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2011年2月16日 02:08

三浦友和、石田ゆり子主演映画『死にゆく妻との旅路』ロードショー

映画『死にゆく妻との旅路』

2月19日(土)より石川・富山先行上映、 

2月26日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ードショー

配給:ゴー・シネマ

★『死にゆく妻との旅路』~愛する人と別れなければならない時、あなたならどうしますか?~★

今作品はある夫婦の実際の愛の記録である。

1999年12月1人の初老の男が「保護責任者遺棄致死罪」で逮捕された。「保護責任者遺棄致死罪」とは何だろうか?老人や子供、身体障害者や病人などが「生」、つまりは「命」をつなげるためには扶助が必要である。その者に対して、適切な扶助を行なわず、遺棄し「死」に至らしめた、これが「保護責任者遺棄致死罪」である。末期癌の妻を車に乗せて、9ヶ月の間、日本各地を彷徨い、妻を「死」に至らしめたというのが、その男に科された「罪」である。

翌年、その逮捕された男・清水久典氏の手記が月刊誌「新潮45」に連載された。反響が大きく、その後、文庫化されるまでに至り、15万部を売り上げた。ただの興味本位でそこまで人々の心を捉えるのだろうか?夫の逮捕となった事件の裏側にはマスコミが取上げなかった夫婦の愛の絆が存在し、その愛の物語が人々の心を掴んだに違いない。

そして、いま、この愛の物語は塙幸成監督の手により、映画『死にゆく妻との旅路』として多くの人々に語られることになった。

2011年2月2日、有楽町にあるよみうりホールにて『死にゆく妻との旅路』完成披露試写会が行なわれた。塙幸成監督、三浦友和、石田ゆり子が登壇し、撮影秘話や夫婦に対する思いなどが語られた。

塙監督の「今日は寒いなか、わざわざお越しいただいてありがとうございます。この映画は一昨年の夏に撮影を開始して、昨年の冬に撮影が終わるまで、いろいろなことがありました。撮影続行が危ぶまれることもあったなか、今日、このように皆さんにご覧いただけることになり、とてもうれしいです。」との挨拶から始まった。また「映画の撮影時はロケハンをして、撮影場所を決めるのですが、どの場所も清水ご夫婦が実際に行かれた場所以外にはこの映画は撮影できないと感じ、ご夫婦の足跡を辿るドキュメンタリーのようになりました。」と。

続いて、主演の三浦友和、石田ゆり子の挨拶へと続いた。夫・清水久典を演じた三浦友和は「普通ロケでは、大勢のスタッフに囲まれて、何台もの同じ車を用意して、そのシーンごとに車を使い分けて撮影が行なわれます。でも、今回はワゴン車1台しかなく、その1台のワゴン車ですべての撮影が行なわれ、またそばにスタッフがいない状況での撮影もありました。」と撮影時の苦労が語られ、それがこの映画の質感を出しているのだろうと感じられた。

妻・ひとみを演じた石田ゆり子は「結婚をしていないので、ひとみさんをどのように演じれば良いのか不安でしたが、三浦さんがすべて受け止めてくださいました。子供のときからスターの三浦さんをずっと「おっさん」と呼び続けたことに申し訳ないです。三浦さんが旦那さんだったら良いですね。」とほとんど2人芝居のような今作品の感想を述べたところで、三浦から「早く誰か良い人を探してください。」と返され、最後は会場が笑いで包まれた。

石川県七尾市で小さな縫製工場を営んでいた久典は知人の連帯保証人になったことから多額の借金を抱えることになった。大腸癌の手術を終えたばかりの妻・ひとみを残し、兄や姉の助言も聞かず、金策や職探しのため、冬のある日、故郷を飛び出していった。夫・久典の帰りを久すら待つひとみ。しかし、50歳を過ぎた男にはなかなか仕事は見つからなかった。やっとひとみの元に戻った久典。もう季節は夏になっていた。ひとみはひと時も久典から離れたくなかった。久典の手元には50万ほどの現金とワゴン車1台。そのワゴン車で病身のひとみを乗せて、職探しの旅に再度出発する。職探しの旅が厳しい現実により、段々と逃避行になる。

小さなワゴン車で逃避行を続けるなか、夫婦の絆は深くなる。「はじめてのデートね。」と旅を楽しむひとみ。ひとみの髪を切る久典。「おかあさんじゃなく、名前で呼んで。」と頼むひとみ。ひとみの体調を思い、漢方薬を調達する久典。体調が悪化したひとみを久典は病院へ連れて行くが、「離れるのは嫌。」と病室を抜け出してくるひとみ。そして、雪の降るなか、故郷近くの漁港でひとみは最後のときを迎える。愛する久典の隣で。

塙幸成監督は1995年『tokyo skin』で映画監督デビューをし、2006年には宮崎あおい主演の『初恋』で監督を務めている。ダンディー感が全体を包んでいる三浦友和が演じる妻に対する深い愛を捧げる一見冴えない夫・久典。石田ゆり子の透明感で演じられた妻・ひとみ。塙幸成監督によって、この1組の夫婦の姿がつむぎ出された。

10組の夫婦がいれば、10通りの夫婦像があると思う。この清水夫妻もある1組の夫婦の姿でしかないのかもしれない。もし、愛する大切な人が亡くなろうとしているとき、もし、自分が愛する大切な人を残して死ななければならないとき、どのようにするだろうか?どうしたいだろうか?結婚していても、していなくても、観る人、それぞれの立場でいろいろと考えさせられる映画である。

映画の公式HPでは大切な人に伝えておきたいメッセージ「あなたに言っておきたいこと」イベントが開催されている。この映画があなたにとって、大切な人へのメッセージを改めて考える機会になるかもしれない。

 

出演:三浦友和 石田ゆり子

   西原亜希 / 掛田誠 近童弐吉 黒沼弘己 でんでん 松浦祐也

十貫寺梅軒 田島令子 / 常田富士男 ほか

監督:塙幸成 原作:清水久典 「死にゆく妻との旅路」(新潮文庫刊)

脚本:山田耕大 / 音楽:岡本定義(COIL)

製作:「死にゆく妻との旅路」製作委員会 / 制作プロダクション:イメージフィールド 

2011年/日本映画/カラー/シネマスコープ/113分/DTSステレオ/公式HP:www.tabiji-movie.jp  

(c)2011「死にゆく妻との旅路」製作委員会  

 記事/TOMOMI.S

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