
医大を舞台にした青春群像劇『ヒポクラテスたち』(1980)の監督・大森一樹の遺志を継いだ、映画『幕末ヒポクラテスたち』。本作の完成披露舞台挨拶が4月5日(日) に新宿ピカデリーで実施され、主演の佐々木蔵之介、共演の内藤剛志、藤原季節、藤野涼子が登壇した。
移りゆく時の流れに取り残されていく人情味あふれる医者とその妻を描いた、1960年公開の『ふんどし医者』が原案。2022年に他界した大森監督の最後の映画企画で、かつて大森監督の助監督を務めていた緒方明監督がメガフォンを取った。

市井の人々を救う蘭方医・大倉太吉役の佐々木は「一昨年の冬に撮ったものが、今日初めて皆さんに観ていただいています。だから本当にドキドキしています。こうして大勢の方に笑顔で迎えていただきまして嬉しく思います」と緊張の面持ちで挨拶。漢方医・荒川玄斎役の内藤はそんな佐々木の気持ちを和らげようと、観客に向けて「まずお伺いしたいんですけど…面白かったですか!?」と問いかけると拍手喝采で「おおお!面白かったんですね!嬉しい」と喜色満面だった。
本作のオファーについて佐々木は「京都出身の僕に京都を舞台にした京都弁の作品のオファーをいただいた。こんなご縁はないと思い、ぜひ務めさせていただきますとお受けしました」と快諾したという。太吉に命を救われる相良新左役の藤原は「新左という役が面白過ぎて、俳優だったら喉から手が出るほどやりたい役。断る理由はありませんでした」と確信。新左の妹・峰役の藤野は『ヒポクラテスたち』に感動したといい「医療に携わる人たちへの思いが伝わってきて、自分もその作品の系譜となる本作に出たいと思いました」と心境を述べた。

そんな『ヒポクラテスたち』に出演していた内藤は、生前の大森監督から『ヒポクラテスたち』のその後に当たる続編的作品の構想を聞いていたという。「今回の作品は“エピソード0”かもしれないけれど、“何があっても人を助ける”という医者の意味においては同じ。大森監督の遺志を継ぐ形で緒方監督が作り上げた」などと真面目に述べるも「あれ?面白くない!?…蔵之介が主演だったので。大好きな奴だから出演を決めました!」などとユーモア交じりに説明していた。
撮影は2024年の年末に主に東映京都撮影所で敢行。佐々木は「大森監督が愛した京都で全員の力を結集させて作った映画です。大森さんから“ようやったな”と言ってもらえるのではないか。全員が懸命にやったからこその熱量やおかしみがこの映画にはある」と手応えを口にすると、内藤も「大森さんがやりたかったことや緒方監督がやりたかったことは出来た気がする。この人(佐々木)は京都出身で僕は大阪出身なので面白くないといけない!これは大事な事」と熱弁。

藤野は「すごく面白かったです!役者の皆さんの表情を見てワクワクしました」と完成に自信を覗かせて、藤原は「僕はこの映画が好きで、完成した作品を観て“映画だな”と感じました。緒方監督が現場で観ていた景色を知れた気がした」と感激していた。
ハイテンションの内藤に藤原は「内藤さんが現場に現れると京都のエキストラさんたちが大拍手で迎える。そんな俳優さん初めて見ました」とサービス精神旺盛なベテランにリスペクトしきりで、内藤は「芝居をやるのは当たり前なんだから、楽しくやる事が大事!だから俺はうるさい」とその理由を説明した。
時代が変わろうとしている幕末を舞台に描かれた物語にちなんで、「時代の違い」を感じた世代ギャップエピソードを発表。藤野はプッシュホンならではの電話機能「短縮ダイヤル」、藤原はコロナ禍を機に数が減ったという「撮影後のごはん」、内藤は「テレビの砂嵐、ペンパル(ペンフレンド)、赤チン」を挙げた。

一方、佐々木は「台本。紙か、データか」と発表。内藤が「俺はデータで台本が送られてきたら読む気がしない。すぐに捨てる」とアナログ派を自称する横で、当の佐々木は「実は僕、データ派なんです」と告白。佐々木の最先端一人抜け状態に内藤は「何!?腹立つわ~!なんやねん!もう絶交じゃ!」と嫉妬交じりに話すと会場も大爆笑。
最後に内藤は「45年前に大森監督が『ヒポクラテスたち』を撮られ、その遺志を継いで緒形監督が本作を撮られました。この2人に共通するのは、“一番大事なことは大きな声では言わない”という事。説明的じゃないところにこそ、この映画の一番言いたいところがあります」と解説。主演の佐々木は「劇中に“人生は短し、術は長し”という言葉があります。大森監督の遺志というバトンを次世代が受け取り、繋げていく事が出来たと思います。『幕末ヒポクラテスたち』をより多くの方に次のバトンとして渡すことが出来れば」と大ヒットを祈願していた。
映画『幕末ヒポクラテスたち』 5月8日(金) 新宿ピカデリー他全国ロードショー
配給:ギャガ ©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

