——ポスターの衣装もすばらしく、役者さん一人ひとりの躍動感が伝わってきます。
今回のポスターは4年前の作品の最後と繋げる意図で、各役の“散り際”を表現しています。この作品は「生きている間に、本当に幸せを感じることはできるのだろうか?」と観ている人への問いかけもあり、死を迎えたときにこそ祝祭があるのではないか?と考えさせられるとともに、「今をもっと切磋琢磨し、もがいて苦悩して必死に生きていくことを見つめ直す」そんなメッセージが込められています。
——木場勝己さんや中村梅雀さんら先輩方とはどんなお話しをされていますか?
唯一無二の存在である先輩方とはこれまで演じてきた作品のお話や、貴重な経験を伺いながら贅沢な時間を過ごしています。きじるしの王次を演じる大貫勇輔くんとも「この感覚を僕たちは次の世代に繋げていかないといけないよね」と常々、話しています。
——作品は劇作家シェイクスピアの37作品をもとにしているとのことですが、そもそも浦井さんはシェイクスピア作品にどんなイメージを持っていますか?
シェイクスピアはやはり人間模様を描く天才だと思っています。台本をいただいてすぐの時は難しいと感じていても、セリフを言葉に乗せて、舞台上で体を動かしながら発していくとセリフが味方になってくれることがわかります。自分の中への落とし込みが完了すると、まるで羽が生えていくような感覚があります。
——羽が生えるような感覚は演者しか味わえない特権のような気がします。
シェイクスピアは革職人の父の元に誕生し、自然豊かな環境で育ったそうです。そんな環境の中、当時の世界情勢や政治的なことを考えながら複雑な人間模様を作品に込めて紡いでいたのでは?と想像しています。シェイクスピア作品に触れるたびにセリフ一つひとつに感動、共感しています。本読みから徐々にシェイクスピアの言葉に触れていき、いざ舞台に立って動きを付けながらセリフを発していくと目の前にシェイクスピアの世界観が広がる。この感覚こそ役者ならではというか、役者をやっていてよかったなと思える瞬間です。
——本番がはじまると体調管理がたいへんかと思いますが、どんなことに気を付けていますか?
稽古場ではみんなで「風邪をひくなら今のうちだな」と冗談を言いながら話しています。体調管理については、普段からマッサージをしたり睡眠時のマットレスにこだわったり、口にするものにも気をつけています。本番がはじまったら自分の心の安定のためになるべく同じリズムで現場に入り、楽屋で過ごし、舞台に上がるということを意識していますね。演じる側が安定していればきっと観ているお客様も安定されるのではないかと思っているので、毎回変わらないように心掛けてますね。
——2024年もあとわずかですが、どんな一年でしたか?また来年の抱負も聞かせてください。
今回の作品のおかげで2024年の終わりと2025年のはじまりに貴重な経験をさせてもらっています。まるで自分の引き出しが増えたような感覚ですし、一生さんの引き出しも模写させてもらいながら、自分の色を出している最中ですね。
今までもずっと思い続けている事なのですが、いつまでも鮮度があり、余白のある役者を目指していきたいと思っています。そしてなによりも感謝を忘れないことも僕の中では大きなテーマで、自分が今置かれている環境は決して普通ではないということを理解して、一回一回のお客様との出会いを大切に、自分のできる精一杯をお見せしていきたいです。
——最後にこれから作品をご覧になる方たちにメッセージをお願いします。
今回の作品について井上ひさしさんが「すごいの描いちゃった」とおっしゃったというエピソードを聞いたことがあります。そうおっしゃるくらい井上さんならではの人間模様がぎゅっと凝縮された、すばらしい祝祭劇になっています。しかし、祝祭劇と言っているわりには蓋をあげたらどろどろとした人間模様も垣間見えます。僕が演じる三世次は中盤からタガが外れ、講談のように畳みかけてくる面白さがあって、人間、歯車が狂うとこんな風になってしまうのかと思うかもしれません。心に潜んでいるものが浮き彫りになるので、観終わったあとはいろんなことを感じられると思います。年末年始、劇場でお会いできたらうれしいです。
写真提供:東宝演劇部
祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』
作:井上ひさし
音楽:宮川彬良
演出:藤田俊太郎
キャスト
浦井健治 / 大貫勇輔 / 唯月ふうか / 土井ケイト / 阿部裕 / 玉置孝匡 / 瀬奈じゅん / 中村梅雀 / 章平 / 猪野広樹 / 綾凰華 / 福田えり / 梅沢昌代 / 木場勝己 / 妹尾正文 / 新川將人 / 出口雅敏 / 武者真由 / 森加織 / 山野靖博 / 天瀬はつひ / 斎藤准一郎 / 下あすみ / 鈴木凌平 / 中嶋紗希 / 藤咲みどり / 古川隼大 / 水島渓 / 水野貴以
公演日程
2024年12月9日(月)〜2024年12月29日(日)
東京都 日生劇場
2025年1月5日(日)〜2025年1月7日(火)
大阪府 梅田芸術劇場
2025年1月11日(土)〜2025年1月13日(月)
福岡県 博多座
2025年1月18日(土)〜2025年1月19日(日)
富山県 オーバード・ホール 大ホール
2025年1月25日(土)〜2025年1月26日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
公式HP https://www.tohostage.com/tempo/
【サイン入りチェキプレゼント】
<応募方法>
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(2)【前編、後編】の両方の記事を、リツートする。
(3)ダイレクトメッセージから「浦井健治さん希望」と書き、申し込む。
<応募締切>
2024年12月29日 23時59分
<当選発表>
締切後、厳正なる抽選の上、当選者を決定。ご当選者様には、ランランエンタメ公式アカウントよりダイレクトメッセージにて当選連絡をいたします。2日以内にご返信がない場合は当選の権利が移ります。
当選者発表までに少々お時間を頂戴いたします。ご了承ください。
<ご応募について>
※リツイートは、公式リツイートに限定させていただきます。
※X(旧Twitter)アカウントを非公開にしている場合、リツイートを確認することができないため応募対象外となります。
※ご応募後のキャンセル、変更、返品、お届先の変更はできかねますので、ご了承ください。
※当選結果に関するお問い合せは受け付けておりませんので、ご了承ください。
<商品発送について>
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取材 文・安田ナナ 撮影・早川善博