かいところまでしっかりと考えていらっしゃるんですよ。足は右から出すか、左から出すかとか、そうした細かいところまで突き詰めていくのが作品作りなんだなと改めて感じました。勉強することばかりです。

――ところで、本作には昭和歌謡がたくさん登場するということですが、お二人の好きな昭和歌謡や昭和歌謡にまつわる思い出を教えてください。

玉野:僕はドンピシャ昭和歌謡世代なのでたくさんありますよ。かぐや姫さんや吉田拓郎さん、井上陽水さんなどの曲をギターを弾きながら歌っていました。もちろん、当時はコードを押さえる程度でしたが。大スターがたくさんいる時代でしたね。その中でも雅俊さんの歌は大ヒットしていたので、すごく印象に残っています。雅俊さんは、文学座の養成所に入ってからすぐに次々と出演作が決まってと、あっという間にスターになってしまいました。それで歌も大ヒットしていましたね。

――林さんは昭和歌謡はご存知でしたか?

:テレビで昔の映像で見たことがあるという程度の知識ですが、誰が聴いても知ってる曲ばかりだと思います。ああ、この曲をまさか自分が歌う機会が来るとは思わなかったと思いながら稽古をしています。昭和歌謡は、最近の音楽にはない雰囲気があるから、僕は好きですね。iTunesにたくさんダウンロードしていた時期もありました。(昭和歌謡には)ストーリーがあるのもいいんですよ。

玉野:そう! 歌詞の中にストーリーがちゃんとあるんだよね。それも昭和歌謡の魅力だと思います。

――では、今作にちなんでお二人が芸能生活50年を迎えた時、どのような自分になっていたいですか? 夢や目標もお聞かせください。

玉野:実は僕、あと少しなんですよ。今年、45周年なんで、あと5年だ。

:え? 今年で45周年ですか!?

玉野:そうだね。ちょうど45年目だね。でも僕は30周年も40周年も何もしてないですね。今まであまり気にしてなかったです。なので、ぜひ、明治座さんで玉野和紀50周年をやっていただきたいと思います(笑)。

:その時は、ぜひ僕も出演させてください(笑)。僕は10歳からこのお仕事を始めているので、芸能生活50周年迎える時は、60歳なんですよ。

玉野:すごいね。半分くらいきてるんだ。

:そうなんですよね、今24年目です。お芝居をメインにお仕事をさせてもらっていますが、これからまた新たに歌にも挑戦していきたいなと思います。今、僕の所属する事務所で、一人で俳優やりながら歌も出している人って、あまりいないんですよ。なので、そういうスタイルができるようになったら、後輩たちにも道筋を見せてあげるのかなと思います。僕も中村雅俊さんみたいな50周年の迎え方がしたいですね。

玉野:本当にみんなから慕われている人で尊敬しています。

中村雅俊芸能生活50周年記念公演
明治座
2024年6月2日(日)~18日(火)
HP https://www.meijiza.co.jp/info/2024/2024_06/

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