取材/RanRanEntertainment
ダンスパフォーマンスグループ「FANTASTICS from EXILE TRIBE」のパフォーマーで、2020年からは俳優活動もスタートした堀 夏喜が出演する、PARCO PRODUCE 2022「ホームレッスン」が9月24日(土)から開幕する。本作は、今注目の作・演出家の谷 碧仁書き下ろし、俳優・作家・演出家とマルチに活躍するシライケイタの演出で上演される現代の家族の物語。
三上家の長女・花蓮との「できちゃった結婚」を機に100の家訓のある三上家で生活することになった主人公・伊藤大夢は、戸惑いながらも三上家に馴染んでいくが、ある日、部屋に閉じ込められている花蓮の弟・朔太郎が発見される。それをきっかけに、三上家のバランスが次第に崩れていく。
今回、ランランエンタメでは、朔太郎を演じる堀に、意気込みや見どころを聞いた。
――ご出演が決まった時のお気持ちから教えてください。
すごく意外でした。というのも、僕は今までグループ活動として、お芝居あり、楽曲のパフォーマンスありのライブショー的なステージには出たことがあるのですが、今作のようなお芝居をじっくり見せる舞台に出演したことはなかったんです。しかも、グループから離れて一人で挑戦させていただく機会をいただけるとは思ってもみなかったので、驚きました。最近では、少しずつお芝居の仕事もするようになって、自分のお芝居としてのスキルや経験値を積んでいきたいと思っていたところでのお話だったので、すごく良いチャンスをいただけたと思い、嬉しかったです。
――最初に脚本を読んだ感想は?
物語の冒頭から「100の家訓がある」と出てきて、その家族の“普通じゃない”ところに違和感を覚えながらも引き込まれました。そして僕が演じさせていただく朔太郎がきっかけとなり、家族の形がどんどん揺れ動いていくというストーリーに、釘付けになりました。狂気的なものも感じましたし、「家族とは?」と考えさせられる作品でもあって、何度も読み返したくなる魅力が詰まっていると感じました。
――朔太郎という役柄をどのように演じたいと思っていますか?
朔太郎は18歳という設定なので、自分よりも若い年齢の人物をどう演じたらいいのか。1年間も物置小屋のようなところに閉じ込められているという、普通じゃない状況にいることをどう表現したらいいのかと、色々と考えたんですが、演出のシライさんから「自分の持っているものと朔太郎をうまく混ぜて演じればいいんだよ」とおっしゃっていただいたので、感じるままにお芝居したらいいのかなと思うようになりました。それから、朔太郎はとにかく意志が強く、最初から最後まで全くブレないし、折れないんです。その強さは僕もしっかりと持って演じたいと思います。
――朔太郎と同じような経験はもちろんしたことがないと思いますが、共感できる発言や感情の動きはありましたか?
役を作っていく上で、僕は18歳の時に何をしていたんだろうと思い返してみたのですが…、その頃はダンスばかりやっていて、それだけをやっていたいと考えていたことを思い出しました。今思うと、それは若さだったのかなと思います。朔太郎は、家族を変えたくて、「この家訓はおかしい」という強い思いを持っていますが、それも若さゆえのブレない思いなのかなと思うと、共感できるところもあります。
――稽古場の雰囲気はどう感じていますか? グループ活動をしている時の空気感とは全く違うと思いますが。
稽古をする前にお互いのことを知るための時間を設けてくださったので、緊張がほぐれて少し楽になりました。ただ、やっぱりこうした舞台の稽古は初めてのことなので、体は元気でもドッと疲れます(笑)。張り詰めているような感覚は初めてのことですので。ですが同時に、今まで感じたことがない清々しさも感じています。稽古でこれだけの気持ちを味わえているので、本番を終えたらどれだけの達成感を得られるんだろうと、今からワクワクしています。
――ご自身でも成長や手応えは感じていますか?
まだ(取材当時は)稽古が始まったばかりということもあって、手応えがあるかと言われるとそこまで感じてはいないですが…。今はまだ、セリフを言うことやどう動くかに必死なので、これから稽古を重ねていった時に、自分の中でも成長できたポイントを見つけられたらいいなと思っています。
――では、堀さんご自身は、この物語に出てくる「三上家」をどう感じましたか?
偏りまくった愛だなと思いました。もうちょっとバランスを取っていただきたい(笑)。
――もし堀さんが朔太郎の立場だったら、どうしますか?
僕なら、順応してしまうと思います。逆らえないかなぁ。僕は危ない橋を渡りたくない性格なので。
――それは、意外でした。アーティストとしても活躍されていることから、どんどんチャレンジしていくタイプかと思いました。
そうですよね。「夢を追って若くして上京しました」というイメージを持っている方が多いと思いますが、僕は確信が持てるまで絶対に上京したくなかったんです。グループ結成が決まってから「じゃあ、東京に行きます」だったので、確信が持てないと動かないタイプです(笑)。
――本作では「自由」や「幸せ」がキーワードのひとつになっていますが、堀さんにとっての「自由」とは?
心の持ちようなのかなと最近思っています。決められた枠の中であっても、心さえ自由で開放的であれば毎日、楽しく過ごせると思います。学生の頃は、毎日同じスケジュールで動いていたけれど、それをやってこれたのは、心が自由だったからだと思います。なので、自由は自分の内面にあるものなのかなと。
――「幸せ」を感じる瞬間は?
25歳になって初めて、仕事終わりに一人でしっぽりお酒を飲むことを覚えました。今までは、お酒は人と一緒の時にしか飲まなかったんですが、一人で映画を観ながらお酒を飲むようになって、今、それが最大の幸せです。
――元々、お酒はお好きだったんですか?
それほど好きでもなければ、強くもないんですよ。なので、誰かと一緒に飲むことが多かったんですが、今は仕事終わりの一杯の美味しさが分かるようになりました。自分でも大人になったなと思いました(笑)。
――ところで、堀さんは2020年に俳優としての活動もスタートし、ドラマや映画にも出演してきました。お芝居に対する思いは変わってきていますか?
はい、すごく変わってきています。グループを結成した当初は、まさか自分がお芝居をやるとは思ってもいませんでした。チャレンジさせていただけるということになった時にも、最初は緊張やプレッシャーが大きく、「お芝居をやるならこうしなくちゃいけない」と考えが凝り固まっていたんですが、段々と「楽しもう」と考えられるようになってきました。今は、ダンスと同じくらいにお芝居も好きになっているので、自分を支えるもう一本の柱になったらいいなと思っています。
――グループのメンバーにも役者として活躍されている方がたくさんいらっしゃいますが、今回、初めて舞台に挑戦するにあたって、何かアドバイスをもらいましたか?
リーダーの佐藤大樹くんは、これまでたくさんお芝居の仕事をしていますし、舞台にも出演していたことがあるので、このお話をいただいた時に話をしました。そうしたら「舞台をやったら、もっとお芝居好きになると思うよ」と言ってくれて。その一言は、僕にはすごく大きかったです。もちろん、舞台をやってみたいとは思っていたんですけど、その一言に背中を押してもらえた気がします。
――この先、俳優としての目標は?
今は目の前のことに必死になっているので、具体的に未来の自分をイメージできていないのですが…、お芝居をこれまで以上に好きになって、お芝居を楽しめるようになりたいという思いはあります。心から楽しんで、達成感と喜びを感じながらお芝居できるようになりたいです。
――ありがとうございました! 最後に、公演への意気込みと開幕を楽しみにされているファンの方々にメッセージをお願いします。
僕にとっては舞台初挑戦となりますが、誠心誠意、自分の持てる力を全て出し尽くして演じさせていただきたいと思っています。共演者の皆さん、谷さん、シライさんと、カンパニーの皆さんが素晴らしい方で、毎日刺激をいただいているので、これを自分の力にして、役者としてさらに大きくなれるよう頑張りたいと思います。僕を普段から知ってくださっている方には、これまでとは全く違った顔をお見せできると思いますし、僕のことを知らない方には、役者としての堀 夏喜をぜひ感じていただけたらと思います。
PARCO PRODUCE 2022「ホームレッスン」
作: 谷 碧仁
演出: シライケイタ
出演:
田中俊介、武田玲奈、堀 夏喜(FANTASTICS from EXILE TRIBE)、宮地雅子、堀部圭亮
東京公演:2022年9月24日(土)~10月9日(日) 紀伊國屋ホール
公式サイト:https://stage.parco.jp/program/homelesson
ハッシュタグ:#舞台ホームレッスン