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2023年10月28日 21:30

【後編】渡辺大知に聞く『ねじまき鳥クロニクル』の魅力 「これが演劇」という固定概念を壊すような作品

――村上春樹作品は難解な印象が強いですし、上・中・下の3冊をギュッとまとめた舞台になっています。本作の面白さを伝えるとしたらどこでしょうか。

僕自身は難解だとは思っていないんです。『ねじまき鳥クロニクル』のストーリーはとてもシンプルで、あらすじだけ言うなら主人公の奥さんがある日突然いなくなり、その理由を自問自答する話だと思います。ただ、そのシンプルな紐にいろんな糸が絡み、いろんなレイヤーで構成されているんですよね。

男と女の関係だけではなく、関わったはずのない戦争が何かしらの影響を及ぼしていたり、出会ったことのない人間たちが男と女の間に絡まり合っていたり。複雑化したものを解きほぐそうともがいているような作品で、そこが面白いポイントだと思っています。

すぐにほどこうとするとイライラしちゃうと思うけど、丁寧に1本1本解きほぐすことができれば、むしろ快感で。時間がかかるけどほぐれていくのは気持ちのいい作業。丁寧に解きほぐすことが重要なので3巻にもわたっていますが、簡単に要約しようと思えばできてしまう作品でもあると思うんです。ただ、ある種の謎解きというか、時間をかけることで自分の深層心理にも問いかけることができるというか。

作中で主人公が井戸の中に入って自分と向き合う時間がありますが、足を動かすんじゃなくて出口のないところでじっと自問自答するのが実は一番近道かもしれない。遠回りかもしれないけど、かけてきた時間がすごく重要になるのかなと思います。

――本作のテーマの一つである「戦争」。2020年の初演時よりも身近に感じられる部分があり、初演の時とはまた違う見え方になるのかなと思います。

基本的には(稽古を)始めてみないとわからないし、今のうちから気持ちを準備しようとは思っていません。でも、説得力が変わる気はしますね。時代というか、周りの環境が変われば自分の考え方も変わりますし。それは今実際に戦争が起こっていることとは関係なく、自分の周りの環境が変われば価値観も変わるし、同じセリフでも言われた時の反応の違いが出ると思うんです。

作中で間宮中尉という方が僕に戦争について語るシーンがあるんですが、そういった部分の反応が変わる可能性はありますね。ただ、自分から何か変えようとするのではなく、自然と、セリフを受けて自分の心のどこが反応するか、自分自身も知りたいと思います。

また、俳優の仕事は物語をお客様に伝えることで、自分自身の思想は関係ないと思っています。「こういうことを訴えたい」という個人的な気持ちを表現することはありませんが、自分の肉体を使う以上、何かが自然と滲み出すことはあるかもしれません。意図しない部分で自分の中から出てくるものがあったら、それはそれで面白いかなと思いますね。

――最後に、観に来てくださる皆さまへのメッセージをお願いします。

僕は普段、演劇に特化して仕事をしているわけじゃなく、元々音楽をやっていて映画が大好きで、俳優としての仕事もやらせてもらっている身です。『ねじまき鳥クロニクル』に関わらせていただき、自分自身すごく脳みそが開き、新たな価値観が生まれました。普段演劇を観ない方にももちろん観ていただきたいですし、演劇好きな方にも観てほしいですね。「これが演劇というものだ」と決めつけていたものをぶち壊してくれるものになっているんじゃないかと思います。

僕自身がそうだったからこそ、観た方の固定概念みたいなものを壊してくれるものになっていると思う。自分が見たことのないものや考えもしなかったものに出会わせてくれる作品だと思うので、面白いものに飢えている人にはぜひ観にきてほしいですね。

『ねじまき鳥クロニクル』
原作  村上春樹
演出・振付・美術   インバル・ピント
脚本・演出    アミール・クリガー
脚本・作詞    藤田貴大
音楽 大友良英
出演   成河/渡辺大知 門脇 麦
     大貫勇輔/首藤康之(W キャスト)  音 くり寿  松岡広大  成田亜佑美  さとうこうじ
     吹越 満  銀粉蝶
・東京公演 2023年11月7日(火)~26日(日) 会場:東京芸術劇場プレイハウス
・大阪公演 2023年12月1日(金)~3日(日)   会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
・愛知公演 2023年12月16(土)・17日(日)会場:刈谷市総合文化センター大ホール

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https://youtu.be/G7CT5n6WfH4

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取材:文・吉田沙奈 撮影・有田純也

 

 

 

 

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