――お二人が思う、「日向翔陽」というキャラクターの魅力、好きな部分を教えていただけますか?
加藤:僕のネガティブな性格とは真逆で、日向くん彼は本当にポジティブで、常に前に、上に進んでいく。その姿が日向翔陽という人間の魅力だと思います。あと、僕はお仕事の前に緊張してお腹を下すんですが、翔陽も試合前にお腹を壊す。共通点もあるのでその点は演じやすいと思います(笑)。
須賀:本当に「好き」が原動力になっている人だなと思います。全ての行動の元を辿っていくと、「バレーボールが好き」「もっと試合に出ていたい」という思いがある。全てが「好き」から始まって、その気持ちにピュアに向き合っている人だと思います。表現していく中では、疲れるというか、そのエネルギーに負けてしまいそうになるくらい自然発光しているような、太陽のような人だと常々思っています。でも、彼を3年半演じたからか、素の僕の人格も変わった気がしていて。21歳くらいから演じていて、すごく明るくなったというか、斜に構えなくてよくなったというか。全身全霊で向き合うこととか、「好き」を前面に出していくってすごくいいことだと彼を通してずっと思っていました。演じられて良かったし、一番の魅力だと思いますね。
――このシーンを演じる・演出するのが楽しみという部分があれば教えてください。
加藤:一番の不安のもとであり、一番楽しみでもあるのは、日向翔陽の代名詞である“小さな巨人”と、“飛ぶ”というところです。それほどの脚力はないので、頑張ってトレーニングして飛べるようになりたいなって思います。
須賀:全部楽しみですけど、烏野が集まったところを早く見たいです。感傷に浸っている場合じゃないですけど、演じていた側と演出家、両方の側面を味わえるのは僕だけなので、舞台上に全員が並んだ姿を見た時にどう感じるのか楽しみです。
――今後もシリーズとして続いていくと思うので、今後登場する学校も含めて好きな学校・キャラクターもお聞きしたいです。
加藤:僕は音駒高校の黒尾が好きです。
須賀:そうなんだ。俺も日向の次に黒尾が好き。
加藤:普段はフラットな感じだけど、バレーボールになった途端に人が変わる感じがカッコいいと思います。人柄もいいなって。
須賀:右に同じです。あと、僕は鍛治くんが好き。白鳥沢の鷲匠鍛治先生が推しですね。
――加藤さんはこれからどんなふうに役作りをしたいと考えていますか?
加藤:まずはネガティブな部分を治せたらと思っています。それと、須賀さんが言ったように日向翔陽は「好き」から全てが始まるような男の子。物事にどれくらいの関心を持って行動できるか、彼を通して僕も体感していけたらと思います。日向のように最後まで諦めずに取り組めるよう、今のうちから頑張りたいですね。
――今の言葉を聞いて、須賀さんからはいかがでしょう。
須賀:僕が日向を演じていた時、演出のウォーリーさんが「各々のキャラクターを一番理解しているのは各々の役者だから、それを持ってきてください」と言っていました。それはすごく心強いと同時に怖い言葉でもあると思っていて。今回それを踏襲するわけじゃないけど、同じような気持ちでいたいと思っています。役者に芝居をつけるだけが演出家の仕事ではないので、キャストの皆さんに信頼を託し、且つ役者だからわかる辛さや悩み、役作りをする上での組み立て方などを手助けできたらと思います。僕は日向を演じていたので、どうしても僕ら(須賀・加藤)の関係性が注目されがちですし、演じていたぶん熱量も高くなりがち。でもなるべくフラットに、全てのキャラクターに向き合うことを課題にしたいです。
――まだキャストなどは情報解禁前ですが、今回ならではの見どころ、注目ポイントを教えてください。
須賀:ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」は一つの完成形で素晴らしい作品だと思います。これまでの演劇「ハイキュー!!」を愛してくださっている方々の期待を裏切らないようにしつつ、そこを追いかけるのではなく、もう一度「ハイキュー!!」と向き合い直して新しいベクトルで作れたらいいなと思っています。
――座長を務めるうえで加藤さんから須賀さんに聞きたいこと、須賀さんから加藤さんへのアドバイスはありますか?
加藤:なんだろう……。
須賀:稽古もこれからだしね。僕は年齢的にもちょうど真ん中で、上にも下にも言いやすい立ち位置でした。加藤くんは年下になるので、そこでまた座組への入り方も変わってくると思う。一概には言えないけど、とにかく楽しんでもらって、いろいろな感情に素直に気づいてもらえたらいいのかなと思います。
――加藤さんは初の座長ですよね。
加藤:はい。分からないことだらけです。
――とのことですが、これまで出演した作品の座長の姿を見て、自分もやってみたいと思ったことなどはありますか?
加藤:やってみたいというよりは僕の理想像なんですが、みんなに「こいつすごいよな」と思われるような座長になりたい。分からないなりに、やってやる!というか。なんて言うんですかね?
須賀:姿勢とか自分の芝居とかで、カンパニーの人たちからも好かれるというか「この人についていこう」と思われるってことだよね。
――最後に、改めて意気込みをお願いします。
加藤:がむしゃらに、全力で日向翔陽を演じて行こうと思うので、楽しみにしていてください!
須賀:今まで演劇「ハイキュー!!」を応援してくださっている皆さんも、今回から知ってくださる皆さんも、いろんな視点で楽しめる作品にしたいと思います。何よりも原作が持つ力が本当に素晴らしいので、それをシンプルにお伝えできるように頑張ります。至らぬ点は多々あると思いますが、ぜひ劇場に足をお運びください。
■劇団「ハイキュー!!」旗揚げ公演
原作:古舘春一「ハイキュー!!」(集英社 ジャンプ コミックス刊)
演出:須賀健太
出演:日向翔陽役 加藤憲史郎 ほか
公演時期:2023年8月 東京
公式サイト:https://gekidan-haikyu.com
公式X(Twitter):@gekidan_haikyu