シェイクスピアが書いた『マクベス』の中で、主人公・マクベスの妻として登場するマクベス夫人。強烈なキャラクターにも関わらず名前を与えられなかった彼女を主役に、英国気鋭の若手女性作家ジュード・クリスチャンが脚本を書き、演出をウィル・タケット、音楽を岩代太郎が手掛ける『レイディマクベス』。日英クリエイターが描き出す新たな『マクベス』 を、天海祐希、アダム・クーパー、鈴木保奈美、要潤、宮下今日子、吉川愛、栗原英雄といった、実力派キャストたちが演じる。 天海演じるレイディの幼馴染で野心家のバンクォーを演じる要潤に、本作の魅力や見どころを聞いた。
――まずはオファーを受けた時の思いを教えてください。
舞台の経験は少ないですが、先輩たちから「板の上に立つ俳優になりなさい」と言われていました。40歳をすぎて、挑戦したいというタイミングでお話をいただいたので嬉しかったですね。久しぶりに舞台に出演する予定だった『もう我慢できない』はコロナ禍で中止になってしまいましたし、その前にやった司馬遼太郎先生の『燃えよ剣』を題材にした舞台は1人芝居で、みんなで作り上げていく“舞台”とは少し違ったので、舞台のキャリアには入らないのかなと思っていて。
――台本を読んで、バンクォーという役からどんな印象を受けましたか?
複雑な役だと感じました。天海さん演じるレイディとは同年代の友人ですが、仲良しこよしではなく、忌憚ない意見を言ったり、目の上のたんこぶになったり。激動の時代においてそれぞれのキャラクターがそれぞれ強い意思を持って生きているということもあって、微妙な距離感があります。
――本作の見どころはどこでしょうか。
シェイクスピアの『マクベス』を元にしたオリジナルの脚本で、キャラクターや設定、あらすじも違うのでそこは見どころですね。また、エンターテインメントではあるんですが、アーティスティックな要素もすごく多いと思います。例えば素晴らしい絵を見て衝撃を受けたり、心を掻き乱されたりしますよね。観終わった後、皆さんがどう感じるかが一番気になるところです。
――キャラクターの関係性も元の『マクベス』とは違います。このキャストさんとのお芝居が楽しみ、このキャラクターが面白いという部分は。
それぞれ役割がしっかりしていて、結構みなさんと均等に絡むんです。天海さんとのお芝居は久しぶりなのですごく楽しみです。 キャラクターとして気になるのはマクダフ役の鈴木保奈美さん。僕もまだ全部理解しているわけではないんですが、同じ方向を向いているキャラクターなのかなと思います。
――ストーリー全体の魅力や面白さも教えていただけますか。
時代にすごく合っている作品です。争いの絶えない時代で、みんながちょっと違和感を覚えていたり、コロナなどをきっかけに生き方を考えだしていたりすると思います。そこに対するメッセージや、戦うのか戦わずして生きるのか、戦争の是非についての論争なども入っているんですよね。
――役や共演者さんの詳細を聞いた時はどう感じましたか?
皆さんすごくベテランなので、足を引っ張らないようにしなきゃいけないというのが一番でした。シェイクスピアの作品もやったことがなかったですし。初共演の方も多いので、胸を借りるつもりで稽古期間中に仕上げていきたいです。
――海外の作家さん・演出家さんで、公演期間は1ヶ月半ほど。大きなプロジェクトになります。
とても楽しみです。自分が通用するのかという思いもありますし、俳優として新しい何かを得られるんじゃないかという思いもあります。
――ビジュアル撮影の感想を教えていただけますか。
みんな黒でまとまっていて怪しい感じがして、この作品にぴったりだと思いましたね。
舞台『レイディマクベス』
[東京公演]
2023年10月1日(日)〜11月12日(日)
よみうり大手町ホール
[京都公演]
2023年11月16日(木)〜11月27日(月)
京都劇場
[作]
ジュード・クリスチャン
[演出]
ウィル・タケット
[出演]
天海祐希 アダム・クーパー 鈴木保奈美 要 潤 宮下今日子 吉川愛 栗原英雄
[公式サイト]
https://tspnet.co.jp/ladym/