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映画『愛のまなざしを』万田邦敏監督インタビュー!「愛は人を滅ぼすこともある」

2021/11/16 14:18

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

第54回カンヌ国際映画祭にてレイル・ドール賞とエキュメニック新人賞をW受賞した『UNloved』や、『接吻』で知られる万田邦敏監督の最新作『愛のまなざしを』が11月12日(金)から公開となった。本作は、『UNloved』、『接吻』に続き、万田珠実と3度目のタッグを組んだ愛憎サスペンス。妻を亡くしたことで、もう二度と誰も愛せないと思い詰め、生と死の間を彷徨うように生きる精神科医と、彼を救済するかのような微笑みをたたえた女が愛し合い、奪い合う姿を描く。今回は、万田監督に本作の撮影時のエピソードや、本作に込めた思いなどを聞いた。

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――本作を製作するに至った経緯を教えてください。


本作のプロデューサーでもある杉野希妃さんが、精神科医が女性患者と恋に落ちるというストーリーの映画を撮れないだろうかとお話を持ってきてくれたことからスタートしました。

――本作の提案があったときから、杉野さんに女優としても参加してもらいたいと考えていたんですか?

いや、実は最初はあくまでもプロデューサーと考えていたので、それはありませんでした。お話が進んでいく中で自然と決まった感じです。今回、脚本を僕の妻の万田珠実が書いているのですが、いろいろと話し合っているうちに、「(ヒロイン役の)綾子は杉野さんにやってもらったらどうだろうか」とお互いに思ったんです。自然な流れだったと思います。

――なるほど。主人公の精神科医・貴志役の仲村トオルさんも自然流れで?

いや、仲村さんに関しては、最初から決めていました。この話をやるならば、仲村さんに演じてもらいたいと、仲村さんありきで、ほとんど当て書きで脚本も書いていました。

――そうでしたか。では、この作品で仲村さんのどんな魅力を見せたいと考えていたのですか?

仲村さんとは『UNloved』と『接吻』でご一緒させていただいたので、なんとなく、お互いの距離感も縮まっていました。ただ、今までの作品では仲村さんのいいところを出しきれていなかったという気持ちもあったので、それを出したいという気持ちが強かったですね。仲村さんは、映画の中でももちろん格好いいんですが、普段はさらに格好いいんですよ(笑)。打ち合わせにやってくる時は、無精髭を生やして、ラフな服装でリラックスしているのですが、その時がめちゃくちゃ格好いいんです。やはりカメラを向けられると、作ってしまうところがあるんだと思います。もちろん、役を演じているということもあるんでしょうが…。そうではなくて、普段の柔らかい空気を持った仲村さんを出したいと思っていました。今回、それを出してくれていたと思います。おそらく、今までの映画の中の仲村さんとは違う仲村さんを見てもらえるんじゃないかなと思っています。

――貴志の息子・祐樹を演じた藤原大祐さんはオーディションで選ばれたそうですね。

そうです。彼は、オーディションでずば抜けてましたね。(オーディションでは)簡単なシーンを演じてもらったんですが、すごく勘のいい子だと感じました。彼は、今、数々の作品に引っ張りだこなので、そういう意味でも、彼にお願いできてよかったなと思ってます(笑)。

――貴志の亡くなった妻の義弟・茂を演じた斎藤工さんの演技も印象的でした。

仲村さんと杉野さんとはまた違う芝居の質で、3人のバランスがすごく良かったと思います。斎藤さんが入られたことで、作品もいい方向に広がったと思うので、演じていただけて良かったです。

――斎藤さんのどんなところに魅力を感じてオファーされたのですか?

実は、僕は斎藤さんが10歳くらいのときから知り合いなんですよ。斎藤さんのお父さんと仕事の付き合いがあったのですが、彼は映画が好きな人で、僕とも映画の話をいろいろとしていたので、きっと斎藤さんもそんな話を聞きながら育ったと思います。なので、僕のことも知ってくれていたし、僕も彼のことを知っていました。お仕事をご一緒するのは今回が初めてですが、そういった経緯があったので、斎藤さんの名前が出た時に、すぐにそうしましょうと僕も嬉しく思いました。やっと一緒に仕事ができることになったと思いましたし、きっと斎藤さんも同じように思ってくれていたと思います。

――実際に一緒に撮影をして、「役者・斎藤工」はいかがでしたか?

ものすごく忙しい中、スケジュールの合間を見つけて来てくれたのですが、撮影はスムーズに行えましたし、すんなりと役に入ってくれたと思います。茂のことをすごく理解して現場に入ってくれたので感謝しています。

――ところで、本作のラストシーンをどうするか、撮影中に二転三転したと公式サイトでコメントを出されていましたね。

撮影がスタートしてから、ラストを変えたいと脚本を書いた妻が言い出したんですよ(笑)。それで、話を聞いてみたら、「なるほど、そうだな」と。杉野さんや仲村さんにも相談して、変更することになりました。

――撮影中に変更するということは、これまでの作品でもあることだったんですか?

いや、なかったですね。今回、変更することができたのは、仲村さんや杉野さんとの関係性が出来上がっていて、気軽に相談できたということも大きかったと思います。やはり関係性が出来ていない役者さんだったとしたら、ラストシーンを変えるということはできなかったかもしれません。それに、そもそも妻がずっと撮影現場で見学をしていたので、実際に撮影を見ていたからこそ、そういう化学変化が起こったのだと思います。今回は、いろいろなことが良い方向に進んでいたなと改めて感じます。

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――これまでの作品でも「狂気的な愛」を描かれていますが、監督としてはそれをテーマにしたいという強い思いがあるんですか?


自分が面白いと感じる映画は、男と女が愛し合って、憎しみ合って、そこで殺人が起こるくらい関係性が狂っていくというストーリーが多いんです。僕は、どうやらそういう映画が好きなようなんですよ(笑)。なので、狂っていく人を撮りたい。映画の中で狂った人が出てくると、その作品がより面白くなると考えているところがあるんだと思います。「愛は狂気の始まり」とも言われますが、誰かを好きになると、誰しもが日常生活から少しだけ逸脱した狂的なものをどうしても持ってしまうと思います。その狂的なものをものすごく大きく拡大して、その人がどういうふうに狂っていくのかを僕の映画では描いていることが多いです。その狂った気持ちがどういうふうに収まるのか、それとも収まらないのか。そこを描きたいと思っています。今作では、僕にとっては貴志が狂っていくというのが面白かった。綾子と出会って狂っていったのか、最初から狂っていたのかは僕にも分かりませんが、でもその狂いっぷりがすごく興味深かったんです。

――「狂っていくこと」、引いては「愛」になると思いますが、それらを撮る時に、監督はどんなところを重要視しているのですか?

距離ですかね。恋愛関係ではない人の距離と、誰かを好きになった時の距離は変わってきます。好きになった人には近づきたいし、触れたいという思いが湧いてきますよね? そうすると、距離をどうにかしたいと思ってくる。でも、なかなか簡単には詰めることができない。じゃあ、その距離をどういうふうに詰めていくかというときに、思いの強さや愛情の強さが出てくるのかなと思います。距離は心理的な距離でもあり、物理的な距離でもある。なので、そういう距離の変化を撮りたいんです。

今作のポスタービジュアルを見ていただくと、貴志と綾子は距離が全くない状態で写っています。僕は、ここに至るまでの2人の気持ちを劇中で撮りたいんです。同時に、この2人の距離は、お互いに殺せる距離でもあります。危険でもあるし、甘美でもある距離感なんです。愛と憎しみは裏腹になっていて、結局、僕はそれを撮りたいんだろうと自分では思っています。

――改めて、本作の公開を楽しみにされている方にメッセージを。

人が人を愛すると、必ずしも幸福なことばかりが起こるわけではないということを感じていただける作品なのかなと思います。それから、本当に人を愛すると、人は狂っていくんだというところも見てもらいたいです。今作では貴志がまさにそうですが、もしかすると綾子もどこかで狂っていっていたところがあるのかもしれません。必ずしも愛は地球を救うだけではなくて、人を滅ぼすこともあるというのを見てもらいたいと思っています。

愛のまなざしを_ポスタービジュアルs


映画『愛のまなざしを』
出演:仲村トオル 杉野希妃 斎藤工 中村ゆり 藤原大祐
監督:万田邦敏
脚本:万田珠実 万田邦敏
配給:イオンエンターテイメント 朝日新聞社 和エンタテインメント
2020年/日本/日本語/102分/英題:Love Mooning/HD/カラー/Vista/5.1ch
(c)Love Mooning Film Partners

公式HP:aimana-movie.com
Facebook:aimana.movie
Twitter:aimana_movie
Instagram:aimana_movie

2021年11月12日(金)より全国公開中

■あらすじ
<ロングバージョン>
亡くなった妻に囚われ、夜ごと精神安定剤を服用する精神科医・貴志(仲村トオル)のもとに現れたのは、モラハラの恋人に連れられ患者としてやってきた綾子(杉野希妃)。恋人との関係に疲弊し、肉親の愛に飢えていた彼女は、貴志の寄り添った診察に救われたことで、彼に愛を求め始める。いっぽう妻(中村ゆり)の死に罪悪感をいだき、心を閉ざしてきた貴志は、綾子の救済者となることで、自らも救われ、その愛に溺れていく…。しかし、二人のはぐくむ愛は執着と嫉妬にまみれ始め、貴志の息子・祐樹(藤原大祐)や義父母との関係、そしてクリニックの診察にまで影響が及んでいく。そんな頃、義弟・茂(斎藤工)から綾子の過去について知らされ、さらに妻の秘密までも知ることとなり、貴志は激しく動揺するのだった。自身の人生がぶれぬよう、こらえてきた貴志のなかで大きく何かが崩れていく。失った愛をもう一度求めただけなのに、その渦の中には大きな魔物が存在し、やがて貴志の人生を乗っ取り始める。かたや綾子は、亡き妻にいまだ囚われる貴志にいらだち、二人の過去に激しい嫉妬をいだく。彼女は貴志と妻の愛を越え、極限の愛にたどりつくために、ある決断を下すのだった――。

 

 

 

 

 

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