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2020年12月4日 06:00

『忠臣蔵 討入・る祭』小林且弥&安西慎太郎&前川優希&大薮丘インタビュー! シリーズ10周年を飾る本作「前例を壊して、新しいものをお見せしたい」

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

 

チャオ!明治座祭10周年記念特別公演『忠臣蔵 討入・る祭』が1228日(月)から、明治座で開幕する。本公演は、2011年より、演劇制作会社る・ひまわりと老舗大劇場の明治座がタッグを組み、歴史ものをテーマに上演を続けてきた、年末“祭”シリーズの舞台。伝統ある商業演劇のスタイルに則って、第一部ではお芝居、そして第二部ではショーの2部構成で上演される。今年の芝居は、年末の風物詩でもある「忠臣蔵」。史実に忠実ながらも「もしあの時こんなことがあったら…」という歴史の「もしも」に着目し、斬新な解釈でエンターテインメント作品に仕上げた。今回は、本作に出演する、小林且弥、安西慎太郎、前川優希、大薮丘の4人に公演への意気込みを聞いた。

 

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(左から) 前川優希  安西慎太郎  小林且弥  大薮丘

 

――まず、ご出演が決まったときの思いをお聞かせいただけますか?

安西:これまでも何度か祭シリーズには出演させていただいていますが、再び出演できる嬉しさと、コロナ禍でも舞台に立たせて頂ける喜びと、ダブルで幸せな気持ちになりました。

前川:僕は今回、初めてこのシリーズに出演させていただくのですが、10周年という記念すべき年に、そしてコロナ禍で舞台の上で演技させていただけること自体が特別な機会となる時に出演させていただけることを本当に嬉しく思っています。精一杯やらせていただきたいと思います。

大薮:僕は2年ぶりの参加になりますが、お声かけしていただけたのが本当に嬉しく、ただただ楽しみです。今年も最高に盛り上がって、皆さまを楽しませられたらと思っています。コロナ禍の中で来てくださる皆さまに全力で感謝の気持ちをぶつけて、公演中は嫌なことを忘れて、ひたすら楽しんでもらえるよう頑張ります。

小林:前回座長をやらせていただいてから、6年になります。ちょっと干されていたんです(笑)。でも、この記念すべき年に出演させていただけることがまず嬉しく思います。年末に、いろいろなジャンルの人たちが集まって公演するこのシリーズはお祭り的な公演です。シリーズから離れていたからこそ見えることもあると思うので、このカンパニーでしかできないことがやれたらと思っています。

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小林且弥

 

――前川さん以外の3人は、これまでにも祭シリーズに出演していますが、このシリーズならではだと感じたことはありますか?

安西:作品を作るために、役者と役者、役者と演出家のセッションが多いと思います。だから、余白の余白まできっちり埋まるのだと思います。それと、シンプルに面白い人が多い(笑)。

大薮:僕は前回、稽古初日から皆さん、エンジン全開だったことに驚きました。自分が(笑いや注目を)取ってやるという熱意が皆さんから感じられて…今年は僕も稽古初日からエンジン全開で頑張っていきたいと思っています。

小林:強い意気込みがある役者も多いですが、でも、フリーダムだというのもこのシリーズならではな気がします。毎年出演している人にとっては特に、この1年間で何を学び、どう芝居が変わったのかを皆さまにお見せすることができる機会にもなります。そういった意味でも、必ずしも、同じ熱でいなくてはいけないわけではない。自分のペースが守られているのもこのシリーズらしさだと僕は思います。それは、怖いことでもあるのですが。

――なるほど。

安西:でも、毎回、色が違う気がします。座長の持つ空気で変わるのかもしれません。

――前川さんは、今回、シリーズ初出演ですが、皆さんのお話を聞いてどんなことを感じましたか?

前川:より緊張度が増しました(笑)。でも、自由度が高いという話は、これまでにこのシリーズに出演したことのある俳優仲間からも聞いていました。自分の力量に任されるところもあるということだったので、引き出しの多さや実力が試される場になるんだろうと感じています。なので、僕にとっては挑戦となる作品になるなと思っています。

――先ほど安西さんが座長によって色が変わるとおっしゃっていましたが、今回、平野さんとともに座長を務める小林さんは、皆さんから見て、どのような色、空気のある方だと感じていますか?

安西:あくまでも僕の勝手な考えですが、且弥さんと平野さんは、余計なことはしない方なんです。舞台に立って、お客さまに見られていると「届けよう」という意識が強くなり、その届け方を間違えたりすることもあるのですが、お2人にはそれがない。「物語」を届ける意識が強いのだと思います。だから、最小限のお芝居が最大の情報を与える事を知っている。僕の予想だとスマートだからこそ醸しでる濃密な作品になるのではないかなと。

小林:昨年は、詰め込まれた作品という印象だった?

安西:いや…どうですかね。判断が難しいな(笑)。昨年は演出家さんも違ったので。

小林:そうだよね。(取材当時は)まだ台本もできてないしね。稽古は11月末からスタートだけど。台本は早く欲しい? セリフ覚えは良いの?

大薮:台本は早く欲しいですが…(セリフ覚えは)どうかな。

小林:(笑)。良いんだね。慎太郎は?

安西:悪いです。本当に覚えられないんですよ…。今はまだいいけど、今後、年を取ったら、本当にやばいかも…。

小林:僕も、仕事をやり始めた20歳の頃は、何も分からないから、台本もらったらすぐに(セリフが頭に)入ったんですよ。勉強するよりも全然楽だと感じてたし。でも、だんだんと余計な知恵がつきすぎて、「この役は、こんなこと言わないよ」とか「これは整合性が取れてるのか?」とか考えてしまって、全然進まない。言葉が全く入ってこなくなっちゃったんです。記憶力がどうこうではなく、脳が拒否してるんじゃないかなと思う。慎太郎もそうなんじゃない? 役者の悪い癖だよね。

 

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安西慎太郎

 

――ということは、逆に、すんなりと納得できる台本だったら、スッと入ってくるんじゃないですか?

小林:そうなんです。だから稽古が始まって、演出家や他の役者と話し合って、物語が見えてきたら、すんなり入るんです。

安西:確かにそうですね。

――話を戻しますが、改めて、小林さんと平野さんの座長ですと、どんな空気の作品になりそうだと考えていますか?

前川:僕はお二人とも今回が初共演なので、その空気感を感じるのはこれからになります。いろいろなものが初めての作品なので、今は、皆さんの中にどうにか食い込んでいきたいと思っています。自分の武器をもう1つ増やしていかないと、押し負けてしまうんじゃないかという不安もありながらも、稽古を楽しみにしています。

大薮:僕は、平野さんも小林さんもどしっとしている印象があります。余裕があって、安心感があります。

――では、小林さんから、座長としてどのようなことを考えていらっしゃるのか、お聞かせいただけますか?

小林:(ともに座長を務める平野)良ちゃんとは、このシリーズが始まる前に、『戦国鍋』というテレビ番組で一緒になったのが初めてでした。そこで、「歴史を学ぶ」ことをテーマにしたドラマを放送していて、僕が家康を演じて良ちゃんが秀吉の役を演じていたんです。その後、その『戦国鍋』が舞台化されたのが、この10年続いている祭シリーズになります。なので、今回、10年の節目で、2人で座長をやらせていただくというのは感慨深いものがあります。それに、今年の始めに良ちゃんとは、2人芝居もやらせてもらっているので、年の終わりにも2人で座長をやって締めくくるというのも、ご縁があるなと思います。

僕は、良ちゃんのいい意味でクセのあるお芝居が大好きなんです。独特の表現の仕方ができる稀有な役者だと思いますし、すごく信頼しています。平野良という頼もしい役者と一緒にやれるということを単純に楽しみにしています。

 

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 前川優希

 

――ありがとうございました。では、それぞれが演じる役柄についても教えてください。

小林:まだ台本はないので、詳しい役柄は分からないんですが、キャッチコピーだけは決まっているんですよ。前川くんは「高2のエンペラー」。それについては何か聞いてる?

前川:幕府にいろいろとちょっかいを出すという役割があり、たくさんの人と関係性があるというキャラクターになるようです。でも、何で「高2のエンペラー」かは分からないですが(苦笑)。

小林:じゃあ、稽古が始まるまでに、自分なりの「高2のエンペラー」を膨らませていく感じなんだね(笑)。

前川:そうですね。これが僕の「高2のエンペラー」ですっていうのを見せたいと思います(笑)。

小林:大薮くんのキャッチコピーもすごいよね。「常にデニーロアプローチ」って。

大薮:難しいですよね、これ(笑)。

小林:相関図にこんなこと書かれてたら、誹謗中傷されてるのかなって思うレベルだよね(笑)。自分ではどうしてこのキャッチコピーなのか分かっているの?

大薮:前回、出演させていただいた時に、東京公演の直前に出演できなくなってしまった方がいて、僕が代役をすることになったんです。急遽、二役をやったので、それでついているのかなと思います。さらに、(その年の)大阪公演でもまた出られなくなってしまった人が出て、また僕が代役をやることになって…。

小林:え? それは東京公演終わった後に、代役をやることになったってこと?

大薮:大阪公演のときは、大阪に向かう新幹線の中で決まったんですよ。演出の板垣(恭一)さんに呼ばれて、「代役、やることになったから」って。その翌日が初日だったので、本当に急遽でした。

小林:それはすごい! でも、キャッチコピーとしては「常に代役」の方がいいんじゃない?(笑)。その代役をやった役柄の動きやセリフはもともと覚えていたの?

大薮:東京公演の役柄は、稽古を見ていて大まかな動きは覚えていたんですが、大阪公演の役柄は全く分からなかったのでしんどかったですね(苦笑)。

小林 でも、デニーロアプローチってそういうことなんだろうね。役にもきっと投影されるから、楽しみにしています。

 

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大薮丘

 

――小林さんの役はいかがですか?

小林:僕の演じる大石内蔵助は、「転職したい赤穂藩家老」だそうです。このキャッチコピーは、制作サイドの人がその役者をどう見ているかが分かるんですよ。つまり、僕は基本的にやる気がないように思われているんだと思います(笑)。前回、出演した時には黒田官兵衛を演じさせていただいたのですが、その時のキャッチコピーが「目薬屋になりたい」。それも転職したいってことですから(笑)。僕にはそういうイメージがあるんでしょうね(笑)。慎太郎は「諦めたら、そこで試合終了だよ」については? なんで慎太郎だけセリフなの(笑)?

安西:それは、僕も分からない(笑)。

小林:制作サイドは、これだけ何年も出演して、主演もやっていても、慎太郎のことが理解しきれてないのかもね(笑)。それだけミステリアスってことじゃない?

安西:…そうなんですかね?(笑)。

――それぞれのキャッチコピーからどのようなキャラクターが作り上げられるのかも楽しみです。それでは最後に、小林さんから公演を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。

小林:新型コロナの影響で、どうなるか分からないというご時世ですが、その中でもこうして継続して上演することができるシリーズがあることは僕たちもとても嬉しく思っています。生の舞台で演じることができるありがたみを、お客さまとも共有しながら、怯むことなくやっていきたいと思います。

僕は、このシリーズがここまで継続されてきたのは、毎回毎回、それまでの概念を壊して、新しいものを作り上げきたからだと思います。「前の舞台はこうだったから」とただ踏襲するだけでは面白いものは作れない。なので、今回も前例を壊して、新しいものをお見せしたいと思っています。ぜひ、明治座に足をお運びください!

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(左から) 前川優希  安西慎太郎  小林且弥  大薮丘

 

チャオ!明治座祭10周年記念特別公演『忠臣蔵討入・る祭』
【公演日程】12月28日(月)~31日(木)
【会場】明治座
【チケット料金】
  S席:13,000円(カウントダウン公演のみ:13,500円)
  A席:5,800円(税込)
  ライブ配信:4,500円(カウントダウン公演のみ5,500円)

【HP】https://chu-ru.jp

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チャオ!明治座祭10周年記念特別公演『忠臣蔵討入・る祭』
【演出】 板垣恭一
【脚本】 土城温美
【出演】 平野良(W主演) 小林且弥(W主演)/
安西慎太郎、木ノ本嶺浩、蒼木陣/
前川優希(Wキャスト)・松田岳(Wキャスト)、大薮丘、小早川俊輔、
井深克彦、谷戸亮太、加藤啓、林剛史/
伊藤裕一、百名ヒロキ、大山真志(Wキャスト)・原田優一(Wキャスト)/
辻本祐樹/水夏希
【会場】 明治座
【日程】 2020年12月28日(月)11:00/17:00
12月29日(火)11:00/17:00
12月30日(水)11:00/17:00
12月31日(木)14:00/20:30

※上演時間は3時間30分を予定しております。
※3歳以下入場不可、4歳からチケット必要
※カウントダウン公演(12月31日20:30)につきましては、
18歳未満のお客様は保護者の方がチケットを購入の上、保護者同伴が必須となります。

【内容】
<第一部>お芝居『O-ICCEAN’S11~謎のプリンス~』
上演すれば必ず当たる!といわれた不朽の名作「忠臣蔵」を新たな物語として描きます。主人公は、討入り後に唯一生き残った寺坂吉右衛門と赤穂浪士のリーダー大石内蔵助。2人の友情、赤穂浪士たちそれぞれの想い、そして彼らを取り巻く様々な思惑を背景に「背負う男たちの物語」を上演致します。
“祭シリーズ‘ならではの歴史上の「IFもしも~」も盛沢山にお届けします。

<第二部>ショー『煮汁プロジェクト』
旨味と出汁の利いた世界一の”側用人”グループを作るために行われる、側用人公開オーディションプロジェクト。
既に様々なジャンルで活躍中の一流家臣たちが、世界一の側用人を目指して、自分たちの代表作をお披露目。

【主催】 る・ひまわり 明治座
【お問い合わせ】 明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00~17:00)

 

 

 

 

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