取材:記事・写真/RanRanEntertainment
スーパー歌舞伎Ⅱ<セカンド>を生み出した市川猿之助が、脚本・横内謙介、演出・杉原邦生とタッグを組み、若手歌舞伎俳優の中村隼と人Wキャストで『新版 オグリ』を今秋上演することが決定した。8月1日に、東京・銀座のコートヤード・マリオット銀座東武ホテルで行われた製作発表会見で、脚本と演出を一新した『新版 オグリ』について抱負を語った。
「オグリ」は、1991年(平3)に先代市川猿之助(現猿翁)と哲学者・梅原猛氏がタッグを組んで上演され、大きな話題を呼んだスーパー歌舞伎。今回は脚本・演出も一新し、小栗判官役を猿之助と中村隼人が交互に演じるという。猿之助は演出も手伝い、スーパーバイザーを猿翁が担当する。
現世と地獄を舞台に、武術や馬術に秀でた美貌の若者・小栗判官が、縦横無尽に暴れまくる物語。猿之助、隼人は、それぞれが小栗判官を演じるとき、小栗判官を精神的に救うお坊さん・遊行上人を演じる。
意気込みを聞かれた猿之助は「前作の『ワンピース』が大当たりしたので、その後の作品ということで『オグリ』を選んだ。歓喜がテーマで、自分が歓喜することが周りも救うことになるんです。大スペクタクルもあります。水浸しになりますよ。馬に乗ったままで客席左右の(花道)上空の宙乗りもあります……。観てくださる皆さんには最後は歓喜で踊り狂って劇場を出て欲しい。EXILEように(笑)」と笑顔で説明した。
若干25歳で大役を演じることになった中村隼人も出演を喜び、「新しい客層に観てもらえる広告塔になれたら……」と抱負を語った。
また、身に着ける衣装も今までの歌舞伎では見られないようなもので、フード付きの衣装やトレッド・ヘアあり、キャップ(帽子)も被るという斬新なものになっている。
Wキャストにしたことについて聞かれると、猿之助は「危機管理のためです。いつ腕がはさまれるか分からないし……(17年「ワンピース」で腕の骨折で長期休演した)。これからの演劇界に必要なこと」と話した。また、「年齢差があるので、違う魅力が出ると思う」とコメントした。
会見後の囲み取材でも猿之助は「どんな光の渦にしようかと考えている。みんなで踊りたい! 歓喜(生きる喜び)を味わいなさい! 歓喜は人生のテーマ。哲学として伝えたい!」と楽しそうに語った。
また、猿之助は中村隼人に対して「猿之助を食うぐらいに輝いちゃってください。飛躍すること!そして、その経験をもとに古典の歌舞伎が出来る役者になってほしい」と熱いエールを贈った。そんな猿之助の期待に応えて中村隼人も「今までの殻を破って飛躍できれば……」と強い意志を見せていた。
左から:横内謙介(脚本)、杉原邦生(演出)、市川猿之助、中村隼人、我孫子正(松竹代表取締役副社長)
スーパー歌舞伎II『新版 オグリ』は10月6日~11月25日まで新橋演舞場にて上演。
(文/福住佐知子)