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2023年10月28日 21:00

【前編】渡辺大知に聞く『ねじまき鳥クロニクル』の魅力 「これが演劇」という固定概念を壊すような作品

世界的に評価される村上春樹の傑作長編『ねじまき鳥クロニクル』。2020年、イスラエルの奇才インバル・ピントと気鋭のアミール・クリガーの演出のもと藤田貴大の脚本で舞台化し、音楽を大友良英が手掛けて高い評価を得た。

新型コロナウイルスの影響で公演期間の短縮を余儀なくされた本作が、2023年11月、待望の再演を迎える。 初演から引き続き、成河と2人で主人公の岡田トオル役を演じる渡辺大知に、本作の魅力や意気込みを伺った。

――2020年に初演を行い、今回再演となります。意気込みを教えてください。

3年前の公演は、僕にとって稽古から本当に特別な時間でした。キャストさんもそうですし、演出のインバルさん、アミールさん、「マームとジプシー」の藤田さんと思いの丈をぶつけ合いながら日々クリエイションを積み重ねるのはとても幸せな時間でした。

『ねじまき鳥クロニクル』という得体の知れない迷宮のような作品を前に、自分たちが舞台でできる最大限のものに挑戦していた実感があります。それぞれがアイデアを出し、みんなで力を合わせて『ねじまき鳥クロニクル』という作品を掘り進めていく体験が幸せで素敵で、毎日がいい意味での戦いでした。

だからこそ、途中で止まってしまったのはすごく悔しかったです。もちろんお客様に観ていただく時にはある種のゴールというか、その時の全てをぶつけていました。でも、自分たちの中で「もう一つ、何か先に進めるんじゃないか」という思いがあり、たどり着けそうな瞬間で終わってしまった感じもあって。今回の再演では、その次の景色みたいなのも見られたらいいなと思っています。

――皆さんで思いをぶつけながらクリエイトしたということですが、その作業の思い出、こんなところが素敵だったという部分を教えていただけますか。

今回、ストレートプレイじゃないし、かといってミュージカルでもないんですが、音楽とダンスがすごく重要なツールになっています。

音楽が鳴っている中でどうセリフを言うかとか、ここはセリフじゃなくて歌になったり、ここではセリフを言いながら歌になったり……いろんな可能性がある中で一番大変だったのは、音楽を作る作業だったと思います。 音楽は大友さんが担当されていましたが、それに合わせて振り付けや動き方も変わるというか。僕はダンサー経験は全くありませんでしたが、ダンサーとして作品に入り込む瞬間もありました。慣れない中で音楽にどう溶け込むかを考えるのは初めての体験であり、自分の世界を広げてもらえた経験でしたね。

元々バンドをやっていたので、ステージで歌を歌うことはしていました。でも、この作品を通して「歌」に対する新しい向き合い方も知ることができたと思っています。単に自分が歌いたい歌を歌うのではなく、そのキャラクターがなぜこのシーンでセリフではなく歌として発するのか。歌というより言葉が音になって出てくる感じで表現する中で、歌を聴かせるんじゃなくてセリフの延長に歌があるというか、自然と歌になってしまうような歌い方や音楽への溶け込み方をすごく意識したのが印象に残っています。

――Wキャストではなく、成河さんと2人で1人の人間を演じます。中々ない経験だと思うのですが。

お話をもらった時に、「オカダトオル役です」とオファーをいただきました。それから「オカダトオルを2人の人間でやります」と聞いて、想像がつかないなと。でも、原作を読んだ時に腑に落ちました。もちろん原作でオカダトオルは1人ですし、2人で演じるようなことは書かれていません。ただ、現実世界で生きるオカダトオルと、脳内というか深層心理みたいなところを旅するオカダトオルを2人の人間で演じるというアイデアはすごいと思いました。その時点でかなりワクワクしましたね。ただ、思いついた演出家さんも、その時点では具体的にどうなるか想像できていなかったと思います。それこそがクリエイトというか、どうなるかわからないものを提示し、みんなで考えて正解を導いていく作業がこの作品の醍醐味だと思います。観ている方にも一緒に探してほしいですね。

――成河さんとの役作りで印象に残っていることはありますか?

この役について成河さんと話していて印象的だったのは、演じ方についてです。
僕は最初、外面と内面の2人が同じ人物に見えるにはどうしたらいいかを考えて稽古に挑んでいました。でも、序盤に成河さんから「違えば違うほど面白いかもしれない」と言われて、すごく脳が開けた感じがしたんです。同じ人物だということを伝えてしまえば、むしろ2人の演技が離れるほど、1人の人間の底知れなさや広さを表現できると思いました。そこからは、「2人で1人というのをどう見せようか」ではなく、自分が与えられた役割の中で何を表現するか、外面のトオルとしてどう存在するかだけを考えるようになりました。

また、僕は外面だけど、内面のように見えてもいい。観ている人の中で僕と成河さんのトオルがごっちゃになってしまう面白さがあってもいいかなと思っています。言葉だけだと想像しづらいと思いますが、そこがこの作品の面白さだと思いますね。

『ねじまき鳥クロニクル』
原作 村上春樹
演出・振付・美術  インバル・ピント
脚本・演出  アミール・クリガー
脚本・作詞  藤田貴大
音楽  大友良英
出演    成河/渡辺大知  門脇 麦
   大貫勇輔/首藤康之(W キャスト)  音 くり寿  松岡広大  成田亜佑美  さとうこうじ
            吹越 満  銀粉蝶
・東京公演 2023年11月7日(火)~26日(日) 会場:東京芸術劇場プレイハウス
・大阪公演 2023年12月1日(金)~3日(日)   会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
・愛知公演 2023年12月16(土)・17日(日) 会場:刈谷市総合文化センター大ホール

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