左から）木ノ本嶺浩 出口亜梨沙
――お二人が撮影で特に印象に残っているシーンを教えてください。
木ノ本：幸せなシーンも楽しかったし、ショッキングなことはつらい気持ちで心に残っているから、全てが印象的ではありましたね。実は撮影が始まってすぐに、かなりショッキングなシーンを撮ったんですよ。華の感情が爆発するシーンで、義男はそれを「大丈夫だよ」と優しく諭してあげるのですが、それを演じている出口さんを見ていて、僕も心が痛くなりました。お芝居とはいえ、かなり心が沈んでしまうシーンだったと思うので。
出口：確かに、しんどかったですし、重かったですね。毎日、毎日、不幸なことが起こるので。私は、（華の妹の小田玲役の）鈴木（美羽）さんと喫茶店で話すシーンはすごく楽しくて印象に残っています。監督が鈴木さんに、「『絶対に、そんな人いる』とみんなが思う先生のモノマネを次の読み合わせまでに考えてきてください」とか、無理難題を言うんですよ（笑）。そうしたら、鈴木さんは本当に考えてきて、「いる、いる」と思うような先生だったので、すごいなと思いました。
――完成した試写をご覧になって、改めてこの作品についてどのように感じましたか？
木ノ本：まず、映像の美しさに引き込まれましたし、自然への畏怖を感じました。それから、本当に観たことがない映画に仕上がっていて、日本独自の解釈を入れた、海外発信の都市伝説を描くとこうなるのかと。監督はものすごく様々な計算をし尽くしてお撮りになられたんだなと改めて感じました。
出口：私も映像の美しさを感じました。パキッとした色の使い方がきれいで。刑事さんたちが話しているシーンは、背景が全て変わっているんですよ。そうした監督のこだわりが詰まった作品なんだと改めて思いました。今回、長回しが多かったんですよ。
木ノ本：この角度から長回しでいきましょう、次は引いて長回しを撮りますというような撮り方をしたシーンも多かったよね。なので、僕たちは感情が途切れることなく演じられてありがたかったです。
出口：きっと編集がただただ大変だったと思います（笑）。
木ノ本 膨大なカット数ありましたからね（笑）。
――出口さんはこの作品が映画初主演となりますが、主演ということについてはいかがですか？
出口：正直なところ、「主演だから」という気持ちは全くなかったです。いつも通り、きちんと向き合って取り組みたいと思って臨んでいました。ただ、出演するシーンが多かったので、それで「ああ、主演なんだな」と思ったくらいです（笑）。現場では、華はどういうことを考えているんだろう、何でこう思ったんだろうとずっと考えていました。
木ノ本：でも、とてもすてきな座長でした。
――ありがとうございました！ では、作品にちなんで、お二人が見た印象に残っている夢を教えてください。
木ノ本：僕、めちゃくちゃ怖い夢を見続けていた時期があったんですよ。自分の歯が抜けていくという夢なんですが。それって、どういう意味なんだろうと思ってネットで調べたら、疲れているとか、よくないことが起きる予兆らしいです。あるときからその夢は見なくなったのですが、何が原因だったのか、今も分かりません。
出口：私も小さい頃からずっと見続けている夢があります。崖の上にいて、白いワンピースを着ていて、ショートカットなんですよ。それが自分だということは分かるのですが、今と全く違う顔をしているんです。それで、その姿を私は俯瞰（ふかん）して見ていて、白いワンピースの私は崖から飛び降りるんです。その瞬間に目が覚めるのですが、何回も繰り返し見ている夢です。
――ちょっと意味深な夢ですね。
出口：そうなんですよ。白いワンピースの女性は前世の私で、死んだときの夢を見ているのかなと。最近は、その夢もあまり見ていないですが、物心ついた時からずっと見続けています。
木ノ本：僕は、熱を出した時に見る夢もあります。世界中の人が自分の家の中に無理矢理入ってきて、ギューッと潰される夢です（笑）。「あっ、潰れる」と思って目が覚めるんですが、小さい頃から熱を出したときに見るんですよね。
――お二人とも結構、はっきり覚えているものなんですね。
木ノ本：最近は、何か夢を見た？
出口：めちゃくちゃ怒っている牛に追いかけられる夢を見ました（笑）。私は、ケガをして弱っている牛を連れて怒っている牛から逃げていました（笑）。
――最後に公開を楽しみにされている読者にメッセージをお願いします。
出口：この映画はスリラー映画だと思われている方が多いと思いますが、怖いだけでなく、人間ドラマもしっかり描かれていて、何かを考えるきっかけになる作品になっていると思います。ぜひ、劇場に足を運んで観ていただければと思います。
木ノ本：まずは、冒頭の圧倒的な映像美をぜひ大スクリーンで観ていただきたいです。いろいろなテーマが盛り込まれているので、ただ怖い、ただ驚くだけじゃない、人間ドラマを楽しんでいただけるエンターテインメントになっています。難しく考えずに観れる作品だけれど、難しく考えることもできるという、稀有（けう）な映画だと思うので、ぜひ楽しんでご覧ください。
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ヘアメイク：池田眞美子(2人共通)
スタイリスト：山本慎一（出口さん）、吉田ナオキ（木ノ本さん）
取材 文：嶋田真紀 撮影：藤咲千明
