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2025年6月24日 16:42

柚希礼音・愛希れいかWキャスト ミュージカル『マタ・ハリ』制作発表会見「人生の全てをかけて挑みたい」

左から)石丸さち子 神尾佑 廣瀬友祐 愛希れいか 柚希礼音 加藤和樹 甲斐翔真 春風ひとみ

 

ミュージカル『マタ・ハリ』の製作発表会見が6月23日(月)に都内で行われ、柚希礼音、愛希れいか、加藤和樹、廣瀬友祐、甲斐翔真、神尾佑、春風ひとみ、演出の石丸さち子が登壇した。

本作は、『ジキル&ハイド』『スカーレット・ピンパーネル』などで知られる作曲家フランク・ワイルドホーンによって2016年に韓国で生み出された。2018年に日本で初演、2021年に再演され、今回は4年ぶり、3度目の上演となる。初演から訳詞・翻訳・演出を手掛けるのは石丸さち子。

エキゾチックな踊りで人々を魅了し、女スパイとして世界を翻弄した伝説の舞姫マタ・ハリ役には、日本初演、再演に続き柚希礼音と、Wキャストで愛希れいかが前回に続き務める。彼女の運命を変えていく2人の男性には、歪んだ愛情を抱きながらも国家戦略として彼女をスパイに引き入れたいフランス諜報局のラドゥー大佐と、真っすぐな愛を示す青年パイロットのアルマン。全くタイプの異なる二役を初演に続き加藤和樹が再び回替わりで演じる。ラドゥー大佐のWキャストとして廣瀬友祐が初登場。またアルマン役のWキャストも初登場の甲斐翔真が演じる。ドイツの将校ヴォン・ビッシング役を神尾佑、マタ・ハリを支える衣装係のアンナ役を春風ひとみが演じる。

会見は、柚希礼音、愛希れいか、加藤和樹、甲斐翔真による歌唱パフォーマンスからスタート。アルマン役の甲斐翔真が『普通の人生』を歌唱。真実の愛に目覚めたアルマンがマタ・ハリへの思いをこめて歌うナンバー。続いて、マタ・ハリ役の愛希れいかが、アルマンへの愛を確信する歌『一生の時間』を披露。ラドゥ―大佐とアルマン二役を回替わりで演じる加藤和樹が、ラドゥーとして『戦いが終わっても』を歌唱。最後に、柚希礼音がマタ・ハリが自らの最期を歌う『この命の最期に』を歌い、歌唱パフォーマンスを終えた。

柚希礼音は、「大好きなマタ・ハリ役を3回目もさせていただけるなんて本当に嬉しいので、人生の全てをかけて挑みたいと思っていますので、よろしくお願いします。」と、力のこもった挨拶をした。

Wキャストで、マタ・ハリ役を演じる愛希れいかは、「私は2021年の再演から参加させていただき2度目の挑戦となります。前回はいろいろな意味ですごく悔しい思いがありまして、今回はまた石丸さち子さんと一緒に、キャストの皆さま、スタッフの皆さまと一緒にもう一度一からやり直す気持ちです。。初演のような気持ちで、ちえさん(柚希礼音)もおっしゃっていたように、私も人生をかけてやりたいと思っています。全てを懸けられるお役に出会たことが、本当に幸せだなと感じています。皆さまに最高のものを届けたいです。」と前回の悔しさも交えながら、意気込みを述べた。

ラドゥー、アルマン二役を演じる加藤和樹は、「柚希さんと同じく初演から参加させていただきます。初演の時は“ラドゥマン”を」と思わず二つの役名をミックスしてしまって、「混ざっちゃった」という一幕もあり、会見を見守っていたファンからも思わず笑いが漏れていた。加藤は続けて、「初演の時は、ラドゥーとアルマンを演じさせていただいたのですが、再演の時はラドゥーのみさせていただきました。そしてこの再再演を、ラドゥーだけかと思っていましたら梅田芸術劇場さんから、またアルマンもやっていただけないかとお話をいただきまして、またこの大役に挑戦させていただけることを非常に嬉しく思っています。いろいろな経験を積み重ねた今だからこそできる、ラドゥー、アルマンを懸命に生き抜いていきたいと思います。どうぞご期待ください。」と再び二役を演じることへの喜びと、経験を積んだからこそ見せられる大役への自信も覗かせていた。

Wキャストでラドゥーを演じる廣瀬友祐は、加藤が先ほど言い間違えた「ラドゥマンを演じる」と話し始め、会場の笑いを誘っていた。そして「ラドゥー役を(加藤)和樹さんと務めます」と改めて挨拶。「僕は今回初参加させていただくのですが、個人的には演出の石丸さんとこれまでそんなに遠くない距離感でお仕事をさせていただいていたのになかなかご縁がなく、今回初めてご一緒できるのでとても光栄に思っています。初演、再演、今回の再再演ということで、この作品がどれだけ愛されているかということを感じます。初演から携わっているキャストの皆さま、作品を愛しているお客さまに最大限のリスペクトを持って、新たな1ピースとして精進していきたいと思います。」と決意を語った。

Wキャストでアルマンを演じる甲斐翔真は初演からずっと「マタ・ハリ」を観ていることを明かし、「大好きな作品だったので、待望の出演をさせていただけるのでとてもワクワクしています。」と率直な気持ちを述べた。会見に先立ち行われた歌唱パフォーマンスでは『普通の人生』を歌った甲斐だったが「アルマン自身は普通の人生、生活が嫌になるほど鬱屈していたのですが、戦況が絡んできて、普通の人生に憧れるという、今の時代、当たり前のことが当たり前でなくなっている今にすごく重なるなと思っています。2025年にアルマンを演じるという意味を舞台上で見つけられたらなと思っています。」とコメント。

ヴォン・ビッシング役の神尾佑は「先ほど素晴らしいパフォーマンスを聴かせていただいて、いよいよ始まるんだという気持ちが盛り上がってきました。とはいえ、ミュージカル界では若輩者ですから、先輩方の胸を借りるつもりで精一杯やらせていただきます。演出の石丸さんとは一度一緒にやらせていただきたいと思っていた演出家の1人なので、非常に楽しみです。。人生をかけてやらせていただきますので、よろしくお願いいたします。」と謙遜しながらも、演出にも期待を込めていた。

アンナ役の春風ひとみは「本当に『マタ・ハリ』という作品が大好きです。さきほど楽曲を聴かせていただいて懐かしいなという思いがしました。再演から参加させていただいていましたが心残りがありました。もう一度挑戦できることは役者として本当に有難いなと思っています。皆さん、お忘れでしょうが私も一応元宝塚です(笑)。このマタ・ハリのお二人、柚希さんと愛希さん。再演の時のお稽古場から本当にその佇まいに感動していたんです。もう一度やるなら、二人を精一杯支えることを宝塚の上級生下級生という関係をフルに丸出しでやりたいなと思っています。“人生懸けて”と、お二人ともおっしゃっているのですが、私は人生を懸けてしまうと後がないので(笑)、そのパワーをギュンと受け止められるようにしたいです。日本での舞台が久し振りですのでその思いもこめて大切にしたいです。」と時に笑いを交えながらも作品への思い、共演する主演の二人への思いを吐露した。

演出の石丸さち子は「歌唱披露の4曲を聴きながら、あぁ始まるんだ。命を懸けた闘いがと私も気持ちを新たにしておりました。この作品が初演から、再演、そして再再演までたどりつけたのは私たちだけでなく、観客の皆様がこの作品を本当に愛してくださった賜物だと思います。同じ形の韓国版を上演いたします。「同じ形」とは言っても、皆さんが愛してくださったものはきっちりとそのままに。そして新たな魅力もぐいっぐいっと取り入れながら。」と挨拶。「あれから時間が経ってみんな成長しています。過酷な戦禍の中、過酷な運命を背負っています。俳優が「命を懸けて演じます」というぐらいでないと立ち向かえない実在の人物の物語です。それを韓国版では、あるフィクションを交えて、フィクションとノンフィクションが半分半分のような形で『マタ・ハリ』を作っているのですが、日本版では自信を持って柚希礼音のマタ・ハリ、愛希れいかのマタ・ハリ。2人の違うマタ・ハリをお届けすることになっています。その魅力は、この再演版の稽古でまた違ってくると思います。そして初演ぶりに二役を演じる加藤和樹さん。そしてラドゥー大佐役の廣瀬さん、アルマンの甲斐さん。楽しみですね。新しい魅力、そして2回目となる春風さんと神尾さんにはまた新しいアンナとドイツ将校演じていただいてまたどんな新しい『マタ・ハリ』になるか楽しみにしていてください。」とここに至った感謝と意気込みを述べた。

また、今公演では、新曲が追加される。石丸は「韓国の再演版を基に作っていますが、初演にあった『From Way Up There』というアルマンのソロ、そしてやがてマタ・ハリとデュエットになる曲です。再演版では『Fight』という曲に置き換わっていたのですが、どうしても入れたかったので、今回特別に許可をいただきまして、韓国の初演版とは違うシーンでこの曲を取り入れて皆様にご紹介したいと思っています。」と説明。曲としては「飛行機を愛し、空を愛したアルマンが空から見た世界を歌う、その心にマタ・ハリが動いて、二人で声を合わせていくという、素敵なナンバーなので、これがどんなシーンで歌われるのか、ぜひ期待していてください。」と力を込めた。

前回の公演はコロナ禍で最後の3公演が無くなってしまったので、それがすごく悔しかったという柚希は、「新しく今の自分自身の全てをかけて、新しいマタ・ハリを作っていきたいと思います」と話す。愛希は「前回の公演では、最後までお客さまに届けられなかったことを悔やむと同時にマタ・ハリという人物は自分が想像しきれないほどの人生を歩んできているので、前回の公演が終わった後には、あれもこれもと反省することがすごくありました。」と振り返り、「今回は5年ぶりです。自分自身の引き出しがどれだけ増えているかは、分かりませんがとにかくぶつかっていきたいです。」とコメント。

加藤も「再演の悔しさはあります。再再演という形でお客さまに届けられるのは嬉しいです。新たに二役を演じさせていただくので、甲斐君と廣瀬くんと刺激し合いながらそれぞれの役を作っていきたいです。僕も新たにという気持ちで役作りをしていきたいです。石丸さんの愛が強すぎる作品でもあると思っているので、稽古場もヒリヒリする瞬間もあると思いますが、その愛を受取って皆さまに返していければと思っています」と前回を振り返りながらも新たな気持ちで挑む決意を述べた。

春風も「舞台上で見えない部分のマタ・ハリと私(アンナ)の関係を一から考えなければと思っています。前は自分の役をやるのが必死でした。アンナって石丸さち子さんなんですよ。いつもやっていて思います。この再演ができるかどうかわからない間も、さち子さんを追いかけていました。役者に向き合う愛情、掛け値なし、共に心血を注いて歩いていく、それが私にとって最高のヒントなのです。そこを追い求めていきたいと思います」と、春風ならではの役との向き合い方を明かした。

廣瀬は「Wキャストの加藤和樹さんとご一緒にできることは光栄です。切磋琢磨して頑張っていきたいです。歪んだ愛をマタ・ハリに、という役の紹介が印象に残っています。歪んだ愛とは何だろう?その時代は世界が歪んでいて、そこに生きている人が持っている愛とは本当に歪んでいるのか、歪んでいないのかというのを今一番考えています。歪んだ世界、時代の中で歪んでいないものは何なのか、役を通してみつけていけたらと思っています」と語った。

甲斐は「新曲で、飛行機の上から見た地球の美しさ、というお話がありましたがそこは役作りとして一つ共感できると思いました。僕は飛行機は離陸と着陸は窓を開ける派なんです。そこは共感できたのですが、アルマンは旅行に行く人ではないんです(笑)。そこの違いはかなりあると思います。美しいものを観るために飛行機に乗っているわけではない。でも美しさを見出させる人です。そこを追求出来たらと思います」

神尾は「この作品についてはまだまだ勉強不足です。お芝居をやってきて、作品に挑む時、稽古とか本番を続けて行っていろいろな発見があったりします。わかったつもりでもまだまだわからない、それを繰り返していくのが舞台の醍醐味でもあります。再演、再再演と繰り返すと作品は成長していきます。この作品は実在する人物を描いているのがベースです。人を生きる真実、人生の何か核のようなものが根っこにあると思っています。そういうものを探せればいいなと思っています」と、演劇そのものを分析するように話した。

マタ・ハリについて、柚希は「戦争の中であのような形で生き抜く女性を、初演の時から本当の意味で理解するのがなかなか難しく、それだけ深い人物だと思います。実在の人物を演じるのがすごく好きなんです。実在の人物だと資料もあり、本当はどうだったのかと想像するんです。周りの人がどれだけ悪く描いていても本当はどうだったのか?追い求めていきます。自分なりの解釈になってしまうところもありますが、世界中で一番の、マタ・ハリの理解者になっています。それが自分自身になっていけるように更に深めていきたいと思っています。女スパイという部分だけ切り取られるのではなく、本当に一生懸命生きた人物だと思いますので、そこを精一杯演じたいと思います」

愛希も「マタ・ハリはどんな境遇でも生きることをやめない。それが私自身もすごく勇気を持てますし、演じていても強くなれます。とても尊敬しているところですし、すごく人間味があると思っています。アルマンと出会って少女のようにピュアなところも素敵です。」とマタ・ハリという人物の魅力を伝えた。

最後に、演出の石丸は「マタ・ハリは第一次世界大戦を描いています。マタ・ハリは、戦争の犠牲者であると思います。スケープゴートにされて二重スパイの嫌疑をかけられた。その中でいかにして彼女たちが自分の人生を貫くのか?それだけでなく、ものすごい辛い過去を抱えています。それを乗り越えるために一人で強く生き抜こうとしたときに封印したものを開くほどの魅力を持って訪れたアルマン。マタ・ハリの生きる力に魅了されて、戦争責任を問われる立場、戦争の重圧にいるラドゥー大佐が深く深く愛してしまう、人間模様が絡み合います。どんな世界であれどんな時代であれ、こんなにも人間は美しいんだ、ということを私は描こうと思っています。今、世界は混迷の中にいます。第一次世界大戦をしっかり振り返りながら、私たちは何を学んできて、現在にいるのか。戦時中を描くということを心して、現代に生きるマタ・ハリの姿が見えるように演出していきたいと思います。」と深い思いを語った。

ミュージカル『マタ・ハリ』
【東京公演】10月1日(水)~14日(火)東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
【大阪公演】10月20日(月)~26日(日)梅田芸術劇場メインホール
【福岡公演】11月1日(土)~ 3日(月・祝)博多座
公式サイト https://www.umegei.com/matahari2025/

マタ・ハリ:柚希礼音/愛希れいか(ダブルキャスト)
ラドゥー/アルマン:加藤和樹(回替わり・ダブルキャスト)
ラドゥー:廣瀬友祐(ダブルキャスト)
アルマン:甲斐翔真(ダブルキャスト)
ヴォン・ビッシング:神尾佑
アンナ:春風ひとみ ほか

Book by Ivan Menchell
Music by Frank Wildhorn
Lyrics by Jack Murphy
Original Music Arrangement and Orchestration by Jason Howland
訳詞・翻訳・演出:石丸さち子

 

 

 

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