取材:記事・写真/RanRanEntertainment
5月5日(火・祝)から上演される赤坂大歌舞伎の新作公演「怪談 牡丹燈籠」製作発表記者会見が、1月28日(火)に都内で行われ、中村獅童、中村勘九郎、中村七之助、源孝志(脚本・演出)ほかが登壇した。
2008年9月、十八代目中村勘三郎の“芸能の街・赤坂で歌舞伎を!”という一言から始まった「赤坂大歌舞伎」。勘三郎の遺志を継ぎ勘九郎、七之助兄弟を中心に開催され、3年ぶり6度目となる今回は、三大怪談噺の一つと呼ばれ、明治25年に歌舞伎化されこれまで何度も公演されてきた人気の演目「怪談 牡丹燈籠」が上演される。ただし、その怪談話は原作・初代三遊亭圓朝の人情噺のごく一部に過ぎない。今回の「怪談 牡丹燈籠」は、原作を元にした源監督による深い長編愛憎劇となっている。
本作の上演について、七之助は「昨年、16歳以来の映像(ドラマ)の仕事がありまして、源監督の『令和元年版 怪談牡丹燈籠』(NHK)で萩原新三郎役をやらせていただきました。台本に目を通したところ、今までに無い、深いところまで突っ込んで描いている作品と思い、源監督に『これを歌舞伎にしたら面白い。(いつか)歌舞伎にしましょうよ』って、話をしたところ、1年で新作として演目にかかるなんて、びっくりしている」ことを明かす。続けて「このスピーディさを力として勢いある作品に作りあげていきます」と意気込んだ。
それを受けて、源監督は「ものすごくスピーディに(公演が)決まったので、本が全くできておりません(苦笑)。皆さんが見たいところは隠さずに、今まで削られたり、埋もれていたところを補足して、エッジを立てる。ギクッとするような筋立てを書いていきたいなと思っています。僕は書くのが早いので、(皆さん)心配しなくていいです(笑)」と期待を寄せた。
新三郎と孝助の二役を演じる勘九郎は「(ドラマで七之助が演じた)新三郎は浪人、今だったらニートみたいな感じ。親の遺産で暮らしているところに、絶世の美女(七之助演じるお露)に出会い運命の歯車が狂っていく展開。お露という女性が惹かれる(男の)魅力を少しでも出せたらいいかなと思います。今回お露は七之助でなく、(ドラマと同じ)上白石萌音ちゃんだったらよかったなと思いますね(笑)」とコメントした。
獅童は、「ただの放蕩野郎(宮辺源次郎、お国との密通を犯す)とただの小悪党(新三郎の下男伴蔵)の二役を演じます。ストーリーが面白いし、欲は皆さんが共感する部分だと思う。新しいものを作るときは、稽古場が楽しくて、稽古の流れによってキャラクターが変わることもあるので、あまり決めつけないで自分なりに工夫して役を作っていきたいと思います」と語った。
そして、七之助はお国、お露、お峰の三役を演じる。「お国は悪女なんですけど、生きるために一生懸命になり、お露が新三郎と出会ったのと同じく、源次郎と会ってしまったがために単純ではなくなるという心の揺れが見どころ。お露は歌舞伎の女形に多く見られる典型的な女形志向の女性なので共感できます。“焦がれ死に”をする。僕の中では心不全ですが、それくらい人を好きになって、幽霊になってまで、新三郎に会いに行く。愛の力です。そして、お峰はその二人とは別次元で生きることに一生懸命で、可愛らしくファニーな感じの女性。三役全てキャラクターが違うので、演じ甲斐がありますし、どういう風になるか分かりませんが、“早替わり”になると思いますので、そのような歌舞伎の手法的なところ、ビジュアル的なところも楽しんでいただけると思います」とコメントした。
会見後には、赤坂芸妓の方々より、花束が贈呈された。
赤坂大歌舞伎「怪談 牡丹燈籠」
5月5日(火・祝)~5月24日(日) 全26公演 TBS赤坂ACTシアター
チケット発売日:2月16日(日)
主催:TBS/松竹株式会社/BS-TBS/TBSラジオ