イギリスの劇作家、ダンカン・マクミランが英国演劇界で頭角をあらわすきっかけとなった戯曲『モンスター』。2024年11月30日(土)からいよいよ日本で初演される。主役のトムを務めるのはトップクラスの演技力で人々を魅了する俳優、風間俊介だ。心に闇を抱える教師、トムを風間がどんな風に演じるのか注目が集まっている。今回ランランエンタメ!では風間に今回の難役にかける思いをくわしく聞いた。
――劇作家ダンカン・マクミランが教育や家族関係を鋭く表現した物語『モンスター』ですが、主演のお話しを聞いたときはどんな気持ちでしたか?
まずは「モンスター」というシンプルなタイトルにひかれました。同じタイトルの作品は世にたくさんありますが、なにを以て「モンスター」なのかは作り手の個性によって作品に違いが出ると思います。今回の作品は、脅威がわかりやすく表現されたモンスターではなく、外からは決してわからない状態で存在する“潜在的なモンスター”では? と感じました。これはとても面白そうだと思い、お話しを受けることにしました。
――初めて台本を読んだときはどんなことを感じましたか?
僕の予想通り今回のモンスターは潜在的なモンスターであり、日常に潜んでいる表裏一体な怖さがある存在だと感じました。そして、あまりにも魅力的な作品なので、客席で観たら最高だろうなと思いました。しかし、演じるのは僕です。今はあまりにも高く、そして美しい山のようなモンスターを目の前にしてどうやって対峙しようかと恐れおののいている状態です。
――風間さんが演じるトムという役は問題ばかり起こす生徒、ダリルと向き合う新人教師です。役をどのように捉えていますか?
トムは一見、普通の人に見えますが実はトムもまたモンスターではないかなと捉えています。また、トムだけではなく、脅威や恐ろしさを感じるモンスターな部分はすべての人の心の中にあると思います。トムという人物を通じて「あなたも、そして私もモンスターでは?」という問いかけをしているように感じています。
——風間さんはご自身の「光と闇」の部分をどんな風にみていますか?
自分の光と闇、どちらも好きです。若いときは闇の部分を演じる役が多かったですが、30代に入ってからは光の部分を演じることが多くなりました。どちらも演じてみて“いい人”を演じているときは「この人の闇の部分はどこだろう?」と探っていました。逆に“悪い人”を演じるときは「この人の光の部分はどこだろう?」と考えています。
僕自身、人前に立つ仕事なのでどうしても“ちゃんとした人”でいようと意識して光が当たっている部分を見せていますが、それでも僕の中にも闇の部分はあります。自分の中のダークサイドも大切にしつつ、演じることで色濃い闇の部分をみなさんにも見てもらい「この人、マジで怖いな」と思ってもらいたいです。
——トムと対峙する問題児のダリルという少年をどのようにみていますか?
ニュースなどの報道を見ていると事件を起こすモンスターは暴れまわったり、刃物を持っていたりします。この場合は対処の仕方があります。でも、なにをするわけでもない、「そこはかとなく怖い存在」のモンスターの場合は対処しがたく、本当に怖いと思います。ダリルはまさにこのタイプ。たたずまいや、風貌だけで恐怖を感じます。
舞台『モンスター』
作:ダンカン・マクミラン
翻訳:髙田曜子
演出・美術 杉原邦生
音楽 原口沙輔
出演:風間俊介 松岡広大 笠松はる 那須佐代子
企画・製作:ゴーチ・ブラザーズ
【東京公演】
2024年12月18日(水)~28日(土)
新国立劇場 小劇場
【大阪公演】
2024年11月30日(土)13:00開演
2024年11月30日(土)17:30開演★
2024年12月1日(日)13:00開演
松下IMPホール
【水戸公演】
2024年12月7日(土)14:00開演
2024年12月8日(日)14:00開演
水戸芸術館ACM劇場
【福岡公演】
2024年12月14日(土)12:00開演
2024年12月14日(土)16:30開演
福岡市立南市民センター 文化ホール