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2023年10月9日 10:00

三浦翔平インタビュー 「今後、日本でもきっと多くの問題が出てくる」 相続と家族を描く『親のお金は誰のもの 法定相続人』

伝説の真珠をめぐる家族の大騒動と成年後見制度の問題を描くハートフル・エンターテインメント映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』が、10月6日(金)から公開される。「相続」と「家族」をテーマにした本作で、メガホンを取るのは『天外者』などで知られる田中光敏監督。ダブル主演を、比嘉愛美と三浦翔平が務める。弁護士として相続問題に揺れる大亀家に関わる城島龍之介を演じる三浦に、本作の役作りについて撮影の裏話などを聞いた。

――今回の出演が決まった時のお気持ちや台本を読んだ時の感想を教えてください。

田中監督と、お会いする機会が何度かあって、次の作品で弁護士の役をやってほしいというお話をいただいていたんです。田中監督がやるのであれば、僕としてはもちろん、いつでも出られるように準備はしておきますということで話が進んでいきました。台本が上がる前に監督とお話しして、龍之介の人物像や話の構成をお伺いしていたので、イメージもできていましたが、台本を読んで改めて面白いなと感じました。監督とは、龍之介がなぜこうなったのか、過去にどういうことがあったのかという人物像や、相続の話や後見人制度についてなど、たくさんお話をさせていただいたんですよ。なので、台本はどちらかというと芝居の現場に行くための最終チェックというような感覚で読ませていただきました。

――田中監督とは、龍之介についてどのようなお話をされたのですか?

龍之介は、幼少期にネグレクトを受けていて、それがトラウマになり、闇を抱えたまま大人になった人物です。そうした過去によって、ちょっと歪んだ性格になってしまい、信じられるのはお金だけだと思っています。ですが、心の中では、どこかで母親に対しての愛情を覚えていて…でも、その愛情というものを認識できていないんですよ。そうした過去があったからこそ、この映画で描かれているような弁護士になってしまったのですが、現実には、龍之介のように若くして自分で会社を立ち上げる弁護士というのはごくわずかだそうです。そう考えると、龍之介はものすごく努力をした人間なんですよね。最終的には、自分の母親に少しだけ歩み寄りを見せて、もう一度、母親に会ってみようと思うまでになるのですが、そこまでの感情の流れについても監督と話し合いました。自分では気づいていないけれど、自分の中に蓋をしてある、母親への思い。その蓋が、遥海の言葉によって少し開いてしまう。でも、やっぱり完全には許せない。そのせめぎ合いがあり、自分の中の気持ちの整理もつかないまま、母親に会いに行きます。龍之介は、複雑な想いが恨みの方向に向いたので、その気持ちを糧にして弁護士になったのだと思います。監督とは、そうした龍之介が抱えていた負の感情や、前を向こうとする想いについて特に話し合いました。

――なるほど。だからこそ、龍之介は敵を作りやすい人物でありながらも魅力的な人になっているんですね。

監督と最初に打ち合わせした時に、僕は、龍之介をもっと悪い人間として演じてもいいんじゃないかという提案をしたんですよ。そうした環境で育ったからこそ、恨みの塊で、お金しか信用しないという人間の方が、もっとエッジが効くんじゃないかと。ですが、監督は嫌われたくないとおっしゃっていました。嫌なやつに見えるかもしれないけれども、どこか可哀想で、切なさがあって、なんだか人間らしい。嫌なやつだけど、分からなくもないというところを残したいという監督の思いがあったので、そこは意識しました。

――田中監督とは『天外者』に続いてのタッグですが、明治初期を舞台にした『天外者』と現代を舞台にした本作では演出の違いはありましたか?

僕は同じ感覚でした。ただ、今回は現代劇ですし、コメディ的な要素も入っている作品なので、楽しんで演じることができました。

――では、そうした撮影現場での共演者の方々とのエピソードを聞かせてください。

僕は小手(伸也)さんと一緒にいる撮影が多かったのですが、小手さんが天照大神の始まりから現代に至るまでの日本神話をずっとしてくださっていました(笑)。(小手は)知識量が半端じゃないんですよ。それまで、日本神話について詳しく知らなかったんですが、聞けば聞くほど興味深くて。楽しく過ごせました。

――伊勢志摩の美しい景色も印象的でしたが、ロケで思い出に残っていることはありますか?

現地の方々がたくさん協力してくださって、お昼休憩のお弁当やケータリングもボランティアの方たちがお手伝いしてくださり、毎回美味しかったです。

――特に美味しかったものは?

全部美味しかったです。お肉もあるし、海産物もあるし、何でもあるんですよ。1番好きだったのは、海が目の前にある牡蠣小屋に行って、養殖している牡蠣を食べたことですね。一生食べ続けられると思ったくらい美味しかったです。しかも、徹底して管理した養殖のものなので、食あたりしないそうで。身も大きくて、濃厚な味で、そこでしか食べられないという牡蠣でした。

――「法定相続人」や「相続」など、この作品に携わったことで新たに学んだことはありましたか?

相続に関することではないのですが…真珠ができるまでの過程をしっかり知ることができました。天然のもので、きれいな形をした真珠ができることは、ほぼないんだそうです。このままどんどん海が汚くなってしまうと、天然ものは信頼できなくなるとも言われているそうで、今回の映画ではそうしたことも伝えたいのかなと思います。勉強になりました。

――相続以外のことでも学びが多い作品ですね。

もちろん、後見人制度や相続についてなど、今後、日本でもきっと多くの問題が出てくると思います。専門家を頼ることは大事だと思いました。

――ところで、本作はお金がテーマになっていますが、三浦さんはお金というものをどんなものだと考えていますか?

人それぞれの見方によって違うと思います。僕自身は、その人にとって必要な分があればそれでいいと思いますが、もし、まったくなかったらそれはそれでまた違う感情が出てくると思いますし、それぞれの立場によってお金の価値は変わるものなんだろうなと。

――ちなみに、もし6億円を手にしたら、どう使いますか?

6億って難しい金額ですよね。何かを買うのであれば十分すぎる金額だけど、何かを成し遂げるために使うなら足りないですもんね。

――ありがとうございました! 最後に本作の見どころや読者へのメッセージをお願いします。

1回観ただけだと「?」が残ると思いますが、2回観ると線と線が繋がってくると思います。監督の伝えたい「愛」や「家族」、それからさまざまな想いが描かれている作品です。ぜひ、それぞれの視点で観ていただき、楽しんでもらえたら嬉しいです。

ヘアメイク:石川ユウキ 
スタイリスト:根岸豪
取材 文:嶋田真己 撮影:有田純也

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