世界的名指揮者チョン・ミョンフンが自身初のピアノ・ソロ・アルバムをリリースするにあたって、「ミニ・リサイタル&トーク・イベント」が6月10日東京Hakuju Hallにて開催された。本イベントはユニバーサル・ミュージックによって企画され、当日は100名を超える招待客が詰めかけ、終了後には、サイン会も催された。
マエストロ チョン・ミョンフンは、1974年ピアニストとしてチャイコフスキー国際音楽コンクールで第2位入賞したが、その後指揮者に転じ、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルなどのメジャー・オーケストラを指揮、また、メトロポリタン歌劇場(MET)、ウィーン国立歌劇場など世界トップのオペラハウスで指揮する、今や世界でひっぱりだこの超人気指揮者である。マエストロが日本でピアノ・ソロでのステージ演奏を行うのは今回が初めてのようである。
マエストロより、演奏に先立ち、「ソロ演奏は30年ぶり。私には3人の孫がいて、ECM Recordsのプロデューサをやっている私の次男が孫のためにソロ・アルバムを作ったらどうかと勧められたのがきっかけ」と、今回のステージの経緯を説明された。
アルバムに収録されている曲は、ECMとしては珍しいとても人気のある作品ばかり。ある曲は孫娘のため、ある曲は長男の結婚祝いに、そしてある曲は世界的ヴァイオリニストの姉チョン・キョンファへ。それぞれの作品を、自身の愛すべき家族に捧げ、愛情豊かに演奏しているという。「ピアニストのリサイタルを期待しないでほしい。友人、家族に聴いてもらう感覚で演奏するので、そういった感覚で聴いてください。」
さて、マエストロが本ステージで演奏した曲は、本アルバムに収録されている曲より、
① シューマン:トロイメライ
② シューマン:アラベスク
③ シューベルト:即興曲
④ ショパン:夜想曲変ニ長調作品27の2
⑤ ベートーヴェン:エリーゼのために
の全5曲。1音1音が非常にクリアかつ温かな音色で、家族への思いをしたためていることがうかがえる演奏であった。
【チョン・ミョンフン エリーゼのために~マエストロからの贈り物】UCCE-7534
収録曲全10曲
① ドビュッシー:月の光
② ショパン:夜想曲 変ニ長調 作品27の2
③ ベートーヴェン:エリーゼのために
④ チャイコフスキー:秋の歌(《四季》作品37bから10月)
⑤ シューベルト:即興曲 変ホ長調 D899の2
⑥ シューマン:トロイメライ(《子供の情景》作品15の7)
⑦ シューマン:アラベスク
⑧ シューベルト:即興曲 変ト長調 D899の3
⑨ ショパン:夜想曲 嬰ハ短調 遺作
⑩ モーツァルト:「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲
(きらきら星変奏曲)K.265