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2018年11月21日 22:55

愛が剥き出しになった僕を楽しんで―稲垣吾郎 主演・手塚治虫の禁断の問題作「ばるぼら」映像ついに解禁

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

手塚治虫禁断の問題作「ばるぼら」が初の映画化―その予告編が11/20日本漫画・アニメ界の錚々たる作家が一同に集う「手塚治虫生誕90周年記念会」式典にて世界に先駆け公開された。同時に行われた製作発表記者会見には主演の稲垣吾郎、ばるぼらを演じる二階堂ふみ、手塚眞監督が顔を揃えた。

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「鉄腕アトム」、「ジャングル大帝」、「リボンの騎士」、「火の鳥」、「ブラック・ジャック」―日本のみならず世界の人々に愛され、後世まで受け継がれる数々の作品を残した手塚治虫。時に人々の心を勇気づけ、文学や映画をはじめ、あらゆるジャンルに影響を与えた彼の作品。親しみやすいそれらの作品とは一線を画す「ばるぼら」は、禁断の愛とミステリー、芸術とエロス、スキャンダル、オカルティズムなど様々なタブーに挑戦した問題作だ。映像化不可能と言われたその禁断の問題作が手塚治虫生誕90周年記念して実写映画化される。

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数多ある作品の中でなぜこの作品なのかを問われた監督の手塚氏は「いけない子供だったので子供のころから読んでいた思い入れのある作品。今まで手掛けてきた作品とこの作品との接点が感じられた」また「この作品は父親の作品の中でも非常に変わっている。変わったものっていうのは「鬼っ子」みたいなもので、作者にとっては実は一番かわいい作品なんじゃないか」と映像化の理由を告白。「観ていただければおそらくなぜ今これを作ったのかということが解っていただけると思います」と自信をのぞかせる。原作は70年だが、映画では現代を舞台としているという。

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主人公・美倉洋介を演じる稲垣は「『ばるぼら』のような作品を演らせていただいくのは自分にとって新しい挑戦で、今のこのタイミングじゃなきゃなかなか演じられない役なのかなと思います。『愛が剥き出しになった僕』を楽しんでください」。今回稲垣が演じるのは耽美派の作家でばるぼらと出会うことで狂気の世界へ堕ちていくという難しい役どころだが「(僕が演じるのは)参考になる人がいない役が多い。今舞台でやらせてもらっているのはベートーベンですし(笑)、自分の作り出すものと世の中に求められているものとのギャップに苦しむ役が多いような気がします」。だが今回は自然に役に入りこめたという。「それを誘ってくれたのが、ばるぼらを演じた二階堂さんだったのかな。二階堂さんを初めてスクリーンを見たときに衝撃が走りましたし、いつかご一緒させていただきたいと思っていました。現場では本当にばるぼらで、今日会ったらびっくりするぐらい二階堂さんだったので、もうばるぼらに会えなくなっちゃうのかなと寂しくなってしまいました。存在しているようで存在していないような、夢を見ていたような気分になる演技で僕を引っ張っていってくれた。僕にとっては今まで経験したことのないような出来事でした。」と語る。

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美倉の芸術の女神であり、「都会が何千という人間を飲み込んで消化し・・・・たれ流した排泄物のような女」というファムファタール・ばるぼらを演じる二階堂も「稲垣さんは文学を感じる方。初めて難しい本を手に取った時のような感覚。だから知りたいって思うし、そこに自分がまだ追いつけていないというか、自分の未熟さや大人になり切れていない部分を感じさせられます。演技をしていると自分の中に眠っているばるぼらを起されるような方でした」それぞれの演技が相乗効果でいい作品作りにつながったと感謝する二人は、お互い「光栄です」と照れ合っていた。

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撮影監督を務めるのはウォン・カーウァイ作品で世界に名を馳せチャン・イーモウ、ジム・ジャームッシュなど世界の名監督とも組んで作品を手掛けてきたクリストファー・ドイル。

稲垣によると「(手塚)監督とクリスさんのコラボレーションによる世界観が、本当に美しく耽美的で退廃的」であり、そこで演じていたのが「まるで夢のようで、現実だったのかなってずっとふわふわしていた時間だった」のだと撮影現場について語る。

手塚監督も「稲垣さんや二階堂さんが演じられることによって、実際の俳優さんが生でそこで演じられることで(手塚作品に)また違う魅力が加わってくるんです。ドイルさんのカメラもまた手塚治虫の漫画とはまた違う魅力を放ってくれる」「決して口あたりのいい作品ではないかもしれません。最初はこの味はなんだろうと不思議な味だと感じるかもしれませんが、よく味わってみれば必ずそこから新しい味が開けていって皆さんを夢の世界に連れていくことができると思います」

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フィルムノワール的な退廃的な香りが漂う映像の中に、アジア映画の色彩感がプラスされて、魅力的な俳優たちが演じる手塚作品。稲垣の言葉を借りると「壊れゆくときにしか出せない色気や尊さ」を是非見てみたい。2019年末の公開が今から待ち遠しい。

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