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2025年3月6日 18:00

【前編】桜井玲香&海乃美月インタビュー「二人が出会ったからこそという魅力あるボニーを演じたい」ミュージカル『ボニー&クライド』

左から)海乃美月  桜井玲香

1930年代、世界恐慌下のアメリカ中西部で銀行強盗や殺人を繰り返した実在の人物、クライド・バロウとボニー・パーカー。垂れこめる社会の暗雲を振り払うかのように人生を駆け抜けた二人の生き様は“アンチ・ヒーロー”として伝説化し、今も語り継がれる名作映画『Bonnie and Clyde』/邦題「俺たちに明日はない」で、日本でも一躍その名を轟かせた。

この二人の疾走した人生を、『ジキル&ハイド』『デスノートTHE MUSICAL』『ケイン&アベル』などの傑作ミュージカルを書き続ける世界のヒットメイカーである作曲家、フランク・ワイルドホーンが生み出したミュージカル『ボニー&クライド』が、3月東京日比谷のシアタークリエで上演される。

2011年12月にブロードウェイで幕を開けた作品は、2012年に日本初演。のちにブラッシュアップされ2022年ロンドン・ウェストエンドで再演、2023年には宝塚歌劇団雪組にて上演され、今回の上演は演劇界を代表する劇作家・演出家の1人、瀬戸山美咲上演台本・演出による、新演出版となっている。

そんな作品で、柿澤勇人&矢崎広がWキャストで演じるクライドと共にボニーをやはりWキャストで演じるのが桜井玲香と海乃美月。元「乃木坂46」初代キャプテンで、ミュージカル作品での活躍著しい桜井と、宝塚歌劇団月組でトップ娘役として活躍し、本作が退団後の初舞台となる海乃が、作品や役柄に感じる思い、また稽古を通じて感じるお互いの魅力や、支え合う気持ちを語り合ってくれた。

──製作発表会見では歌唱披露もありましたが、いかがでしたか?

桜井 すごく緊張しました!製作発表会見で歌唱披露するのが私は初めてで。

海乃 そうなの?でも、緊張しているようには全然見えなかった。可愛いな~って。

桜井 そんな、そんな。

海乃 当日は「オーディエンス」として一般のお客様も会見に参加してくださったんですよ。

──現在、お稽古も進まれているということで、まず作品全体に感じている魅力を教えてください。

桜井 楽曲が素晴らしいのはもちろん、本読みをした時に感じたのが、全編の体感時間がすごく短いということで。ストーリーの流れにスピード感があって、一瞬も間延びせずに、あっという間に終わる作品だなと。

海乃 その速いテンポのなかでボニーの心情が次々に変化していくでしょう?最後に「人生が短くても悪くない」と歌う前には、一生クライドと一緒にいるという覚悟が決まっているんだけど、それはいつから決まっていたんだろうとか、色々なポイント、ポイントでボニーが思っていることがあるはずだから、それを表現したいのに、本読みをしていたらそんなことを考える暇もなく「もうこの曲になっちゃった」と思って。

桜井 そうなの、そうなの!

海乃 気持ちをしっかり組み立て共演者の方々との会話を交えながら、心情の変化を組み立てたいなぁと。それから「主人公たちは狭い世界に閉じ込められている」というイメージがあって。彼らはその場を必死に生きているんだけど、お客様がご覧になった時に「こんなにもがいているのに、現状から逃れられないのか」と感じさせるような演出で、すごく魅力的だなと思っています。

──お役柄についてはいかがですか?

桜井 クライドのお二人が全然違うお芝居のアプローチをされるので、それだけでも自分の居方がだいぶ変わっているような……

海乃 全く違う印象よね。

桜井 そうそう、全然違うの。私としてはボニーのカッコ良さを表現したいと思っていて、セクシーで勢いがあって、皆が自然に集まってきてしまう。そういう魅力が出るように創れたらいいなと思っていて。

──今まで演じてこられたお役柄とは、また違った新鮮さを感じますか?

そうですね。私は声も高めなので、幼い印象だと言われることもあって、それを稽古序盤に意識しすぎてしまい「ちょっとけだるすぎるかな?この時のボニーは19歳だよ!」と言われたり(笑)。バランスは考えないといけないのだけれど、やっぱりセクシーさは出したいなと。

海乃 それはもう十分出てるから。

桜井 本当?

海乃 うん、素敵。私は最終的にクライドが、この人とだったから一緒にいられたんだ、と納得できるボニーでいたいと思っていて。もちろんボニーの人生から言えばクライドこそそういう人なので、二人の出逢いそのものを大切にしたいです。クライドがどんなボニーと一緒にいたいのか?を考えながら、そのイメージを掴みたくて。でも玲香ちゃんと違って私はこれまで声が高いとはあまり言われたことがなかったんだけど、たぶんテンションが高すぎるのかな。「そこまで高い声じゃなくて良いですよ」とか、冒頭も「キラキラし過ぎている」って(笑)。ボニーは表舞台に立ちたいって一生懸命夢見ている子なはずなのに、既に表舞台に立っていますみたいになっちゃって(笑)。だからちゃんとボニーの持っているベースを掴んで演じなければと。

桜井 でもね、その海ちゃんのキラキラした感じをはじめて観た時の印象がすごく強かった。冒頭のボニーって自分の夢を語るところからスタートする、そこでパッと海ちゃんが顔を向けた時のキラキラ感に「あっ!」って思った。いま自分では明るすぎるという風に言っていたけど、ボニーって確かにハリウッドスターになりたいという夢もあるし、環境は劣悪なところにいたにしても、自分なりにはきっとそういうキラキラ感を意識していたのかな、と思えて。それは私が全く考えられていなかったことで、もういつでも銃を構えられます!(笑)、ってそればかり考えていたから、確かにそうだ、冒頭のボニーはまだ染まっていないんだってすごく大きな発見だった。だからこれからそんなキラキラしていた海ちゃんのボニーが、どんな風に変わっていくのかがとても楽しみにです。新しい発見がいっぱいあるボニーだと思う。

海乃 ありがとう。私から見ると玲香ちゃんのボニーって、顔立ちが綺麗な実在のボニーそのままだなと思った。身長も同じくらい?

桜井 私の方がちょっと高いくらい。

海乃 だから私が資料見た実在のボニーそのままですごく憧れたの。さっきもセクシーさって言っていたけど、ちょっとした動き、振り返るとか手を添えるとかの瞬間に、色っぽさがにじみ出ていて。あぁ、この無意識の小悪魔さがボニーだなって。そういう視覚的な部分だけでも素敵なところがいっぱいありますね。私は背も違うし、憧れても同じにはできないんだけど、玲香ちゃんの素敵なところを少しだけでも盗みたいと思う。

桜井 すごく嬉しい、ありがとう。

〈公演概要〉
ミュージカル『ボニー&クライド』
3月10日(月)~4月17日(木)@シアタークリエ
脚本:アイヴァン・メンチェル
歌詞:ドン・ブラック
音楽:フランク・ワイルドホーン
上演台本・演出:瀬戸山美咲
出演:柿澤勇人/矢崎広(Wキャスト) 桜井玲香/海乃美月(Wキャスト)
小西遼生  有沙瞳 吉田広大/太田将熙(Wキャスト)
霧矢大夢 鶴見辰吾 ほか

【公式サイト】
https://horipro-stage.jp/stage/bonnieandclyde2025/

https://www.tohostage.com/bonnie_and_clyde/index.html

《全国ツアー》
【大阪】2025年4月25日(金)~30日(水)@森ノ宮ピロティホール
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーションTEL.0570-200-888(11:00~18:00、日祝休み)
【福岡】2025年5月4日(日)~5日(月祝)@博多座
〈お問い合わせ〉博多座電話予約センターTEL.092-263-5555(11:00~17:00)
【愛知】2025年5月10日(土)~11日(日)@東海市芸術劇場大ホール
〈お問い合わせ〉メ~テレ事業TEL.052-331-9966(平日10:00~18:00)

 

 

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