トップ > 舞台 > 葵わかな 二役を演じ分ける! 善人とは? 幸福とは? 現代社会を照射する寓意劇『セツアンの善人』世田谷パブリックシアターにて今秋上演!

2024年7月17日 12:15

葵わかな 二役を演じ分ける! 善人とは? 幸福とは? 現代社会を照射する寓意劇『セツアンの善人』世田谷パブリックシアターにて今秋上演!

ベルトルト・ブレヒトの名作『セツアンの善人』が世田谷パブリックシアターにて今秋上演される。葵わかな、木村達成など若手からベテランまで総勢17名の個性あふれるキャストが集結。このたび、ビジュアル、公演詳細、演出家メッセージ、出演者コメント(葵わかな・木村達成)が解禁となった。

『セツアンの善人』は、『三文オペラ』『マハゴニー市の興亡』などの名作を生んだドイツの劇作家 ベルトルト・ブレヒトが亡命先で執筆し、1943年にスイスのチューリッヒで初演された。神様が地上に降りてきて善人を探すという本作は、寓意劇として今も多くの人々に愛され、世界各地で上演を重ねている。

演出の白井晃は、これまで『三文オペラ』(2007年演出、18年出演)、『マハゴニー市の興亡』(16年、演出・上演台本・訳詞)、『Mann ist Mann』(19年、企画監修)、『アルトゥロ・ウイの興隆』(20年、21~22年再演、演出)と、 数々のブレヒト作品に取り組んできた。ブレヒト作品が持つ社会への批評性にフォーカス、現代社会を照射する作品づくりを目指してきた白井が、魅力的な総勢17名のキャストを得て、満を持して『セツアンの善人』の演出に挑む。

『セツアンの善人』は、畏怖すべき神様たちが、人間臭い立ち居振る舞いで下界に現れ「善人探し」をするという奇想天外な設定からスタート。貧民窟に暮らす心優しき娼婦のシェン・テ(葵わかな)は、神々から「善人である」と認められ、褒美として与えられた大金を元手に商売をはじめるが、「善人であること」と「生きること」の両立は矛盾することだらけで、さまざまな困難が立ちはだかる。元来がお人好しのシェン・テの家には居候が増え続け、しまいには自分の財産まで分け与えてしまう始末。このままではいけない、我が身が滅びるだけだと気付いたシェン・テはある計画を思いつく。それは、冷酷にビジネスに徹する架空の従兄(いとこ)シュイ・タ(葵わかな・二役)を作り出し、自らがその従兄に変装をして、邪魔者を一掃するというもの。「人はどこまで善人でいられるのか」「人はお金で幸せになれるのか」という現代社会に生きる我々にも通じる痛切な問いかけが、葵わかなが一人二役で演じ分ける、心優しき女性シェン・テと、ビジネスに徹する冷酷な青年シュイ・タという真逆な人物を通して描き出されていく。

シェン・テが恋に落ちる失職中のパイロット、ヤン・スンには、ミュージカルからストレートプレイまで多くの舞台作品への出演、映像作品にも活躍の場を広げる木村達成が扮する。また、神様と交信する水売りのワンには、映像から舞台まで幅広く活躍しダンスなどの身体表現も得意とする渡部豪太、息子を溺愛するヤン・スンの母親のヤン夫人には七瀬なつみ、シェン・テが買い取ったタバコ屋の元オーナーである未亡人のシンをあめくみちこ、シェン・テのタバコ屋に居 座る大家族の祖父を小林勝也、そして下界で善人探しをする人間臭い3人の神様を、ラサール石井小宮孝泰松澤一之が演じる。このほか、栗田桃子・粟野史浩・枝元萌・斉藤悠・小柳友・大場みなみ・小日向春平・佐々木春香という、若手からベテランまで総勢1 名の個性豊かな出演者が集結する。

ブレヒトの作品では劇中に出てくる音楽も大きな要素となるが、本作にも、ブレヒト自身 が委託した音楽家パウル・デッサウによる楽曲に加え、国広和毅によるオリジナル楽曲も追加される予定で、葵わかな・木村達成をはじめミュージカルでも活躍するキャスト陣の歌唱も本作の魅力の一つ。

上演台本・演出 白井晃 メッセージ(チラシより)
この世の中でホントに善人でいることができるのか?善意と言われても、無料の奉仕などあり得るのか、自己満足もしくは何か裏にあるのではないかと疑ってしまう。そんな殺伐とした世界に私たちは生きている。 真に人と人とが信じあえて、思いやれる時が来たらと願っても、そんなことなど絶対にあり得ない、信じる方が愚かだと思えてしまう。私たちは諦めの中に生きている。だからこそなお、今このブレヒト作品を上演する意味があると思ったわけなのです。パンデミックや災害、戦争の悲壮を身近に感じる中で、社会の原理が本質的に変わることを目指すべきとした、かつての ブレヒトのメッセージはより一層強力に心に響くのです。演劇に社会を変える力など、もはやありはしないのかもしれない。 それでも、主人公シェン・テを今の世界を生きる人間として描くことで、少しの時間だけでも 演劇の力を信じたいと思うのです。

葵わかな コメント
シェン・テと、シェン・テが劇中で演じるシュイ・タの二役を演じます。なかなか複雑な構造の二役に挑戦することになります。シェン・テはとてもお人好しな性格で神様から善人だと認められ、逆にシュイ・タは周囲から冷酷な人物だと評価されています。果たして本当にそうなのか、見ている人によっても色々と感じ方が変わるような役でもあると思うので、そういう部分も楽しんでいただけるように頑張りたいです。今回、演出の白井さんとは初めてご一緒させていただきます。白井さんは俳優の新境地を開拓してくださる印象があったので、私も新しい挑戦ができることをとても楽しみにしております。『セツアンの善人』は 80年以上前に書かれたお話ではありますが、素敵な共演者の皆様と演出の白井さんと共に、今を生きる私たちにも響くようなメッセージをしっかりと表現していきたいです。また音楽の力によって、より親近感や楽しい瞬間も生まれるような作品になればいいなと思っております。

木村達成 コメント
失業中のパイロットの青年、ヤン・スンを演じます。ヤン・スンは一見すると嫌な奴のように思えるのですが、とても人間らしくもあって、そういったところに親近感を覚えています。白井さんの演出作品にはこれまで二度出演させていただきましたが、いつも自分はどうあるべきなのかといったことや、人のために何かをする自己犠牲の気持ち、観客の皆様に与える影響などについて考えるきっかけを与えてくださり、自分が変わる瞬間に何度も立ち会っていただきました。今回、世田谷パブリックシアターで『セツアンの善人』に出演することになり、改めてそういったことをたくさん考えられる稽古が待っていると思うと、少し不安でもあり、同 時に楽しみでもあります。約1年ぶりの舞台出演となりますが、この作品を観ていただいた皆様に、“面白そうな奴だな”と思っていただけたら幸いです。

舞台『セツアンの善人』
東京公演: 2024年10月16日(水)~11月4日(月・休) 世田谷パブリックシアター
兵庫公演: 11月9日(土)・10日(日) 13:00 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

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