アニメ映画『ぼくらの7日間戦争』初日舞台挨拶
宗田理の金字塔、“ぼくら”シリーズが舞台を北海道へと移し、初のアニメーション映画として生まれ変わった。『ぼくらの七日間戦争』を原作としたアニメ映画『ぼくらの7日間戦争』が12月13日(金)、TOHOシネマズ日比谷にて初日舞台挨拶が行われ、W主演の北村匠海、芳根京子に加え、約30年ぶりに中山ひとみを演じた宮沢りえ、そして本作のメガホンを取った監督の村野佑太が登壇した。
冒頭、宮沢は「30年後にこの役をやるとは夢にも思っていませんでした。私のデビューが『ぼくらの七日間戦争』ですが、『いい映画だった』とか『青春です』と言って下さる方がいっぱいいて、デビューの作品が『ぼくらの七日間戦争』で本当に良かったと思っています。その感謝の気持ちを込めて今回ささやかですけども参加させて頂きました。この青春の空気を多くの人に感じて貰えたらと思います」と挨拶。
30年前の実写版を観たという北村は「子ども対大人の対決なんですけど、今22歳の僕が見ても宮沢さん含めて子ども達が大人に見えて不思議な感じでした。達観しているというか・・・」とコメント。また、芳根は「子どもはこうやって大人の階段を上って行くんだなぁとも思いましたし、今の時代には無いその時代ならではの力強さを感じて羨ましく思いました」としみじみ語った。
宮沢は当時を振り返って「演技の経験が初めてだったので、映画の撮影に入る前に子ども達で2泊3日の合宿をしたんですね。そこでエチュードみたいなことをやったんですけど、それが苦痛で(笑)他の方達より経験が少なかったので苦労しました。でも現場に入ってみると工場のセットやたくさんのスタッフさん達のエネルギーに押されて、出来ないと思っていたことがどんどん出来ていくという、“演じることの奇跡”というようなものを感じた記憶があります」と振り返った。
北村は今回、宮沢とアフレコブースで共演する機会があり、北村は「緊張しましたね(笑)。朝現場に入ったら宗田先生がいらっしゃっていて。1日前にアフレコをやった時とは違う空気が漂っていて、なるほど…、みたいな感じでした(笑)。宮沢さんから『頑張ってね』と言って頂けたので、収録を最後まで走り抜けられました」と宮沢に感謝。それに対して宮沢は「こう言ってますけど全然緊張しているようには見えなくて(笑)。私はアフレコのシステムもよく分からなくてすごく緊張していたんです。そうしたら『ここですよ』とかタイミングを教えて下さって、もの凄く余裕があるように見えました」と北村がアフレコをリードしてくれたたことを明かす。北村は「余裕があるように見せるのはうまいんです(笑)。アフレコの1日目に僕もプロの声優さんと一緒にやって、そこで学んだことを活用したんだと思います(笑)」と謙遜していた。
この後、原作の宗田先生からの公開お祝いの手紙が代読され、村野監督は「映画を作ってる時って、皆さんにお届けしたいなという所から始まるんですけど、作っている最中に誰か一人の顔になっていくんですね。今回僕にとってはそれが宗田先生でした。アフレコの時にもすごく優しく接して下さって、本当に楽しみにしていますと仰って下さって。時代が変わっても原作に対するリスペクトだけは忘れないようにしよう、宗田先生にちゃんと面白いと言って貰えるような作品にしようと思っていたので、今お手紙の内容を聞いてすごく有り難い気持ちで一杯です」と目を潤ませていた。
最後に芳根は「ここから『ぼくらの7日間戦争』がはじまります!皆様のお力を借りられればと思いますので、是非劇場に観に来てください!」と語り、北村も「今日から僕らの手を離れて羽ばたいていきます。青春エンタテイメントの金字塔的作品のバトンを僕らが今回受け取って、もしかしたら30年後、違う『ぼくらの7日間戦争』が出来た時には出れたらいいなと思います(笑)時代は変わっても、きっとずっと皆さんの心に残る作品だと思いますので、映画館に足を運んで頂ければと思います」と挨拶し、イベントは大盛況のまま幕を閉じた。
宗田理 手紙全文
映画の完成と公開おめでとうございます!
ぼくが30年以上前に書いた原作が、現代を舞台にしたアニメ映画としてどう生まれ変わるのか楽しみにしていましたが、見事な出来栄えでした。
この映画は、まさに新しい時代、令和の『ぼくらの七日間戦争』です。
ぼくが自信をもっておすすめします。
北村匠海さんは、クラスで孤独だった少年が成長していく姿を、芳根京子さんは、他人を思いやれる少女を繊細に凛と、演じられました。
素晴らしかったです。
また、30年前の実写映画でみずみずしく映画デビューされた宮沢りえさんが、今作品で、やさしく、強く、信頼できる大人になった『中山ひとみ』を演じてくれたことも嬉しかったです。
さすがの存在感でした。
そして、村野佑太監督。長い時間をかけて、素晴らしい映画をつくってくれてありがとう。
本当におもしろかったです!
この映画の制作にたずさわってくれた全ての皆様に、心から感謝します。
ぼくもまだまだ、ぼくらシリーズの新作を書き続けていきたいと思います。
宗田 理