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2013年2月11日 16:11

ソン・シギョン 『HARU(いちにち)』 2013 JAPAN TOUR 歌声に酔いしれる!!

2012年2月8日(金)、渋谷にあるBunkamuraオーチャードホールの前は、開場を待つ人々であふれていた。彼女達が待っているその人の名は「ソン・シギョン」。2000年に韓国でデビューして以来、彼の甘い歌声は聴く人々の心を掴んだまま離すことなく、「バラードの貴公子」としての地位を確立し、他の追随を許していない。日本でも2006年のファーストライブを皮切りに、毎年コンサートを開き、彼の歌声は私たち日本人の耳に心にも浸透している。

時の始まりを告げる鐘がなり、ジャズの調べが流れるなか、ファンの期待は膨れ上がる。そして、一瞬の静寂のあと、黒のシャツとパンツにグレーのカーディガンを羽織ったカジュアルなソン・シギョンが、静かにステージに姿を現し、歓声があがった。そんなスタイルも彼独特な世界観を作り出す一つだ。「忘れさられることについて」からシギョンワールドが幕をあげた。

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撮影:金美幸

「僕は1年のなかでおかしくなる季節がある。いつの日か嗅いだことある香りに、知っているであろうある人の後姿に…、誰も呼ぶ人はいないのについ後ろを振り返ってしまう。」流れる彼の声。少し、ネガティブシギョンが顔を出した。でも、ファンは「はいはい。いつものことね。大丈夫よ。シギョン、あなたなら。」とその言葉を、ソン・シギョン自身を温かく包み込む。そして、「風、君」へと続く。

スクリーンに映し出される女性の言葉の数々。そして、それに応えるシギョンの言葉。2人の会話が1つのドラマを作り上げた。日本に旅行に来た韓国の青年と日本人の女性が出会い、そして…。「すみません。この列車京都行きですか?京都の秋は綺麗だというので…。」「僕の日本語変ですか?」「ごめん、仕事で電話に出られなかった。」「いま、仕事から帰ったよ。今晩は何食べたの?カレーか。じゃ、僕もカレーを食べるよ。離れているけど、同じもの食べたいんだ。」「明日来る?空港に迎えに行くよ。」「今日は何か変だな…。どうかしたの?風邪引いた?」「僕たち久しぶりに会えたのに…。笑ってくれないの?」「ごめん、仕事が忙しくて…。」「えっ?!やっぱり一緒にいれないことが…。」

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「あなたが食べるものと同じものを食べること。あなたが聞いている音楽を僕も聞くこと。僕が見ている風景を写真に撮ってあなたに見せること。同じ風を感じること。いつの日か目に入ったほこりをフーフーと吹いてくれたあなたの息吹をじっと思い出すこと。いつも一緒にいることができなかった僕たちは、遠く離れたままずっと一緒にいようとして…。」といつも一緒という理想。でも、一緒にいられない現実。コンサートでは恒例の「ならいいのに」では、ファンも一緒に手拍子をしながら、「チョウルテンデ…」と歌った。

「甘い内容なのに、聴くと涙があふれる。一番幸せな時を過ごしながらも、つい涙があふれそうになる時があった。考えてみたら、僕はそのときをなくすのではないかと恐かったようで。いや、なるようにしかならないと思っていた。どの瞬間もはじめてではいられないということを、そして、愛ではすべてを止めることができないということを…。」と「はじめて」をしっとりと。

中島みゆきの「時代」は日本語で歌っているもののソン・シギョン、彼の「時代」となり、そして、おそらく、日本で「ソン・シギョン」という韓国の歌手を多くの人が知るきっかけになった「みちで」など8曲が立て続けにファンに届けられた。ファンからはこれまた彼のコンサートでは恒例の「ヒュー」とソン・シギョンが水を口に含む度に掛け声がかけられた。

ジャズ調など様々にアレンジされた曲はまた新鮮だった。そして、いつものごとく、聴いているとなぜか涙が浮かんでくる彼の歌声。そんな力が彼の歌声にはある。「こんにちは。いつも日本ではこんな言葉で挨拶をしています。お久しぶりです。でも、今日はいつものコンサートとは違って、挨拶もせず、8曲歌いました。心に届くようにラジオドラマのような構成にもしてみました。僕の日本語のセリフ上手くできたでしょうか?挨拶も準備して来なかったの?って思っていませんでしたよね?大丈夫でしたでしょうか?ダメなら明日の公演の内容変えないと…。(大丈夫!というファンの声援に対して)いつものごとく、静かに聴いていただいてありがとうございます。この後も気楽に聴いてください。」とソン・シギョンならではの言葉でファンに挨拶。

そして、バラード曲から一転、「あぁ僕の女神様」「さよなら僕の愛」ではファンも立ちあがり、手拍子やジャンプで声援を精一杯、身体で表す。

ここでいつもの通訳ユさんが登場。ファンのなかには「あれ?今日はいないの?」とヤキモキした方もいるのではないだろうか。<ソン・シギョン>にはかかせない彼。ファンを交えつつ、ソン・シギョンと彼の漫才のようなトークが繰り広げられた。バラードももちろん素敵だか、<ソン・シギョン>を感じるためにこのトークも欠かせない時間だ。そして、会場が大爆笑に包まれる時間でもある。

「いつもと違うアレンジですがどうでしたか?いつものように静かに聴いてくださるので、寝ているのではないかと心配になりました。でも、踊っていただけたし、皆さんの声援が力になりました。」とファンにジョークを交えながら、感謝。「ユさんはこの間、若い子をデートしたんですよ。その友だちはいない?!。日本の皆さんは優しいですね。紹介してあげてと言ってくれますから。やはり、1人だと不安なんですけど…。2人でワンセットですから。(笑)昨日、新橋でご飯食べたんですが…。スタッフにそっちは危ないところだから、行ってはダメだと言われたんです。あぁ、危ないところ行ってみたい。」と。ジョークなのか、正直な心の叫びなのか…。こんなトークもソン・シギョンの魅力の1つだ。

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韓国で有名なフォーク曲「さびしさがあなたを呼ぶ時」「香ばしい想い出」をソン・シギョンバージョンで披露。「歌詞がそのままご理解いただけるなら、もっと良い曲に聴こえるんですが…。でも、感じてもらえたかと思います。」「それにしても僕のコンサートはいつも静かですよね。PSYさんご存知ですよね?彼のコンサートは心臓に悪いですよね。ずっとジャンプしてなければいけないですからね。帰りはクタクタですよ。(笑)僕がコンサートにゲストで行ったときはびっくりされました。静か過ぎて。(笑)僕のところから離れていったPSYさん。自慢されたんです。ディカプリオやニーヨ、ボンジョビに会ったと。中でもマドンナに会ったと聞いたときは僕とは違うと思い…。正直言うと、弱冠、嫉妬もしました。(笑)僕だって、英語もできるし、ルックスだったそんなに悪くないのに…。紹介してくれないかな?(ため息)(ファンが頑張って!と声をかけると)頑張ってと言われると逆に悲しいです。(さらなる「ハル ス イッソヨ!(シギョン、あなたならできる!)」という声援に)悲しい…。(泣)今も僕は幸せです。大丈夫です。今、すごく幸せです!!ちょっとうらやましいだけです。ルックスも良いわけじゃないのになぁ…。うん?なんで、PSYさんの話になったんだろう?ユさんが似ているからかな?」ゆったりとした話もまたおもしろい。

「バラードは芝居だと思っています。歌で演じたいと思います。」とバラードに戻って、「もっときれいになれる」。

「<2013年、こんなことが起きたらいいな>のアンケートに、皆さん、どんな答えを書いてくれましたか?一番多かったのは、<彼氏ができたらいいな>でした。<憎い友人が急に20kg太っちゃえばいい>とか、<彼氏がいないから、みんな別れちゃえ!>だとか誰も他人の不幸せを願うことが書かれていなくて、うれしかったです。僕の曲を好きな人に復讐心や憎しみに囚われた人がいないと言うことですから。愛を待つということは平凡だけど、とても美しいことだと思います。90歳以上の90%が後悔していることは<冒険をしなかったこと>だそうです。それは<宝島を探す、海賊と戦う>ということではありません。<断られることを知りながら告白すること><海を見たい日に海を見に行くこと><違うということはきっぱりと違う>ということです。そして、僕もできなかったことですし、勇気を出して飛び出すことで、僕に必要なことです。だから僕も2013年起きたら良いなぁということは…。<ダイエット><禁酒(といってはいけない)><熱愛><ポカリスエット(のようなさわやかさ、しかし、かごにはビール)><良い曲を作ること>」しみじみ聞き入る言葉や爆笑を誘う言葉の数々。

そして、ブルーデニムにユニオンジャックのTシャツに着替えたソン・シギョンが再登場し、「My Cherie Amore」、「POP STAR」。オリジナル曲はもちろんのこと、フォークもバラードもそして、ポップス、カヴァー曲もすべての曲がソン・シギョンのものとなって、私たちに届く。単なるカヴァーではなく…。

アップビートの曲でヒットアップした会場の熱気はそのまま「微笑天使」に引き継がれ、ジャンプ!!ジャンプ!!そして、「(一息ついて)初日は緊張しますね。今日は多くの方に来ていただいて、そして、しっかり聴いていただいて(笑)ありがとうございます。明日もコンサートがあるので、悲しいです。最後の曲です。2013年は恋愛したいですね。」とファンとソン・シギョンの願いが叶うように「二人」を歌い上げる。

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アンコールの声に応えて、再び姿を現したソン・シギョンは「日本のファンはいつもどちらかというと積極的に表現してくれないけど、今日の皆さんは情熱的で、さらに親しくなれた感じがします。体調があまりよくありませんでしたが…、1曲1曲、皆さんに届けられるよう頑張りました。良いラジオDJはおしゃべりがうまい人ではなく、人の話を良く聞く人だと思っています。皆さんがしっかり聴いてくださるので、僕も歌い甲斐があります。初日で緊張していましたが、皆さんのおかげで無事に終えることができました。ありがとうございました。僕も35歳になりました。この曲は22歳のときの曲です。」とソン・シギョンの原点「僕に来る道」ですべてを締めくくり、最後にファンに投げキッスをして別れを告げた。

新旧の楽曲、またイントロを聴いただけで歓声が上がり、ファンも一緒に歌えるおなじみの曲も織り交ぜたソン・シギョンを丸ごと感じられる構成のコンサートだった。最近はバラエティ「1泊2日」(KBS)へのレギュラー出演により、彼、ソン・シギョンのある意味、歌手<ソン・シギョン>ではなく、1人の男性<ソン・シギョン>という素のもう1つの顔を私たちは見ることができる。しかし、やはり、彼のこの声で作り出す世界観・雰囲気は誰でもない<ソン・シギョン>そのものだ。これからさらに歳を重ねるごとに円熟味を増していくだろう彼の世界観。私たちはその世界にいつまでも浸り続けいていたい。そんな思いを起させる時間だった。

セットリスト

1:忘れさられることについて (4集「また夢をみたい」)

2:風、君 (5集「The Ballads」)

3:When October goes (Barry Manillow)

4:ならいいのに (2集「Melodie d’Amour」)

5:はじめて (7集「はじめて」)

6:どうしても… (日本発売アルバム「季節が戻ってくるように」)

7:時代 (原曲:中島みゆき)

8:みちで~on the road~ (5集「The Ballads」)

9:あぁ僕の女神様 (7集「はじめて」)

10:さよなら僕の愛 (6集「ここ僕の心の中に」)

11:さびしさがあなたを呼ぶ時 (Remake Album「チェジュドの蒼い夜」 原曲:チャン・ピルスン)

12:香ばしい想い出 (Remake Album「チェジュドの蒼い夜」 原曲:パク・ハッキ)

13:もっときれいになれる (6集「ここ僕の心の中に」)

14:My Cherie Amore (原曲:Stevie Wonder)

15:POP STAR (原曲:平井堅)

16:微笑天使 (1集「初めのように」)

17:二人 (4集「また夢をみたい」)

アンコール:僕に来る道 (1集「初めのように」)

2/8(fri) 19:00、2/9(sat) 16:00

Bunkamuraオーチャードホール

主催:DISK GARAGE

2/10(sun) 17:00

松下IMPホール

主催:キョードー関西

企画:BK entertainment / Jelly fish entertainment / PROMAX inc.

制作・招聘:PROMAX inc.

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