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2017年9月25日(日)より、東京・日本青年館ホール、10月19日(木)より大阪・梅田劇場シアター・ドラマシティにて上演される、ミュージカル『パジャマゲーム』の制作発表会が2月24日に行われ、主演の北翔海莉、新納慎也、大塚千弘、上口耕平、広瀬友祐、栗原英雄、演出を手掛けるトム・サザーランドが登壇、舞台への意気込みを語った。
広瀬友祐 栗原英雄 新納慎也 北翔海莉 トム・サザーランド大 塚千弘 上口耕平
本作はリチャード・ビッセルのベストセラー小説「7セント半」を元に、7セント半の賃上げを望むパジャマ工場の労働者と雇用者の闘いをコミカルに、そして中心人物となる若き工場長と組合員の恋をロマンチックに描いたコメディ・ミュージカル。1954年に初演が上演されるとトニー賞最優秀作品賞など受賞。“ボブ・フォッシー”が初めて振付を行った作品としても有名である。その後、1957年にジョン・レイドとドリス・デイ主演で映画化され、ミュージカル映画黄金期時代の傑作としてブロードウェイをはじめ、英国ウエストエンドでも度々再演されている。2006年にはキャサリン・マーシャル演出振付でブロードウェイにてリバイバルし、トニー賞のリバイバル賞を獲得した。
演出を務めるのは、『タイタニック』や『グランドホテル』などを手がけた、今イギリスで活躍中の最もエキサイティングな若手演出家であるトム・サザーランド。
主演は、2016年11月に宝塚歌劇を退団し、今作が女優デビューとなる、元星組トップスター・北翔海莉、大河ドラマ「真田丸」で豊臣秀次役の演技力で注目を集めた新納慎也、共演に大塚千弘、広瀬友祐、上口耕平、阿知波悟美、佐山陽規、栗原英雄が脇を固める。
制作発表会のオープニングは、キャスト陣によるミュージカルの楽曲披露からスタート。
新しく工場長として赴任してきたハンサムなシドが気になるが、自分の気持ちを素直に認めない男勝りなベイブの女心を歌ったナンバー『I’m not at all in love』を主演の北翔海莉が軽やかに歌い、2曲目はシド役の新納と北翔のデュエットで「パジャマゲーム」を代表するラブ・バラード『Hey There』を歌唱。2人はトレンチコートに身を包み、互いに恋心を抱く心情を甘く切なく歌い上げた。続く3曲目は、シドとベイブが急接近するビッグダンスナンバー『Once a year day』。着ていたコートを脱ぎ捨てるとステージ上にはかっこいいタキシード姿の2人が。そこに客席後方から、タキシード姿の大塚、上口、広瀬、栗原が歌いながら登場。登壇者全員、ボブ・フォッシーの振付で有名なナンバー「スチーム・ヒート」のコスチュームでパフォーマンスし、仕事を忘れ心からピクニックの日を楽しむ様子を繰り広げた。
<あいさつ>
トム・サザーランド
「「パジャマゲーム」は、音楽、振付などすべてにおいてすばらしい作品。今回、英国で5本の指に入る振付師ニック・ウインストンが担当する振付はボブ・フォッシーへのオマージュですが、アイコニックなイメージは残したまま新しく振付を加える。というのもフォッシー抜きでは「パジャマゲーム」は考えられないから。そして、北翔海莉さんは宝塚退団後、初の女優役ということで今回、その演出をすることができてとても光栄です」
ベイブ役の北翔海莉
「21年間、在籍していた宝塚歌劇団を卒業し、今年初めて女優としての初舞台を踏ませていただく。この作品は、ブロードウエイのミュージカルファンなら誰もがあこがれる作品のひとつ。仕事に命を懸け、仲間を守るような正義感にあふれた、恋に不器用なベイブ役は、男から女の状況に変わる今の私にぴったり。新納さんについて教えていただきながらがんばります」
シド役の新納慎也
「この役はハンサムなんです。見た目はハンサムだけど、なぜか日本のミュージカル界は気づかなかった。だいたい女装とか、ゲイだとかを担当させていただいた。やらせてくれれば、ナンボでも二枚目できると思っていたが、念願叶ってやらせていただくことになりました。これを機に『新納慎也、こういう手も持っているんだよ』とアピールさせていただきたい。2枚目として、観客の皆さんに求婚されるくらいにがんばります!」
グラディス役の大塚千弘
「ミュージカルは2年ぶりで緊張している。栗原さん演じるハインズの妻で美人秘書役。焼きもちを焼かれるくらいコケテッシュに演じたい。また、結婚して初のミュージカルなので、夫にも焼きもちを焼かれるくらい演じられたらいいと思う」
プレッツ役の上口耕平
「気持ちはシド役の新納さんに負けないくらい、2枚目を追求して演じたい。ダンスをやっていたので、あこがれのボブ・フォッシーが振付した作品に出られることもドキドキです!」
チャーリー役の広瀬友祐
「チャーリーはシドの友達の役。魅力的な男性になりそうだと思っているので精一杯頑張りたい」
ハインズ役の栗原英雄
「『パジャマゲーム』は歌と踊りと芝居とすべて三拍子そろった作品。最近、そういう作品が少なくなってきているので、この作品はすごく楽しみ。出演者全員で力を合わせ、楽しんで喜んでいただけるような作品にしたい」
制作発表会では新納が北翔に、「おそらく僕の方が女性役をやっているのでは?これまで演じた半分くらいが女性役だったのでストッキングを履いている(笑)。ドレスさばきなどを教えますので、僕には2枚目役を教えてください(笑)」。それを受けた北翔も「いろいろ教えてください」といい、お互いに「役のチェンジ公演もしたら面白いかもね」とジョークで現場を笑わせる一幕も見られた。
最後に北翔は「海外では何度も上演されている『パジャマゲーム』。皆さまのイメージはあるかもしれませんが、今回この作品を2017年の日本でこのキャスト、ここにはいらっしゃらない他の共演者の方々、このメンバーにしか出せないカラーの『パジャマゲーム』を皆さまにお届けしたいと思っております。ミュージカル・コメディということで、歌って踊ってパッピーエンドの作品を観て頂いて、明日から頑張れる勇気みたいなものをステージの上からお届けできたらと思います」と胸を張った。
(囲み会見へ続く)
ミュージカル・コメディ『パジャマゲーム』
2017年9月25日(月)~10月15日(日)東京:日本青年館ホール
2017年10月19日(木)~10月29日(日)大阪:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【キャスト&スタッフ】
ベイブ・ウィリアムス役:北翔海莉
シド・ソローキン役:新納慎也
グラディス役:大塚千弘
プレッツ役:上口耕平
チャーリー役:広瀬友祐
メイベル役:阿知波悟美
ハスラー役:佐山陽規
ハインズ役:栗原英雄
原作 リチャード・ビッセル
脚本 ジョージ・アボット、リチャード・ビッセル
作詞・作曲 リチャード・アドラー、ジュリー・ロス
翻訳・訳詞 高橋知伽江
演出 トム・サザーランド
音楽監督 島健
美術 松井るみ
照明 日下靖順
音響 大野美由紀
衣装 前田文子
ヘアメイク 中原雅子
通訳 寺田ゆい
演出助手 伴・眞里子
舞台監督 瀧原寿子
【ストーリー】
パジャマ工場での「7セント半」の賃上げと恋をめぐるコメディ・ミュージカル
アメリカのパジャマ工場スリープ・タイト社では、労働者達が日々明るく忙しく働いていた。他社が続々と給料アップを果たす風潮を受けて、スリープ・タイト社の労働組合でも時給7セント半の賃金アップを求めていたが、頭の古い工場主のヘイスラーは共産主義的だと決めつけ、全く聞く耳を持たない。
そこで、苦情処理係のベイブ・ウィリアムス(北翔海莉)を中心に、組合はストライキを計画することに。
驚いたヘイスラーは、新任の工場主任シド・ソーロキンに、この状況の解決を命じる。
着任早々シドは経営者側の人間として労働組合、そしてベイブと対立する事態となってしまう。
シドは若く魅力的な男性で、同僚の女性たちはもとより、ヘイスラーの美人秘書グラディスまでもが、すっかりシドに夢中。そのシドはというと、労働者側の急先鋒であるベイブの美しさに一目で心を奪われていたのだった。
初めはシドに対してそっぽを向いていたベイブだが、ある出来事をきっかけに急接近。
対立する立場の二人が惹かれ合うことで、何やら事態はおかしなことに……。
あの手この手で賃上げを図るベイブたち労働組合は、果たして賃上げに成功するのだろうか。そしてベイブとシド、二人の恋の行方は──?